4月15日(火) 17:20
日本では、2023年4月1日から全ての自転車利用者のヘルメット着用が努力義務になっており、これは自転車乗用中の事故によるけがや死亡といった被害を軽減するためです。先述したように自転車乗用中に頭部に致命傷を負って死に至った方は全体の53.1%にも達し、差し迫った課題となっています。
具体的には、道路交通法第63条の11第1項において、「自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない」と定められています。ただし「努めなければならない」という文言からも分かるように、これはあくまでも努力義務であり、守らなくても罰則はありません。
警察庁の「自転車乗車用ヘルメット着用率調査結果(令和6年7月調査)」によると、自転車乗車用ヘルメットの着用率は全国平均で17.0%です。すなわち、8割以上の方が自転車に乗るときにヘルメットを着用していません。令和5年の13.5%よりは3.5ポイント改善されたとはいえ、まだまだ少ないといわざるをえません。
警視庁によれば、東京都内のデータ(令和2年~令和6年中)では、自転車乗用中にヘルメットを着用した人の致死率は0.13%であるのに対し、着用しなかった人は0.25%と、約1.8倍の差があります。自転車に乗るときにはヘルメットで頭部を守ることがいかに重要かは、このデータからも明らかです。
自転車に乗るときにヘルメットを着用することが非常に大切なことかは明らかですが、上述したように8割以上の人がヘルメットを着用しておらず、普及が進んでいません。
au損害保険株式会社が2025年1月に実施した「自転車利用時のヘルメットに関する調査」によると、ヘルメットを着用しない理由として最も多かったのは「購入費用が負担」と回答した人が26.2%で最多でした。
自転車用ヘルメットの安全基準であるSG規格に適合した製品の価格は、ネット上のECサイトで販売されているものを見ると、安いものでは2680円程度、高いものでは1万8330円程度です。自転車乗用中にヘルメットを着用することが大切であることは理解しているものの、購入費用がネックになっている方が多くいるようです。
ここ20年ほどの経緯を見ると、自転車関連の事故件数および自転車乗用中の死者・重傷者数は減少傾向にある一方、全交通事故に占める構成比は近年増加傾向にあります。先述したように自転車の死亡事故で頭部に致命傷を負った人が半数以上を占めており、頭部は最も注意すべき部位です。
ヘルメットの購入費用を負担に感じている方に対しては、自治体によっては購入費用の助成を行っているケースがあります。例えば、ある自治体では1人につき最大3000円、また別の自治体では購入費用の2分の1(最大2000円)を補助していたようです。
ヘルメットを着用することで事故によるダメージを大きく抑えられるため、自転車に乗る方は着用すべきといえるでしょう。
警察庁 自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~
警察庁 頭部の保護が重要です~自転車用ヘルメットと頭部保護帽~
警視庁 自転車用ヘルメットの着用
e-Govポータル法令検索 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号) 第三章 車両及び路面電車の交通方法 第十三節 自転車の交通方法の特例 第六十三条の十一(自転車の運転者等の遵守事項)
au損害保険株式会社 au損保、2024年度自転車利用時のヘルメット着用率を調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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