米俳優のバル・キルマーさんが4月1日、ロサンゼルスで肺炎のため死去した。65歳だった。娘のメルセデスさんが米ニューヨーク・タイムズ紙に明かした。長年の闘病の末、「トップガンマーヴェリック」での感動的な復帰を最後に、ハリウッドは類まれなる才能を失った。
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【若き日のアイスマン】36年前の劇中カット
1959年12月31日生まれのキルマーさんは、名門ジュリアード音楽院の演劇部門に史上最年少で入学。1984年のコメディ「トップ・シークレット!」で映画デビューを果たした後、1986年の「トップガン」でトム・クルーズ演じるマーヴェリックのライバル、アイスマン役を演じ、一躍ハリウッドのスターダムに躍り出た。
キルマーさんの演技の幅広さは映画界で高く評価されていた。1991年にはオリバー・ストーン監督の「ザ・ドアーズ」で伝説のロックスター、ジム・モリソンを完璧に体現。1993年の西部劇「トゥームストーン」では結核に苦しむガンマン、ドク・ホリデー役で強烈な存在感を示した。
1995年には「バットマン・フォーエヴァー」でマイケル・キートンの後継としてバットマン役を務め、同年公開の犯罪映画「ヒート」ではロバート・デ・ニーロやアル・パチーノという名優たちと肩を並べる演技を披露した。
2014年に喉頭がんと診断され、気管切開手術を受けたキルマーさん。手術後は発声に困難を抱えながらも、2022年の「トップガン マーヴェリック」で36年ぶりにアイスマン役を再演。実生活の病と向き合う姿が作中にも反映され、トム・クルーズ演じるマーヴェリックとの再会シーンは多くの観客の涙を誘った。この感動的な復帰作が、彼の最後の出演作品となった。
「ヒート」を手がけたマイケル・マン監督は、SNSで「バルの演技の幅広さにいつも驚いていた。何年もの間、病気と闘いながら精神を維持してきたバルが亡くなったことは非常に悲しいニュースだ」と追悼の言葉を寄せている。
2021年には自身の人生と闘病を記録したドキュメンタリー映画「ヴァル・キルマー 映画に人生を捧げた男」が製作され、カンヌ映画祭でスタンディングオベーションを受けた。また2020年には、「トゥームストーン」での名セリフ「アイム・ユア・ハックルベリー」にちなんだ回顧録も出版していた。
【作品情報】
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ヴァル・キルマー映画に人生を捧げた男
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