
「Futurotextiles7」を開催した「lille3000」のティエリ・ランドロン会長(左から1人目)とカロリン・ディビッド氏(中央)、ヤンマーの土屋氏(右から1人目)
ヤンマーホールディングス(大阪市)は4月12日、大阪府の長居公園内にある施設で、サステナブルな繊維・織物技術を融合したアート作品を展示する「Futurotextiles 7」を開幕した。バナナの樹木や魚のウロコを素材にした布製のドレス、フランスの伝統的な刺しゅうが施された有名歌手の舞台衣装など約80点が展示されている。
「Futurotextiles」は、フランス・リール市の非営利文化事業団体「lille3000(リール・トロワミル)」が2006年に立ち上げた。これまで36カ所で行われてきたが、日本は初めて。フランスの美術関係者が長居公園を訪れた際、植物園もある緑豊かな環境を気に入り、大阪・関西万博の開催に合わせて実現した。
70を超えるクリエーターと企業が手がけた作品が並ぶ空間に足を踏み入れると、色鮮やかで斬新な一点一点に目を奪われる。バナナの木の繊維で織ったドレスは独特の質感と光沢があり、ティラピアのウロコを配合した生地のドレスは、美容効果があるコラーゲンを含む。バスケットボールやシリコン製の製菓型をつかった衣類のほか、伝統的な刺しゅうを施した、米国人セレブリティー・ビヨンセさんの舞台衣装も見ることができる。

シリコン製の製菓型を使ったピエール・カルダンの作品
日本からは、写真家・蜷川実花さんが整形外科デザインスタジオとコラボレーションして火山岩からつくった繊維などを材料に制作した義肢と装具や、デザイナー・織晴美さんが工事現場で使われるネットを素材に大阪の通天閣とその周囲を描いたアートなどが展示された。ウニのとげや殻からつくった染料を使った絞り染め、泥染めの技法なども紹介されている。ヤンマーホールディングスは、同社のユニフォームを使い作家の大竹舞人さんが創作した作品を展示した。
「身の回りにあらゆるものが存在し、かつ、どんなものを使ってもできるのが、テキスタイル」と、lille3000キュレーターのカロリン・デイビッドさん。驚きと感動を多くの人に感じてもらい、エコロジーの意識を高めてほしいと話した。
ヤンマーホールディングス・デザイン部の土屋陽太郎部長は、「ヤンマーとアートは一見すると結びつかないように見えるかもしれないが、循環型社会の実演には技術革新だけでなく人々の意識や行動の変革が不可欠。感性や創造性で心を動かすことが社会全体をサステナブルな方向に促す原動力になる」と語った。展示会は7月31日まで。

伝統的な刺繍を施したビヨンセさんの舞台衣装
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