4月3日(木) 19:30
結論から伝えると、現金を郵送する際に認められているのは「現金書留」のみです。郵便法第17条では「現金又は郵便約款の定める貴金属、宝石その他の貴重品を郵便物として差し出すときは、書留(第四十五条第四項の規定によるものを除く)の郵便物としなければならない」と定められています。
日本郵便の公式サイトにも、現金は「現金書留郵便物」として送る必要があると明記されています。これは配送中の紛失・盗難リスクを防ぐために設けられた措置ですが、万が一ゆうパックなどで現金を送った場合は、補償の対象外になってしまうのです。
現金書留は、現金を安全に送金するために郵便局が提供するサービスです。専用の封筒を郵便局で購入する必要があり、郵便局の窓口やゆうゆう窓口のみで対応しています。現金書留はポスト投函(とうかん)できないため、必ず窓口を利用してください。
万が一、ゆうパックの荷物に現金を隠して送った場合、書留料金をごまかして郵便法第84条に違反したと見なされ、「30万円以下の罰金」が科されるおそれがあります。
最近では、詐欺犯罪の手法として、衣類やタオルなどに現金を紛れ込ませて送金する被害が増加しており、取り締まりも強化されています。ゆうパックやレターパック、民間の配送業者を利用して現金を送る行為も法律違反となるため注意しましょう。
現金書留を利用する際の手順を詳しく解説します。
まずは、郵便局の窓口で現金書留の専用封筒を購入し、届け先、依頼主の住所と名前、電話番号を記入します。購入した専用封筒に現金を封入し、所定の2カ所に割り印を押し、郵便局の窓口、もしくはゆうゆう窓口で郵便料金を支払ったら手続き完了です。
現金書留の郵便料金は、定形郵便物などの基本料金に加えて現金書留の利用料金を合計した金額となります。
また、書留には損害賠償制度があり、申請額に応じた補償が受けられます。送金する額が1万円までの場合は、定形郵便物などの基本料金に加えて480円の追加料金で発送可能です。1万円以上の現金を郵送する場合は、5000円ごとに11円ずつ加算されます。補償の上限は50万円までとなるため、それ以上の金額を送る際は注意しましょう。
現金を送る方法は、現金書留だけではありません。現金を安全に送る方法として、「郵便為替」というものもあります。
郵便為替とは、郵便局で現金を為替証書に交換・送付する方法です。郵便為替であれば、現金を送る人と受け取る人双方が口座を持っていなくても、送金できます。
現金を普通為替証書に換えて送付する「普通為替」、もしくは現金を定額小為替証書に換えて送付する「定額小為替」の二通りの方法があります。一般的な現金送付用なら「普通為替」、少額を送金する場合は「定額小為替」がおすすめです。
普通為替の手数料は、送金金額が5万円未満で550円、5万円以上で770円です。どちらの方法で送金するかを選んで、ゆうちょ銀行または郵便局の貯金窓口で手続きしましょう。
郵便為替以外にも、銀行振込や電子マネーを活用する方法もあります。現金を送る人と受け取る人のどちらもが口座を持っている場合は、手軽に送金できる銀行振込がおすすめです。現金を送る側だけでなく、受け取る側の利便性も考えて送金方法を選んでください。
現金を郵送する場合は、郵便法に従って現金書留を利用しなければなりません。ゆうパックやレターパック、その他の宅配便で送る行為は違法であり、紛失や盗難に遭った場合も補償されません。安全に送金するためには、郵便為替、銀行振込、電子マネーなどの利用も検討しましょう。
デジタル庁 e-Gov 法令検索 郵便法(昭和二十二年法律第百六十五号)第十七条、第八十四条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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