「1500万円」を贈与してくれた父が、1年経たずに亡くなりました。生前贈与分も相続税に加算されるのでしょうか。

「1500万円」を贈与してくれた父が、1年経たずに亡くなりました。生前贈与分も相続税に加算されるのでしょうか。

4月12日(土) 14:00

子どもの将来のためやなにかのお祝いなどで、親から多額のお金を受け取ることもあるでしょう。しかし、もし、贈与してもらったあとに親がすぐ亡くなると、贈与されたお金は相続財産として扱われる可能性があります。 贈与税の支払いの有無によって相続税額が変わるので、計算方法を確認しておきましょう。今回は、生前贈与が相続財産に加算される条件や計算方法などについてご紹介します。

贈与を受けてからすぐ亡くなったときは生前贈与加算の対象

贈与を受けたあとに贈与者が亡くなった場合で、亡くなるまで一定期間内だったとき、相続財産に加算される可能性があります。「生前贈与加算」とも呼ばれ、相続が開始した日ごとの相続財産に加算される期間は表1の通りです。
 
表1

相続が始まった日 受け取った贈与が相続財産として加算される期間
令和8年12月31日まで 相続開始前3年以内
(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)
令和9年1月1日~令和12年12月31日 令和6年1月1日から死亡の日までの間
令和13年1月1日以降 相続開始前7年以内
(死亡の日からさかのぼって7年前の日から死亡の日までの間)

出典:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」
 
もし、すでに贈与税の支払いをしており、かつ相続税の課税対象にもなった場合は、相続税額から該当の贈与税額を控除できます。贈与税は、特例税率か一般税率で税率が変わるケースがあるため、計算時には注意しましょう。各税率の特徴は以下の通りです。


・特例税率:成人している子どもや孫が直系尊属から贈与されたときの税率
・一般税率:上記以外の税率

 

相続税の計算方法

生前贈与が相続財産として加算される場合、ほかの相続財産とも合算してから必要に応じて相続税の申告、支払いが必要です。相続税は、以下の手順で計算できます。


(1)相続財産から「3000万円+600万円×法定相続人数」(基礎控除)を引く
(2)法定相続人が複数いる場合は、法定相続分と同じだけ相続したとしてそれぞれに割り振り、税額を計算する
(3)(2)の合計額が相続税の総額
(4)(3)の金額を実際に相続した割合で各相続人に分ける
(5)(4)の金額から必要に応じて控除額を引き、各相続人の税額を求める

なお、一人で全財産を相続した場合は、相続人ごとに分ける必要がないため「(相続財産-基礎控除)×税率」で求められます。
 

1500万円の生前贈与が相続財産に加算されるといくらになる?

今回は、以下の条件で1500万円の生前贈与が相続財産に加算されたときの相続税を計算します。


・子どもは成人済み
・父親から1500万円の贈与を令和6年12月に受け取り、令和7年8月に父親が亡くなった
・贈与税は申告、納付済み
・生前贈与以外の相続財産は7000万円
・法定相続人は子ども一人のみ

まずは、支払った贈与税額を求めましょう。贈与税は110万円の基礎控除を引くため、課税されるのは1390万円です。特例税率が適用されるため、税率は40%、控除額は190万円となり、贈与税は366万円になります。
 
次に、相続税額を求めます。生前贈与から1年たたずに亡くなっているため、全額が相続財産として加算されます。生前贈与以外の相続財産は7000万円だったので、相続財産は合計8500万円です。
 
法定相続人数は一人のため、基礎控除額は3600万円となり、4900万円に対して相続税が課されます。税率は20%、控除額は200万円のため、相続税は780万円です。
 
しかし、父親の生前に贈与税を366万円支払っているため、実際に負担する相続税額は「780万円-366万円」で414万円になるということです。
 

生前贈与を受けて一定期間内に贈与者が亡くなったときは相続財産に加算される可能性がある

生前贈与を受けたあとに贈与者が亡くなったとき、贈与から一定期間内であれば相続財産として加算されます。相続が始まった日によって加算される年数の条件が変わるので、計算時には注意しましょう。
 
ただし、生前贈与で受け取った金額分の贈与税をすでに支払っていた場合は、自身の相続税額から贈与税額を控除できます。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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