私の母は、自分の価値観と世界を大事にする人です。それ自体はとても良いことです。しかし問題は、自分が興味のあること以外はすべて「くだらない」と評価を下し、否定してしまいがちなところなのです。
機械なんて「くだらない!」
私が学生時代だった20年くらい前は、少しずつパソコン、そしてインターネットが一般家庭にも普及し始めてきた時代でした。私は先進的なそれらに強く興味を抱き、独学で少しずつ学んでいました。
一方で、それらにまったく興味のない
母は「そんなもの、くだらない!」とバッサリ
。少しでも知ろうとする気持ちは、一切ないようでした。なんと現在でも、必要最低限のことすら学ぶ気がありません。
情報通信業に就いた私の仕事内容についても、説明したところでうまくイメージが湧かないらしく「よくわからない、怪しい仕事」だと思っています。
母の「くだらなくない」時間
このように母は、ほかの人が興味を持っていたり、好きであったりすることでも「くだらない」「怪しい」という評価をしてしまいます。そのためか、娘の私から見ても、友人と呼べる人はほとんどいないように思えます。
だからといって母が寂しい人かといえばまったくそうではありません。母は、自分の興味があることを学ぶことが何よりも大好きで、それらについては非常に博識です。例えば歴史や学問の話であれば、とても得られるものが多く、楽しく話をしてくれます。
床から天井までつながる建て付けの本棚に囲まれて、本を読みながら膝の上の猫をなでて過ごす時間が、母にとってはおそらく何物にも代えがたい幸せなのではないかと思っています。
本当に「くだらない」もの?
ある日、母と電話をした際に、私の小さかったころの思い出話になりました。偶然にも、私が小さいころから好きだったゲームがリメイクされた直後だったので「あのゲーム、リメイクされたんだよ。夫と一緒に楽しく遊んでいるよ」という話をしました。
すると予想通り、
母からは「くだらない」のひと言
。その答えは想像していたものの、やはり好きなものをけなされて悲しい気分になりました。
でも、あえて「本当にくだらないものが、40年近くも続くのかな?」と逆に母に聞いてみました。すると「たしかにそれもそうね、一理あるわ」とまさかの答えが返ってきたのです。
まとめ
自分の世界の中で楽しく生きる母。たしかに難儀な部分が多々ありますが、逆にうらやましいと思える部分もあります。そんな母の世界を尊重し、これからも見守っていきたいと思います。
しかしそれと同時に、日々技術が進歩していく未来を生きるであろう私たちは、常日ごろから自身の情報をアップデートしていかないと、現在の母の年齢である70代に差し掛かるころにはとても生きていけないだろうと改めて感じました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:磯辺みなほ/30代女性。ゲーマー。発達障害持ちの夫と2人暮らし。大変なことも多い中、それ以上にネタと笑顔にあふれる毎日を送っている。
イラスト/おんたま
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年1月)
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