3月22日(土)、23日(日)に東京ビッグサイトにて開催された世界最大級のアニメの祭典『AnimeJapan 2025』において、「中国のニコニコ動画」としても知られるbilibiliが出展。その取材を通して実感したのは、bilibiliは単なる動画配信プラットフォームにとどまらず、その事業を急速に拡大させているということだ。そんな勢いの止まらないbilibiliが持つ魅力を、アニメージュプラス編集部員が余すことなく徹底レポート!
bilibiliは、中国の若者の間で人気の動画コンテンツコミュニティで、アニメ(Animation)、漫画(Comic)、ゲーム(Game)、小説(Novel)を中心とした内容(中国語圏の言葉でACGN)を特色としている。独自の「弾幕」文化を持ち、近年その事業内容はプラットフォームの整備にとどまらず、アニメ・ゲーム製作、イベント開催などにまで拡大し、中国におけるエンターテインメントの象徴的なブランドになるまで成長した。
そんなbilibiliが、AnimeJapan 2025の出展エリアに登場。出展ブースは中国の伝統を感じることのできる建築で、それを囲むように自社紹介のパネルや、花澤香菜、潘めぐみといった人気声優を招いたステージが用意されていた。
ステージの横からブースを見回すと、まず出てくるのが「MADE BY BILIBILI」のコーナー。単なる動画配信プラットフォームとも誤解されがちなbilibiliだが、テレビアニメに製作委員会として参加することもあるほか、近年ではbilibiliが主導してアニメを制作することも。
それを示しているのがこのコーナーで、『時光代理人』や『TO BE HERO X』、『百妖譜』など、日本国内でもオンエアされた作品が多く並んでいた。担当者にインタビューしたところ、これからは「日本ファンを視野に入れた作品」をさらに作っていくということだったので、まだまだ人気の作品が増えていきそうだ。
さらに、グッズ販売の分野においても、bilibiliは社会現象を引き起こすほどの業績を挙げた。累計販売総数が350万を超えるこちらの痛バッグシリーズは、その企画から販売までをbilibiliが担い、その魅力的なデザインによって需要が爆発した。
ちなみに、bilibiliはサイト開設当初の名前がMikufansであったというほど、初音ミクとの関係が根強く、そのためこちらの痛バッグのほか、初音ミクをモチーフにしたさまざまなグッズを販売している。
それだけではない。日本ではその名が示すとおり、VTuberと言えばYouTubeを活動拠点にしているのが通常だが、中国ではbilibiliが主な活動拠点になっているようだ。とはいえYouTuberではないので、彼らは「VUP(Virtual Uploader)」として活動を続けているそう。今回のAnimeJapan 2025のステージにもVUPが多数登場し、いずれも盛況だった。
そして日本の夏の祭典といえばコミケだが、中国における最大規模のフェスイベントを主催しているのもまたbilibiliなのだという。「BilibiliWorld」と名づけられたこちらのイベントでは、アニメ、ゲーム、バーチャルという二次元ワールドを網羅したさまざまな企画が。
国内外の声優を招いたライブはもちろん、アニメ作品やフィギュア、さらには痛車の展示なども用意され、昨年(2024年)は延べ25万人が参加した。8月の東京ビッグサイトと同じく、7月の上海は、中国の若者にとっての二次元の都なのだ。
いかがだっただろうか。動画配信プラットフォームとして事業をスタートしながら、アニメ制作にグッズ展開、イベント運営など、その活動の幅がとどまるところを知らない「bilibili」。さらにグローバルに拡大していくであろうその影響力を、ぜひとも注目しておいてほしい。
人気のVUPや声優も登壇したステージなど、イベント会場の様子をみる!(関連画像18点)
■bilibiliアニメセンター海外事業総監督 亢越(Kang Yue)さんインタビュー
――まずは、これまでbilibiliのアニメがどのように日本で展開されていったのかをお聞かせください。
担当者中国の国産アニメが量・質ともに安定的に増えたことに合わせて、海外からのニーズが高まりました。
そこで日本でも一部作品をトライアル的に放送したところ、ファンを集めることができましたので、それをきっかけにさらに展開していこうということになりました。
――具体的にはどういったことをされたのですか?
担当者フジテレビさまとパートナーシップを結び、「B8Station」という新たな枠で中国の人気アニメの吹替版を放送することにしました。この枠では、4月から『この恋で鼻血を止めて』という作品が新たに放送されます。
――これからグローバルに展開するにあたって、どういったことを意識されているのですか?
担当者中国国産アニメの展開だけでは、日本のファンの好みに応えられない部分があります。
そのため、企画段階から日本ファンを視野に入れた作品を作ることにし、アニプレックスと共同で『TO BE HERO X』を制作しました。こうした企画段階から海外を視野に入れるということが、これから求められていくと思います。
――ありがとうございます。最後に、日本のアニメファンに向けて言いたいことはありますか?
担当者日本のアニメファンを視野に入れた作品として、企画中のものが多くあります。実際の放送は2026年、2027年になると思いますが、ぜひ楽しみにしていてください!(笑)
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