4月3日(木) 20:20
住宅ローンの平均返済期間は30~35年であり、新築時からローンを払い終えたマンションは築30年程度だと考えられます。この場合、今後もマンションに住み続けると、以下のような費用が発生します。
・修繕積立金:月平均1万4317円(築30年程度のマンション)
・管理費:月約1万1503円(駐車場使用料等からの充当額を除く)
・固定資産税:年間約12万円(月換算で約1万円)
段階式積み立て増額式を採用しているマンションでは、5年ごとに修繕積立金が約3000円ずつ増額される可能性があります。そのため、今後の出費増加も考慮する必要があるでしょう。
75歳の男性の平均余命は約12.54年とされています。この期間マンションに住み続けた場合の費用を計算すると
(月々の修繕積立金1万4000円+管理費1万1500円+固定資産税1万円)× 12ヶ月×12.54年 ≒ 534万円
つまり、あと約12年住み続けた場合、約530万円の維持費がかかる計算になります。
マンションを売却して一軒家に住み替える場合、まずは売却額と諸費用を確認しましょう。
・築31年以上の中古マンション売却額:約2600万円
・1995年のマンション平均購入価格:3546万円
このデータから、購入時よりも評価額が下がっている可能性が高いことが分かります。また、売却時には図表1の費用が発生します。
図表1
中古一軒家の購入には、図表2のように築年数によって大きく価格が変わります。
図表2
一軒家で生活を始めた後も、定期的なメンテナンス費用が発生します。主な修繕費用は以下の通りです。
・スレート屋根の塗り替え:20~80万円
・金属屋根の重ね葺(ふ)き:90~250万円
・瓦屋根の交換:70~120万円
・外壁材の重ね塗り:50~150万円
・サイディングの上貼り:80~200万円
また、固定資産税は年間約24万円(マンションの約2倍)かかります。
マンションでは管理会社が定期的に修繕を行う安心感がある一方、一軒家では自分で修繕計画を立てる必要があります。特に高齢期は、突然の修繕費用が大きな負担になる可能性があるため、計画的な資金準備が重要です。
住み替えを検討する際は、日常的な光熱費の違いも考慮しましょう。
一軒家は、断熱性能によっては電気代がマンションより高くなる傾向があります。特に冬場の暖房費や夏場の冷房費の差は大きくなる可能性があるため、季節ごとの変動も考慮する必要があるでしょう。
マンションは管理費や修繕積立金が発生し、75歳から12.54年間住むと約530万円かかります。中古一軒家は購入時に不動産取得税やリフォーム費用がかかり、固定資産税は年間24万円とマンションの約2倍、光熱費もマンションより高くなる傾向です。一軒家の修繕計画は自己管理する必要があり、計画的な資金準備が求められます。
これらの点を考慮して、自身にあった住まい方を検討してください。
住宅金融支援機構 住宅ローン利用者の実態調査
国土交通省 令和5年度マンション総合調査の結果について
国土交通省 令和5年度マンション総合調査結果
東京都主税局 3.都市間比較
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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