【写真】栗山千明、本作を通じて「生きやすい世界になってくれたら」
栗山千明と伊藤健太郎が共演する連続ドラマ「彼女がそれも愛と呼ぶなら」。二人が演じるのは、パートナーにほかの恋人がいても嫉妬心を抱かないシングルマザー・伊麻(いま)と、そんな彼女に恋をし、ほかの恋人たちと生活を共にすることになる年下の大学院生・氷雨(ひさめ)。「恋人だから」「家族だから」といった社会の“普通”に疑問を投げかけるスパイシーなラブストーリーだ。
今回出演する二人に、ドラマの見どころはもちろん、恋愛観についても語ってもらった。
■オファーを受けたときは「興味がわきました」
――全員が同意し理解し合ったうえでの“複数恋愛”がテーマになっていますが、オファーを受けたとき、どのように感じましたか?
栗山:私は想像がつきませんでした。ただ、お互いが“複数恋愛”の関係を認めているのであれば、悪いことではないんだろうなとは思いました。
でも、恋人全員が一緒に生活するとなると、なにかと問題が起きそうですよね(笑)。そういう意味では興味がわきましたし、演じているうちにさまざまな気づきがあるんだろうな、と。
伊藤:僕は最初に“複数恋愛”というワードだけを聞いたときは、正直、あまり健全な関係ではないのではないかと感じました。でも、脚本を読ませていただいて、実際にそういう生活を送っている方もいると聞くと、シンプルに考え方の違いなのかなと思うところもあって。
海外では一夫多妻制の国もありますし、そういった考えも間違いではないと思いますが、僕の個人としてはまだ理解しきれていない状況です。
■栗山、演じる伊麻は「心穏やかに生きられそう」
――栗山さんは“複数恋愛”をしているシングルマザーの伊麻、伊藤さんは伊麻と恋に落ちる大学院生の氷雨を演じられますが、それぞれ役柄に共感する部分はありますか?
栗山:共感とは少し違うかもしれませんが、伊麻のような“複数恋愛”だと、どこかで楽な部分もあるのかなとは思います。そういう関係を互いに理解して、付き合っているわけですから、嫉妬心などの負の感情は生まれなさそう。
そう考えると、心穏やかに生きられそうだなと思ったりして、いい面もあるのかなと思いました。
――とてもポジティブな捉え方ですね。
栗山:たぶん伊麻は自分と対峙しているときの相手だけを見ていて、無理やり深くこじ開けようとしない人なのかなと。相手のイヤなところはあえて見ずに、いいところを探して好きになるというのは悪くない気がしますし、そういうふうにわりきれたら逆に楽なのかもしれないです。
――伊藤さんはいかがですか?
伊藤:すでに家には亜夫(千賀健永)、到(丸山智己)という2人の恋人がいて、高校生の娘までいるところに入っていくのは、普通に考えたらイヤですけど、伊麻への思いが止められずに飛び込んでしまう氷雨の気持ちはわからなくはないです。
本当は気持ちにストップをかけられたらいいんでしょうけど、それはそれで難しいですからね。おそらく氷雨は視聴者のみなさんが一番感情を寄せやすいキャラクターなんじゃないかと思います。
――伊藤さんがもし氷雨と同じ立場だったら、それでも伊麻と暮らしたいと思いますか?
伊藤:いや、無理ですね(笑)。たぶん、友達がそういう状況になっていたとしても、最初は「大丈夫?」と言うと思います。とはいえ、本人たちが幸せなら、それでいいわけだし、難しいところですね。
栗山:本人たちがそれでうまくいっているなら、周りがとやかく言うことじゃないもんね。だから、私もビックリすると思うけど、「いいんじゃない」と言うと思う。
■伊藤、恋人には「束縛されるのも、するのもイヤ」
――氷雨はほかの2人の恋人たちに嫉妬心を覚えますが、お二人は恋愛において嫉妬や独占欲があるほうだと思いますか?
栗山:そんなにないかな。相手の時間を縛りたくないし、自分も縛られたくないから、「好きにして」というタイプだと思います。
伊藤:カッコいい!
栗山:もちろん、お互いの歩み寄りは必要だと思いますが、やっぱり自分の時間も大切にしたいですよね。
伊藤:僕も同じですね。伊麻さんは今向き合っている相手がそのときの一番だと感じているところがあると思うんですけど、僕も恋人といるときは恋人が一番だし、友達といるときは友達、仕事のときは仕事が一番という感じなので、あまり束縛されてしまうと自分の中のバランスが崩れてしまう気がするんですよね。
だから、束縛されるのもイヤだし、するのもイヤですね。
■登場人物たちに共感するのは「意外と難しいかも」
――今回のドラマは、常識では収まらない伊麻との関係に溺れていく氷雨だけでなく、夫のモラハラに悩む伊麻の女友達・絹香と、彼氏の束縛に戸惑う伊麻の娘・千夏の視点からも物語が語られます。このストーリーテラーとなる3人に限定するなら、誰に共感できそうですか?
栗山:女性目線という意味では、絹香に共感する人が多いんじゃないですかね。でも、私個人としては結婚しているわけでもないし、全面的に絹香に共感するとかではなくて。
氷雨くんの気持ちもわかるし、どこか自由でいたいと思う伊麻の気持ちもわかるし、難しいですね。どうですか?
伊藤:どうですかね…(笑)。
栗山:自分がうまく答えられないから、投げちゃった(笑)。
伊藤:でも、僕自身としてなら、やっぱり氷雨になってしまいますね。あの家に3人目の恋人として入るのは本当にわからないんですけど、相手(伊麻)を好きになってしまったということを考えると、そうなってもおかしくはない世界線はあるのかなと思います。
■恋は「楽しい」と「つらい」二択では選べない
――原作は一木けい氏の同名小説。その紹介文に「正解がないから――恋は楽しいのか、つらいのか?」とありましたが、お二人がイメージする“恋”はどちらだと思いますか?
栗山:私個人としてはプライベートであまり感情を揺さぶられたくないんですよね。とはいえ、やっぱり恋人となると距離感が近いし、ケンカをすることもあると思うんです。
もちろん、それを乗り越えた先に安心感があったりするけど、正直、面倒だなと思ってしまうところがあって(笑)。だから、「楽しい」と「つらい」の二択では選べないところがありますね。
伊藤:正直にキレイごとなしで言うと、付き合うまでは「楽しい」だと思うんですよ。逆に、付き合ってからのほうが大変だと思います。どうしてもお互いにルールが生まれてくるし、帰る時間を気にしないといけないとか、いろいろあるじゃないですか(笑)。
と言いつつも、恋人として一緒にいる時間の中でもステキなことがたくさんあると思うので、相手とどういう関係性を築けるのかが一番大切なことなのかもしれませんね。
■本作を見て「過ごしやすい世界になってくれたら」
――最後にドラマを楽しみにしている視聴者へのメッセージをお願いします。
栗山:私もそうなのですが、世間の常識とか、世間から言われる“普通”ということに囚われがちで。ですが、そればかりに囚われて幸せを見逃してほしくないし、そう思っていただける作品になるのではないかと思っています。
伊藤:今まで“複数恋愛”を描いた作品は、そんなにないような気がしていて。しかも、不倫とかではない“複数恋愛”なので、もしかしたら視聴者の方はファンタジーだと感じる部分もあるかもしれません。
でも、実際にそういう生活を送っている方もいらっしゃるそうです。とはいえ、視聴者の方の大半にとっては非日常感があると思うので、そういう部分を楽しんでいただけるとうれしいです。
栗山:愛の形はさまざまなので、簡単に良し悪しを決めずに「こういう愛もあるんだ」「こういう家族の形もあるんだ」と思っていただけたらうれしいです。実際にそういう関係を築かれている方々が、生きやすい、過ごしやすい世界になってくれたら、と願っています。
取材・文=馬場英美
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