「面白かった」冬ドラマ『御上先生』を抑えた“娯楽として楽しめる”名作の1位は?

「面白かった」冬ドラマ『御上先生』を抑えた“娯楽として楽しめる”名作の1位は?

4月4日(金) 21:00

東京では桜が満開を迎え、春の訪れが感じられる中、1月からはじまった冬ドラマもついにほとんどの作品が完結を迎えた。

話題作や期待の高かった作品も多かった今クール。TVコラムニストの桧山珠美さんに、良かった作品と悪かった作品を振り返ってもらった。

桧山さんが良かった作品の第3位に挙げたのは、『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)。

浅見理都による同名サスペンス漫画を原作に、広瀬すず(26)が主演を務めた作品。一通の手紙を遺して殺された父を取り巻く謎を、弁護士を演じる松山ケンイチ(40)とともに追及する。3月28日に迎えた最終回では、ついに事件の全貌が明らかになり、最後まで目の離せない展開となった。

「漫画原作の作品ですが、ドラマの時点では漫画は未完だったんですよね。原作がありながらも“最後どうなるの?”とグイグイ引き込む目まぐるしい展開で、“あの人も怪しいし、この人も怪しい”みたいな。松山ケンイチさんですら実は怪しいんじゃないかとか、サスペンス的な要素で視聴者を引きつけるという意味ではとても面白かった。

また、特に広瀬すずさんの演技はとてもよかったです。“こんないい役者になったんだ”と、成長も見れました」

主演以外のキャラクターの細かな設定も魅力だという。

「松山ケンイチさんが『虎に翼』(NHK)ではあんこが好きな設定でしたが、今回もプリンやコーヒーゼリーを食べる甘党の設定で、『虎に翼』からの引き継ぎを感じて、視聴者的にはそういうところも萌えました。ほかにも、松山さんと幼馴染役の森崎ウィンさん(34)との関係も友情でありながらお揃いの眼鏡を買うなど、キュンとする要素もあってよかった。

事件を追う記者役の磯村勇斗さん(32)も良かったですよね。だって『不適切にも程がある』(TBS系)のムッチ先輩ですよ。ムッチ先輩を演じてた人がこんなにも違うキャラを演じきれるのかと。容疑者役の成田凌さん(31)もいいし、役者さんで魅せたドラマですごく見応えがありました」

第2位に選ばれたのは『御上先生』(TBS系)。

初回から大注目。そして、人気が衰えないまま3月23日に最終回を迎えた本作。松坂桃李(36)演じる文科省エリート官僚が私立高校に出向し、政治的権力に侵された学校を舞台に、生徒と向き合っていく教育再生ストーリーだ。吉岡里帆(32)や岡田将生(35)も出演し、常に話題が絶えなかった。

「今までの学園ドラマは『金八先生』(TBS系)が代表するように、不良や落ちこぼれが必ずいて何か問題を起こしたり、いじめ問題などがネタになっているものが多かった。そこに熱血教師が出てきて、生徒と絆を結んで、不良たちが目的を見つけるみたいな展開になっていく。

一方で『御上先生』はそれを真っ向から否定。みんなが“金八先生”を学校に求めてモンスターペアレント化する親が増えたと指摘して、作中で同局の『金八先生』を否定するような場面もありました。“学園モノ=金八モデル”みたいなステレオタイプとは違うぞということを打ち出した点が新しかったです。

もちろん教師にも生徒にも問題はあるんですが、御上先生のテーマのひとつとして、いつも生徒たちに『考えて』って言うんですよ。自分で考えることを促す教育方針というか。自分の考えを押し付ける従来のアプローチと異なり、否定や高圧的な指導は全くせず、生徒たちに考えさせるという新しい形の、いわば”令和の学園ドラマ”を見せてくれました」

また、勉強や出世だけがゴールではなく「その先にある社会や人を思う力」の大切さを訴えている点も高評価。

「日曜劇場でやるだけあって学園ドラマでありながら、官僚の腐敗や政界のことなど、大人も関心のあるテーマが描かれています。学園ドラマだけでなく、教育制度の問題にまで踏み込んだことによって、大人も見られるし、生徒世代の若い人も見たら何か変わるんじゃないかという期待感がある。

ただ勉強していい学校に行ってお金を稼ぐだけが目的じゃなくて、その先に何か国のことを考えたり、いろんな人のこととかを考えられるような人になりたい、なってほしいという作り手のメッセージ性を感じました」

本誌のアンケートでもよかったドラマ1位、ワーストドラマ3位と、どちらにもランクインしている同作。

「『虎に翼』もそうでしたが、キャストや視聴率だけでなく、“これを伝えたい”という強いメッセージがあるので、好き嫌いがはっきり別れるのだと思います。だからこそ、いい作品でもありクセの強いドラマでもありました。

しかし、松坂桃李さんの新しい教師像も良かったし、ミステリー要素もあって面白い。そしてこれをオリジナル脚本で挑んだ点も高評価です。

そして、なんといっても学園ドラマの1番の華は生徒です。窪塚洋介さん(45)の息子の愛流さん(21)や’25年後期の朝ドラヒロインに決まってる髙石あかりさん(22)など、こんないい子たちがいるんだっていう発見。ここに出た生徒役の子たちは、何年か後かにはドラマを牽引する役者になっているんだろうなという期待も持てました」

そして、桧山さんが今季1位に選んだのは、『ホットスポット』(日本テレビ系)。

山梨県のとあるビジネスホテルで働くシングルマザーと宇宙人の日常を描いたエイリアン・ヒューマン・コメディー。3月16日に迎えた最終回では、ホテルのオーナーと市長の癒着を暴き、東京03の角田晃広(51)演じる宇宙人・高橋がその能力を発揮するという、予想外な展開が繰り広げられた。

「どうしても外せないのが『ホットスポット』です。『御上先生』で脳みそをフルに使った後にこれを見ると、まさに温泉に入ったような心地の良さを与えてくれたっていう。脚本のバカリズムさん(49)には感謝しかないです」

バカリズムは’23年に放送された安藤サクラ(39)主演の『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)でも脚本を手がけている。

「前作を見た人からすると二番煎じという見方もありますが、全くアプローチは違うし、なんといっても“地元系エイリアンヒューマンコメディ”ですからね。宇宙人だという角田さんも地味な普通のおじさんで、超人的な力があるんだけど頼まれるのは天井に挟まったバレーボール取ってくれとか(笑)。

超能力者や未来人が出てきたり、多様性の時代とか言われる中で、啓蒙的に言われるのってなんか嫌っていう人もいるじゃないですか。だけど、これって実際、宇宙人もいて、未来人もいてって流れで、なおかつ、このヒロインたちはみんな全然受け入れるし、当たり前のように接するところもすごく面白いなと思いました」

バカリズムの描く“女子トーク”も絶賛する。

「全体的にセリフがウィットに富んでいて、役者さんたちの間とかも最高なんですが、バカリさんの書く女子の会話ってのが本当にナチュラルなんですよ。昔から女子の中で可愛がられるキャラだったってことで、ものすごく自然で、”あるある感”がすごい。

そこに富士山が見えて、田舎のコンビニまで自転車で行くとか、東京のドラマでは感じられないおおらかな空気とか映画のようなシチュエーションもよかった。キャラクターも出演者たちも脚本もすごく良かったし、娯楽として楽しめるドラマとしては総合点でやっぱりこれが私としては今季1番でした。明日から月曜という日曜日の夜に、楽しいままで寝るっていうのは最高でしたよね」

最後まで名作揃いとなった’25年冬ドラマ。続々とスタートする春ドラマは、果たしてどのような見ごたえとなるだろうか。

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