【選抜高校野球】松坂大輔に迫る逸材、規格外の二刀流、宮城大弥の再来...甲子園で輝いた10人の新2年生

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【選抜高校野球】松坂大輔に迫る逸材、規格外の二刀流、宮城大弥の再来...甲子園で輝いた10人の新2年生

4月1日(火) 21:45

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今春のセンバツは3年生のドラフト候補が軒並み低調に終わり、「収穫が少なかった」と肩を落とすスカウトが目立った。対照的に目を引いたのは、将来楽しみな2年生の有望株たち。来年のドラフト候補に挙がる可能性を秘めた、10人の大器たちを紹介していこう。

甲子園で自己最速の152キロをマークした横浜の織田翔希photo by Ohtomo Yoshiyuki

甲子園で自己最速の152キロをマークした横浜の織田翔希photo by Ohtomo Yoshiyuki





【伝説を超える可能性を秘めた逸材】まず筆頭として名前を挙げたいのは、チームをセンバツ制覇に導いた織田翔希(横浜)だ。初戦の市和歌山戦では、力感のない投球フォームから自己最速152キロを計測。縦に大きく変化するカーブを操るなど、実戦での強さも武器にする。

身長185センチ、体重75キロの長身痩躯は発展途上で、まだ身長は伸び続けているという。投手としての資質は、伝説的OBの松坂大輔を上回るはずだ。

じつは大会直前には胃腸炎を発症し、練習試合で右手指の爪が割れるアクシデントにも見舞われた。それでも、健大高崎との準決勝では7回無失点の好投を見せ、ひと皮むけた感があった。大きな故障でもない限り、来年のドラフト会議の主役になるだろう。

その横浜との1回戦で敗れたものの、大きく株を上げたのが丹羽涼介(市和歌山)だ。3回途中から2番手として登板し、6回2/3を投げて被安打2、奪三振8とインパクト十分の投球を見せた。エネルギッシュな腕の振りから最速147キロを計測するだけでなく、フォーク、カットボール、カーブなど変化球の精度も高かった。

身長183センチ、体重84キロと均整の取れた体格で、将来性は高い。まだ1球ごとのムラも目立ち、粗削りではあるが、大舞台で存在感を見せたのは大きい。今後はマークされるなかでも自分の実力を発揮できるかに注目したい。

左投手で頭ひとつ抜けていたのは、末吉良丞(沖縄尚学)だった。身長175センチ、体重89キロと厚みのある体格で、マウンドでのふてぶてしいたたずまいが印象的。昨秋の明治神宮大会では本調子ではなかったが、今春は甲子園マウンドで最速145キロを計測した。

力任せではなく、変化球を交えた総合力で抑えるのが持ち味。シルエットはまるで異なるが、投球スタイルは本人が目標とする宮城大弥(オリックス)と重なる。

投打の二刀流として、とてつもないスケール感を見せつけたのが菰田陽生(山梨学院)だ。身長194センチ、体重98キロの大きな体には、壮大なロマンが詰まっている。

今春のセンバツでは自己最速を6キロ更新する最速152キロをマークし、3回パーフェクト投球を披露した。また、打っては豪快なフルスイングで、2試合で3安打を放った。本人は「大谷翔平さん(ドジャース)のような選手になりたい」と、強い二刀流志望を持っている。

1年夏から花巻東の中軸を担う古城大翔photo by Ohtomo Yoshiyuki

1年夏から花巻東の中軸を担う古城大翔photo by Ohtomo Yoshiyuki





【花巻東のスラッガーコンビ】大谷を世に送り出した花巻東にも、楽しみな2年生コンビがいる。いずれも右のスラッガータイプである古城大翔と赤間史弥だ。

古城は元プロ野球選手の父(茂幸/元・巨人ほか)を持ち、今春は故障明けのため2回戦から登場した。瞬時にクルッと回転するキレのあるスイングで、甲子園の左翼方向へ飛距離十分の大ファウルを放つシーンもあった。状況に合わせて変化球を軽打し、ヒットゾーンに運ぶうまさもある。

赤間は珍しい左投右打の外野手で、投手としても140キロに達するエンジンを内蔵する。バットヘッドをしならせるスイングが特徴的で、自分の間合いに呼び込み、強いインパクトでとらえる。山川穂高(ソフトバンク)の姿が重なる強打者だ。

古城も赤間も、センバツでは木製バットで出場した。古城は身長182センチ、体重90キロ。赤間は身長180センチ、体重94キロとたくましい体躯を誇る。高校通算本塁打は古城が8本、赤間は11本。スイングスピードは古城が135キロ、赤間は138キロと拮抗している。

横浜は野手にも、将来有望な2年生がひしめく。とくに一塁手の小野舜友、遊撃手の池田聖摩はプロ入りを狙える好素材だろう。

小野の打席姿とスイングは、筒香嘉智(DeNA)の高校時代を彷彿とさせる。センバツでは5試合で打率.222とやや低調だったものの、逆方向へ強い打球を放つなど強打者としての片鱗は見せた。

左投左打の一塁手ながら、投手としても最速140キロを超える。今後はコンスタントに長打を打てるかがカギになりそうだ。

池田は近未来の守備名人になるだけの素養を持っている。弾かれたような一歩目、しなやかな足運び、鋭い腕の振りのスローイング、どんな体勢でも打球をさばけるボディーバランス。まだ2年生らしく雑なシーンも見られるが、そのフィールディングをシートノック時から堪能したい。

打撃は下位打順ながら、強く振り抜く意図が伝わってくる。今後は攻守ともに高校球界の中心的存在になる可能性は十分にある。

外野手では石田雄星(健大高崎)の躍動ぶりが際立った。身長170センチ、体重72キロの小兵だが、1番・中堅手としての存在感は大きかった。1回戦の明徳義塾戦では、三塁走者として好スタートを切って先取点をもぎ取る。準決勝の横浜戦では正確なバックサードで走者を刺し、チームをピンチから救った。

祖父の真は阪急でプレーした元プロ野球投手。今後は打撃面にもう一段上の強さが出てくれば、楽しみだ。

捕手では山田凜虎(智辯和歌山)が光っていた。愛知・東海中央ボーイズ時代から有望視されてきた好素材で、今春は6番・捕手としてチームのセンバツ準優勝に貢献。スローイング動作にキレがあり、低い体勢から伸びのあるボールを投げられる。ただし、2回戦のエナジックスポーツ戦では6盗塁を許し、屈辱を味わった。

以上に挙げた10人は、いずれも大きな伸びしろを残した選手ばかり。これからどんな成長曲線を描き、高校球界を沸かせてくれるのか。楽しみは広がるばかりだ。

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