FIFAランキング「15位の日本」。W杯で強豪との試合を減らすには「さらに上を狙う」必要が。“極めて難しい挑戦”だが目指す価値は十分ある

バーレーンとの試合でダメ押しとなるゴールを決めた久保建英

FIFAランキング「15位の日本」。W杯で強豪との試合を減らすには「さらに上を狙う」必要が。“極めて難しい挑戦”だが目指す価値は十分ある

4月2日(水) 6:52

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カナダ、メキシコ、アメリカの3カ国共催で行われるFIFAワールドカップ26の出場権をかけた戦いが、現在世界中で行われている。我らがサッカー日本代表も例外ではなくアジア最終予選を戦っている真っ最中である。3月20日にはバーレーン代表と戦い、2-0で勝利。開催国以外で出場権を勝ち取った最初の国となった。

3月25日に行われたサウジアラビア代表戦で日本代表は引き分けたが、勝ち点を20まで伸ばしグループCで2位のオーストラリアとの勝ち点差が7となり、残り2試合を残して首位通過を確定させた。ちなみに、グループA首位のイラン代表も25日にウズベキスタン代表戦を引き分けて本大会出場を決めた。また、南米予選で25日にブラジル代表を破った前回大会の覇者アルゼンチン代表も出場権を獲得している。ただ、日本の次に出場権を獲得したのはニュージーランド代表で、24日にニューカレドニア代表に勝利して4大会ぶりの出場を決めた。

出場48カ国が決定するのは、約1年後

ワールドカップの本大会は来年2026年6月11日に開幕する予定で、まだ14カ月以上も先の話だ。現時点で出場を決めた国は前述したとおりで、開催国を含めると7カ国になっている。大半は予選の最後までもつれることを考慮すると、アジアは6月、南米は9月、アフリカは10月、ヨーロッパと北中米は11月に出そろうことになる。オセアニアはすでに最終予選を終えており、ニューカレドニア代表が大陸間プレーオフへの出場を決めているが、そのプレーオフは来年3月を予定しており出場国の48カ国すべてが決まるのは約1年後になる。

これまでの日本代表はアジア最終予選突破に重きを置いてきたが、出場権を獲得したこれからの14カ月間は本大会に向けた強化が目的となる。最終予選が2試合残っているとはいえ日本代表にとっては消化試合なわけで、6月のオーストラリア戦もインドネシア戦も本大会に向けた強化が最大の目的となる。

見逃せないのが「FIFAランキングの順位」

9月以降の国際Aマッチウィークからは親善試合を組むことになり、選手らが公言する「ワールドカップ優勝」へ向けて本格的に動き出していく。

キャプテンを務める遠藤航を中心に「ワールドカップ優勝」を目標に掲げ、森保一監督の口からもその目標はよく聞かれるようになった。ワールドカップで勝つためには、もちろん強化は欠かせない。世界で最長の強化期間を得たわけだが、時間はいくらあっても足りない。この状況下で新戦力が生まれてくる必要性があり、これからはその発掘も欠かせない。ただ、ワールドカップ優勝を目指すうえでは、強化だけではなく見逃せない要素もある。

それはFIFAランキングの順位だ。それはは本大会の組み合わせを決める際に、シード国を決める基準になる。

今大会から本大会に出場する国は、16カ国増えて48カ国になる。それに伴い、これまで8組で行われていたグループリーグは、4カ国ずつの12組に変更された。1998年のフランス大会から前回大会までは32カ国制で優勝するまでに最大7試合だったが、今大会からはグループリーグが3試合、決勝トーナメントが最大5試合となり、優勝するには8試合を勝たなければならない。

試合が増えるという観点からも、どのタイミングでどこと対戦するかは重要になる。優勝するにはいつどことやっても勝たなければならないと主張をする人もおり、それはそれで一理ある。しかし、これまでワールドカップを勝ち取った国を見れば明らかで、対戦相手に恵まれることによって上へと勝ち上がっている事実は否めない。

最新のFIFAランキングで日本は「15位」

「いつどことやっても勝つ」というのは実は弱者の理論で、勝者は最大限の準備をして勝つべくして勝っている。日本代表も優勝を目指すというのであれば、シード順にもこだわっていかなければならない。

本大会でのシード権ということを踏まえて、昨年12月に発表された最新のFIFAランキング(次回は4月3日更新)を見てみよう。

1位:アルゼンチン:1867.25
2位:フランス:1859.78
3位:スペイン:1853.27
4位:イングランド:1813.81
5位:ブラジル:1776.85
6位:ポルトガル:1756.12
7位:オランダ:1747.55
8位:ベルギー:1740.62
9位:イタリア:1731.51
10位:ドイツ:1703.79
11位:ウルグアイ:1695.91
12位:コロンビア:1694.44
13位:クロアチア:1691.59
14位:モロッコ:1688.18
15位:日本:1652.79
16位:アメリカ:1645.48
17位:セネガル:1637.25
18位:イラン:1635.31
19位:メキシコ:1627.40
20位:スイス:1625.16
21位:デンマーク:1611.49
22位:オーストリア:1589.84
23位:韓国:1585.45
24位:エクアドル:1560.13
25位:ウクライナ:1554.94
26位:オーストラリア:1544.15
27位:スウェーデン:1540..20
28位:トルコ:1537.24
29位:ウェールズ:1534.39
30位:ハンガリー:1517.57
31位:カナダ:1515.96
32位:セルビア:1514.28

「ポッド1のスペイン」と「ポッド2のドイツ」を倒したものの…

ワールドカップ本大会のシード権は、ポッド1〜4の4段階に分けられる。仮に日本より上位の国がすべて出場するとしたら、日本は15位なのでポッド2に入り組み分け抽選が行われる。

前回大会でいえば、日本はポッド3で同組のポッド1がスペイン、ポッド2がドイツ、ポッド4はコスタリカだった。結果的には日本が下剋上を起こしたのだが、優勝を狙うためにはあのような紙一重でギリギリを迫られる戦いはグループリーグでは避けたいところだ。

本大会の組み合わせ抽選会の日程は、まだ発表されていない。前回大会は3月に行われたが異例の冬開催だったためで、その前までの夏開催の通例でいうと今年の12月に行われるだろう。そうなると、その直前である11月の国際Aマッチウィークの結果を受けたランキングをもとに出場国がポッド分けされることになる。

そもそもFIFAランキングは試合結果によって勝ち点のようなポイントが決まっており、それに国際トーナメントや親善試合などによって決まる試合の重要度による係数と、ランキングの差異によって決まる期待される結果を係数化したものをかけ合わせて、ポイントが増減する仕組みになっている。同じ相手であってもワールドカップで勝つのと、親善試合で勝つのでは得られるポイントが違うし、ランキングが上位の相手に負けるより下位の相手に負けるほうが減少ポイントは大きくなる。

ポッド1に入る可能性は極めて難しいが…

日本はこの1年で順位を18位から15位まで上げている。それを踏まえると、ポッド1も狙える可能性はある。だが、今大会は3カ国共催のためいずれも日本より下位のカナダ、メキシコ、アメリカがポッド1の12枠のうち3枠を占める。そのため日本が確実にポッド1に入るためには9位以内に入らなければならず、重要度の落ちる試合が多くなるこの8カ月で上げるにはなかなか難易度が高い。

逆にポッド3に落ちる可能性だが、24位以下とは100ポイント近く離れており、こちらも可能性としては大きくない。たとえば、6月にランキング差異の大きいインドネシア代表に負けたとすると、20ポイント超を失うことになる。こういったランキング差異の大きな相手に負け続けないかぎりは100近くの差は縮まらない。9月からは親善試合試合となり重要度の係数も小さくなるうえ、ランキングでは近い相手と試合をするだろうことを考慮すると、ポッド3に落ちる可能性も極めて少ないといえるだろう。

ポッド1に入る可能性について改めて言及すると、8カ月間でランキングを6つ上げて9位に入ることは極めて難しい。ただ、日本より上位の国がすべて予選を突破して本大会に出場できるとは言い難い。実際に前回大会でいえば、当時9位だったイタリアは予選落ちしている。

現状でいえば、12位のコロンビアは南米予選で6位となっており、1つ順位を落とせばプレーオフに回ることになる危うい状況になっている。このことからも、1つでも順位を上げておけば、ポッド1に入る可能性はあるし、ポッド3に落ちる可能性よりは高いといえる。

日本代表のスタンスは“2通り”

本大会までの日本代表のスタンスとしては、大きく“2通り”考えられる。すべての試合で勝ちにいき、少しでもFIFAランキングを上げてポッド1に入る可能性を高める。もうひとつは、シード権など気にせず勝敗は二の次にして本大会までの強化だけを推し進める。

おそらく森保監督は両方を同時に進めると個人的には予想しているが、新戦力発掘の質問になると森保監督は「呼びたい選手はたくさんいる」と言い続けており、突破を決めた今後は新しい選手を多く招集するとも考えらる。

いずれにしても、森保監督がどちらのスタンスをとったのかは、次回6月の試合に向けたメンバー発表で判明するはずだ。

<TEXT/川原宏樹撮影/松岡健三郎>

【川原宏樹】
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる

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