洗練されたデザインにオープントップの楽しさを|フェラーリ・ドーディチ チリンドリ スパイダー海外試乗記

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洗練されたデザインにオープントップの楽しさを|フェラーリ・ドーディチ チリンドリ スパイダー海外試乗記

4月3日(木) 3:11

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2025年2月、ポルトガルの首都リスボンでフェラーリ12 Cilindri Spider(ドーディチ チリンドリ スパイダー)に試乗する機会を得た。この時期のリスボンの気候は日本よりやや暖かくて安定しているのだが、3月からは雨季に入り曇りや雨の日が多くなる。今回の試乗はその意味で最適な時期であった。

【画像】ポルトガルの青空のもとでフェラーリ・ドーディチ チリンドリ スパイダーを駆る!(写真18点)

現在のフェラーリが誇る技術とデザインの粋を集めたドーディチ チリンドリは、クーペのほかにこのスパイダーモデルが存在するのだが、何と言ってもその魅力の根源は、その車名の通りフロントに搭載される自然吸気6.5リッター V型12気筒エンジンにほかならない。

歴史に造詣の深いフェラーリファンにとって、フロントのロングノーズに納まるエンジンは絶対にV12であるべき。ドーディチ チリンドリのデザインは1950年代から60年代におけるフェラーリのオープントップ・グランツーリスモにインスピレーションを得ており、ピュアかつ未来的な美しさが備わっている。

彫刻的にも映るフェンダーやシャープなサイドラインはそれぞれが動的なキャラクターを強調している。フロントグリルのデザインは、まるでデイトナのようなクラシックフェラーリを彷彿とさせながら、良く見ると現代的な解釈が加えられており、このスパイダーはクーペモデルと比べてもデザインがより優雅に映る。フラヴィオ・マンゾーニがまとめる現在フェラーリデザインの傑作である。

試乗当日は期待通りの晴天。用意されたのはリスボンからほど近いリゾート地カシュカイシュの海岸線からワインディングを抜け、ハイウェイを使って戻ってくるという起伏に富んだルートであった。

まずはルーフを開けてリスボンの青空を楽しむ。45km/hまでならわずか14秒で開く超軽量のハード。走り始めてすぐに感じるのはエアロダイナミクスの絶妙さである。ルーフを開けても風の巻き込みは極端に少なく、これならばキャビン内での会話は容易であろうし、一方で開閉可能なリアウインドウを下げれば気持ちよくリアから風が流れ、フルオープンに近い感覚を楽しむことも可能だ。

エクステリアの迫力通りボディ全幅は広大だが、フレアの効いたフロントフェンダーのおかげでサイズ感がつかみやすく、走り始めると実際のボディサイズよりもはるかにコンパクトに感じられるから不思議である。

一方でインテリアはパッセンジャーとの距離感もほどよく、フェラーリのフラッグシップGTらしい余裕が感じられた。デュアル・コクピットと呼ばれる左右対称のデザインは秀逸で、センターには10.25インチのタッチスクリーンが、そしてパッセンジャー側には8.8インチのディスプレイがレイアウトされており様々な表示で楽しませてくれる。

V12エンジンの鼓動とオープンエアの融合
搭載されているVバンク角65度のF140HDエンジン、これは812コンペティツィオーネのF140HB型に改良を加えたものである。数字として最高出力830PSというスペックを引き継いではいるが、最大許容回転数は9500rpmまで引き上げられている。ルーフを開けた状態ではエンジンサウンドがあたかも空から降り注ぐような感覚に包まれる。エグゾーストサウンドは勇ましいが耳障りではなく、まるで楽器のようにドライバーを魅了する。

ステアリングフィールは軽快で正確。比較的短かめのホイールベースと4輪独立操舵(4WS)を装備しているおかげか、ワインディングではシャシーが見事にバランスを保つ。もちろんブレーキ性能は申し分なく、カーボンセラミックブレーキによりスムーズかつ力強い減速が可能。ボディ剛性の高さはもちろんだ。ドーディチ チリンドリは3つの異なるアルミニウム製造技術を組み合わせたスペースフレーム構造を採用。シャシー全体の剛性を向上させるために、より大きな鋳造部品を採用、フロントガラスフレームと接続する上部Aピラージョイント構造にまで細心の注意を払っているという。

ルーフを閉じてみると、完全に快適なクーペに様変わりするからおもしろい。ヘッドライナーは湾曲を持たせており、感覚的な余裕を高めている。

快適性と日常性の両立
エンジンレスポンスの良さは圧倒的だ。アクセルペダルに足を乗せるだけで、車が生き生きと動き始める感覚が伝わってくる。快適性も大きな魅力だ。サスペンションのセッティングがしなやかで、路面の凹凸をしっかり吸収する。静粛性の高さにも感心させられた。

エンジン音はドライバーの耳を楽しませるように調整されている一方、風切り音や振動は極限まで抑えられており、長距離ドライブでも疲れにくい設計となっている。ラゲッジは十分な容量を持ち、週末旅行やショッピングには十分に対応できる。ユーザーにとっての価値としては、速いだけではなくドライバーに感情的な満足感を提供する。特にフェラーリのV12エンジンとオープントップモデルの融合を求める愛好家には、今も、これから先を考えても選択できる唯一の12気筒エンジンであろう。フェラーリの真摯なものづくりの姿勢を象徴しているこのドーディチ チリンドリスパイダー、感動を運ぶ芸術作品ともいえる。


Ferrari 12Cilindri Spider
全長×全幅×全高:4733×2176×1292mm
ホイールベース:2700mm
6496cc V型12気筒エンジン後輪駆動
最高出力:610kW@9250rpm
最大トルク:678Nm@7250rpm
乗車定員:2名
価格:62,410,000円


文:堀江史朗写真:フェラーリ
Words: Shiro HORIEPhotography: Ferrari S.p.A.
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