3月31日(月) 19:00
妻が専業主婦になっても家計が回せる年収の目安を知るために、妻が専業主婦の3人世帯の平均的な生活費を見てみましょう。
総務省統計局「2024年家計調査 家計収支編」の結果によると、「夫のみ有業の世帯のうち夫婦と未婚の子ども1人の世帯」で1ヶ月あたりの平均消費支出(生活費)は、30万5727円です。この数字を参考にするなら、夫の年収が約31万円×12ヶ月=372万円の手取りがあれば、妻が専業主婦になっても、平均的な生活費をまかなえることになります。
しかし、生活費だけでギリギリの手取り年収では、収入が十分であるとはいえません。冠婚葬祭費や医療費など急に発生する可能性がある費用への備え、将来の教育費や老後資金のための貯蓄などが必要であることを考えると、安心して専業主婦になれる生活費はもう少し上だと考えられます。
例えば、手取りの2割を貯蓄に回すとすると、必要な手取り年収は465万円です。一般的に手取り額は額面年収の8割前後になるため、額面では580万円前後が必要な計算になります。
なお、同調査によると妻が専業主婦で未婚の子どもが2人の世帯で1ヶ月あたりの平均消費支出は32万5499円です。子どもがもう1人増えた場合は、さらに年間25~30万円程度の手取りが必要になることも頭に置いておきましょう。
妻が専業主婦の夫婦と子ども1人の世帯の平均年収は、どのくらいなのでしょうか。
同調査によると「夫のみ有業の世帯のうち夫婦と未婚の子ども1人の世帯」で1ヶ月あたりの平均勤め先収入は53万8042円、可処分所得(手取り)は47万6716円です。年収に直すと約650万円、可処分所得は約570万円となります。
では、子ども1人の共働き世帯の年収と比較してみましょう。同調査では「有業者は夫婦のみの世帯のうち夫婦と未婚の子ども1人の世帯」で1ヶ月あたりの平均勤め先収入は68万5113円、可処分所得(手取り)は58万533円となっています。年収に直すと約820万円、可処分所得は約700万円です。
共働き世帯と比べると、専業主婦世帯の平均収入は8割程度しかありません。そのぶん支出をおさえなければならない部分が出てくることについては、仕事を辞める前によく検討する必要があるでしょう。
統計データをもとに推計した数字は、あくまでも平均的なものです。専業主婦になるのに実際に必要な年収は、個々の家庭のライフプランによって大きく異なる可能性があります。例えば次のような要素は、家計の収支を大きく左右するため、ある程度方針を決めたうえで必要な年収を見積もってみるとよいでしょう。
●子どもの進学ルート(私立か公立かなど)
●住宅の取得(有無、時期、住宅ローンの金額など)
例えば、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」の結果によると子どもを幼稚園から高校まで一貫して私立校に通わせた場合、平均1976万円の学習費が必要です。一方、一貫して公立校の場合の学習費は平均596万円と、3分の1以下に納まっています。子どもを私立に通わせたいという希望があるならば、より余裕のある年収をキープしておく必要があるのです。
また、将来的に住宅ローンを組むかどうかも無視できません。例えば、住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」によると、2023年度にフラット35を利用した人にかかる融資額の平均は3238万3000円、1ヶ月あたりの予定返済額は11万7200円です。毎月約12万円の返済の有無は、家計の収支を大きく変化させます。
このほか、夫婦の老後資金を十分に準備できるかどうかも、検討したいポイントです。検討の結果、家計の収支に不安がある場合は、子育てが一段落したのちに働くことを再開することも視野に入れるとよいでしょう。
専業主婦になって夫の収入だけで生活していけるかどうかは、それぞれの家庭のライフプラン次第で大きく異なります。統計データを信じ込まず、希望するライフプランを整理したうえで、必要な収入をシミュレーションしましょう。
子育てのために仕事を離れたとしても、必要なタイミングで仕事を再開することは可能です。将来の働き方も含めて夫婦で計画を立ててみましょう。
総務省統計局 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2024年 表番号3-11
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査
住宅金融支援機構 2023年度 フラット35利用者調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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