4月4日(金) 20:10
名義預金とは、実際のお金の所有者と、口座の名義人が異なる口座のことです。
例えば、父母や祖父母が子どもや孫名義の口座を作って、そこに預金をすると、名義預金に該当します。また、名義人以外の財産が原資となっている場合も同様です。
名義預金は名義人の財産ではなく、預金通帳やカードを持っていて入出金の権利がある人=実質的に管理している人(本ケースの場合は親)の財産と判断されます。
名義預金と判断されると、その口座は子どものものではなく親のものであると判断され、お金が入った状態で通帳やカードを子どもに渡すと、贈与が成立して贈与税が課されることがあります。
贈与税が課されることを回避するなら、子ども名義の口座を作ったらすぐに印鑑やカード、通帳などを全て子どもに渡したうえで、口座の管理も全て子どもに任せましょう。
そのうえで、子ども名義の口座に「年間110万円を超えない範囲」で入金して生前贈与を行えば、将来的に親が亡くなったときも相続税の課税対象にはなりません。
子ども名義の口座に年間110万円を超える入金をした場合、贈与税が発生する可能性が高いです。
例えば、成人した子どもの口座に祝い金など何らかの名目で500万円を振り込んだとしましょう。
この場合、「直系尊属からの贈与で、受贈者が贈与のあった年の1月1日時点で成人を迎えている」という条件を満たしているので、特例税率(15%)が適用され、贈与税は以下のとおりになります。
(500万円-110万円)×15%-10万円=48万5000円
子ども名義の口座に500万円を入れたことに対して48万5000円の贈与税がかかることになります。
贈与税を発生させないためには、贈与額を基礎控除額の年間110万円以内に抑える必要があります。一度に500万円入金するのではなく、1年目110万円、2年目110万円、3年目110万円といったように、毎年110万円以内で贈与を繰り返せば、贈与税はかかりません。
ただし、年間110万円以下でも、相続税の税務調査の際などに贈与契約の「双方の合意」が確認できないと贈与が成立せず、相続財産と判断される可能性もあります。
税務署からの問い合わせに回答できるよう、事前に贈与契約書を作成しておくと良いでしょう。
なお、年間110万円を超える贈与であっても、子どもや孫の生活費のための仕送りであれば贈与税はかかりません。しかし、子どもや孫がそれを生活費以外の目的で使ってしまうと贈与税の対象になるため注意が必要です。
さらに、贈与の目的が教育資金への充当であれば1500万円(直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税)、結婚・子育て資金なら最大1000万円(直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税)を非課税で贈与できる仕組みがあります。
子ども名義でも実際の管理者が親自身の口座は、「名義預金」と判断される可能性が高く、将来的にカードや通帳を受け取った時点で贈与税の対象になる可能性があります。
子ども名義の口座は、子ども自身が管理して入出金できる状態にしておき、贈与は「年間110万円以内」など贈与税がかからないルールの範囲内で行えば贈与税はかかりません。しっかりと理解して、適切に対応しましょう。
国税庁 No.4408贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4405贈与税がかからない場合
国税庁 No.4510直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 No.4511直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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