4月7日(月) 20:10
株式会社帝国データバンクの調査によれば、2024年度に発生した美容室の倒産件数は2025年2月までに197件に達し、過去最多を大幅に更新する見込みです。この増加の背景には、以下の要因が挙げられます。
●競争の激化
●コストの上昇
新規開店が相次いで市場が飽和状態となっており、顧客の奪い合いが激化した結果、十分な利益を確保できない店舗が増加しています。
また、円安や原材料費の高騰により、シャンプーなどの美容資材の価格が急上昇していることも大きな要因といえるでしょう。さらに、水道光熱費や人件費も上昇しており、これらのコスト増が経営を圧迫しています。
美容院の倒産が増加した要因の一つに、人件費の影響があります。では、美容師の給与水準は、どれくらいなのでしょうか?
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によれば、美容師の平均月収は30万600円、年間賞与は10万9800円となっています。
賞与を含めた平均年収は371万7000円です。 この給与水準は、日本の給与所得者の平均年収である460万円を大きく下回っています。さらに長時間労働や不規則な勤務形態を考慮すると、決して高いとはいえないでしょう。
美容業界が直面する課題は多岐にわたりますが、主な原因として、人材不足や競争の激化、美容資材の値上げなどで利益率が低下し、経営を圧迫しているのが現状です。
これらの課題に対する解決策として、以下の取り組みが考えられます。
●経費削減、業務効率化
●独自サービスの開発
●業務委託美容師と歩合の活用
無駄な経費を削減し、業務を効率化することで利益率の向上が期待できます。また、競合店との差別化を図るため、独自のサービスやメニューを開発し、顧客満足度を高めることも重要です。
人材不足対策として、近年多くのサロンが「業務委託契約の歩合制」を導入し、美容師の働き方の多様化を進めているようです。業務委託とは、美容師を雇用せず、個人事業主として契約する形態です。
この制度のメリットは、固定給の負担がなく、売り上げに応じた報酬体系を設定できることや、即戦力となる人材を確保しやすい点にあります。さらに、すでに固定客を持つ美容師であれば、集客の面でも大きな強みとなるでしょう。
美容業界は多くの課題を抱えていますが、独自サービスの開発や業務委託美容師の活用など、適切な対策により持続可能な経営が可能です。
今後は労働環境の改善や経営戦略の見直しを進め、美容師が安心して働ける環境を整え、質の高いサービスを提供し続けることが求められます。
総務省 政府統計の総合窓口(e-Stat)厚生労働省 令和6年度賃金構造基本統計調査 表番号1
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
美容院のお会計を「クレジットカードで」と伝えたら、「手数料が上乗せされる」と言われました。本当に払う必要はありますか? そもそも、なんの手数料なのでしょうか…?