「頭混乱するのと恐怖が同時にきたわ」「漫画でしか表現できない内容」「これ、どこから現実?」などなど、読者のコメント欄で「意味が理解できなくても怖い!」と評価される佐藤さんの創作漫画「松木さんちシリーズ」を紹介するとともに話を聞いた。
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■「どこの部屋の話してんの?2階にはあんたたちの洋室しかないでしょ?」
松木さん家族は、祖母、母と子ども3人暮らし。しかし、姉のハヅキはすでに家を出て、近くで一人暮らしをしている。その理由は、「幽霊が出るんだよね。4人出るの」と言う。
姉がはじめて霊を見たのは、自分の部屋のベランダ。ベランダから部屋の中を覗いている幽霊を学校の帰りに発見した。不法侵入者だと勘違いした姉は警察を呼ぼうとするが、2階に上がるといつの間にか消えていた。
作者の佐藤さんに話を聞くと、「長姉だけが4人いる(4人しかいない)と思っています。家族それぞれで精神状態は違いますし、何かに取り憑かれているとしたら、その程度も違います。感受性・性格の違いによって家に起こる怪異への対応の違い、を描くのはおもしろそうだなと思っています」と、話す。
怪異のはじまりは扇風機。回転する扇風機に何かが当たると気づいた、タク。それから、不思議なことが頻繫に起きるようになった。母と祖母、ハヅキがキッチンにいると、2階で走り回る足音がする。「うるさいね」と祖母は2階を見上げるが、タクは和室で昼寝をしていた。走り回っているのは、一体誰?
タクが和室で見た不思議な話をすると、ハヅキは「寝ぼけてたんでしょ」と言う。しかし、祖母が「2階は、あんたたちの洋室しかないでしょ」と言い始め、「え?」と混乱するハヅキ。「もー、何言ってんの?」と冗談めかすが、今度は祖母がタクをじっと見つめて「その子、どこの子?」と怪訝な顔をした。
横を見ると座っていたはずのタクはいなくなっており、階段から足音が...。降りてきたのはタクだった。一体何が起こったのか、混乱する瞬間だ。
佐藤さんがホラー漫画を描こうと思った経緯は、「自分の中で『こういうホラーが観たい(読みたい)」という感覚があるんです」という。しかし、「読みたい、イメージする作品をあまり見かけないため、自分で描けたらいいなと思いました」それが漫画を描き始めるきっかけとなった。
こだわっているところは、「あとで自分が読んでもゾクゾクするような表現が漫画の中でできてたらいいなと思います」という。「松木さんち」シリーズ全体のテーマについての着想は、「はじめは短くてオチのない不思議な話をたくさん描きたくて始めたのですが、ちょっと意図と違ってきていますね。こちらのインタビューで方針を振り返るいい機会をいただいたなと思ってます。感謝です」
次々に不可解な現象が起きる松木さんち。霊は住人に対し、何かをしてくるわけではない様子。「敵意も興味もなさそうだからか、怖くなくて済んでる」というコメントもあるが、静かな怖さがある。今後の展開が楽しみな作品である。
取材協力:佐藤
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