守田英正の視線はプレミアリーグに向けられている──。
こう表現して差し支えない。内田篤人氏がMCを務める『フットボールタイム』(DAZN)でも、「できればプレミアリーグで」と明言していた。
ポルトガルのスポルティングで確固たる地位を築いた今、ステップアップを試みるのは当然だ。世界最高峰といわれるプレミアリーグにチャレンジしたいという発想は、極めて健康的だ。
守田英正はプレミアリーグに向いている?photo by AFLO
一部で年齢的な不安が指摘されている。守田は今年5月に三十路を迎えるからだ。しかし、30歳をすぎてプレミアリーグに赴き、成功を収めた選手は少なくない。
ジャンフランコ・ゾラは30歳でパルマからチェルシーに移籍。類稀(たぐいまれ)なるビジョンと正確無比なFKは圧倒的多数のサポーターに支持された。同じくチェルシーでは、チアゴ・シウバが36歳の時にパリ・サンジェルマンからやって来て、瞬(またた)く間にチームリーダーになっている。
さらに、ズラタン・イブラヒモヴィッチがパリ・サンジェルマンからマンチェスター・ユナイテッドに新天地を求めたのは34歳の時だった。2016-17シーズンのヨーロッパリーグ優勝は、彼の存在感があったればこその栄冠である(準々決勝で右ひざを負傷してシーズンを終える結果にはなかったが)。
また、ジョアン・モウティーニョは31歳でモナコからウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ(以下ウルヴズ)に移籍し、5シーズンに渡って異彩を放った。
そして現在もモハメド・サラー、フィルジル・ファン・ダイク(ともにリバプール)、ダニー・ウェルベック(ブライトン)、ダン・バーン(ニューカッスル)、イドリッサ・ゲイェ(エバートン)など、衰え知らずの30代が光り輝いている。リバプールの遠藤航も32歳で新境地を迎えた。年齢などただの数字にすぎない。
【ウルヴズへの移籍交渉は最終段階か】守田はフットボールIQが高く、チームが混乱に陥っても攻守を落ち着かせる。なおかつ運動量豊富で、キープ力、縦を意識したパス、1対1の強さなど、中盤センターに求められる要素をフル装備している。鋭い読みから仕掛けるタックルは確実にボールを狩り、適切な位置取りでパスコースを巧みに消す。
従ってポゼッション、カウンター、ハイライン、ローブロックなどのタイプを選ばず、あらゆる戦略・戦術に対応できる「万能型」だ。すでに多くのクラブが守田をレーダーにとらえ、スポルティングの専門サイト『leonino』は次のように報じていた。
「すでにモリタは退団の意向を伝えており、移籍先はすでに知られているとおりだ」
昨年夏からリンクされているウルヴズとの交渉が、最終段階に入ったかのような内容だ。ポルトガルの一般紙『A Bola』は「今年2月にもウルヴズから1000万ユーロ(約16億円)のオファーが届いたが、スポルティングが拒否した」とも伝えている。
移籍は既成の事実といったニュアンスでクラブの専門サイトが報じると、水面下の交渉がスピードアップしたとも考えたくなる。しかし、ウルヴズは親会社の『フォスングループ』(中国企業)が業績不振に陥り、買いより売りを優先せざるを得ない。
直近2シーズンでもルベン・ネヴェス(→アル・ヒラル)、マテウス・ヌネス(→マンチェスター・シティ)、ペドロ・ネト(→チェルシー)などの主力を惜しげもなく放出している。今夏はマテウス・クーニャ、アンドレ、ジョアン・ゴメスといったブラジル代表の退団も確実視されはじめた。
アストン・ヴィラも要注意である。昨夏に主力MFドウグラス・ルイスをユベントスに、この1月に有望株のFWジョン・デュランをアル・ナスルに手放した背景には、チームの経済的な苦境が隠されていた。
売り上げに対する人件費の比率が毎年のように高騰し、シーズン終了後も主力の放出やむなしとの情報が流れはじめた。アストン・ヴィラは2022-23シーズンに1億2000万ポンド(約232億円)もの赤字を計上している。シーズン終了後は人員整理から取りかかるしかない。
【好調ノッティンガムとの相性はいい】そんな危険すぎる橋を「和製ロドリ(マンチェスター・C)」とも評される守田に渡らせるなど、もっての外だ。
スポルティングで守田を指導したルベン・アモリムが監督を務めるマンチェスター・Uは、今夏の市場では売りに重点を置く。アーセナルのトップターゲットはストライカーで、マンチェスター・Cは「若返りを図る」(ジョゼップ・グアルディオラ監督)。サラーとファン・ダイク、トレント・アレクサンダー=アーノルドの去就が極めて微妙なリバプールは、ウイングストライカーとセンターバック、右サイドバックの補強が先決だ。
もちろん、彼らのようなメガクラブでも守田は通用すると期待しているが、プレミアリーグは選択肢が実に豊富だ。
たとえば、ノッティンガム・フォレストである。
今シーズンは大躍進。29節時点で3位につけ、チャンピオンズリーグ出場権獲得が現実味を帯びている。中盤センターは基本的にライアン・イェーツとエリオット・アンダーソン、ダニーロで回してきた。ただ、チャンピオンズリーグもしくはヨーロッパリーグを戦ううえでは、選手層が薄い。
守田の能力が必要だ。FWクリス・ウッドの高さ、アンソニー・エランガとカラム・ハドソン=オドイの両ウイングが持つスピードを、日本代表MFが縦を意識したパスで操るに違いない。
しかも、続投が決定的になったヌーノ・エスピーリト・サント監督はポルトガル人だ。ポルトガルで3年目を迎えている守田との間にコミュニケーションの不安は少ない。
さらに、ヨーロッパのコンペティション参加が確実になりつつある今、すべての主力が残留する可能性が広がってきた。野心あふれるオーナーのエバンゲロス・マリナキスも「ビッグトーナメントで我々の力を知らしめるためにも大胆に補強する」と公言した。彼のプランに守田が含まれていても不思議ではない。
【メガクラブからのコンタクトも...】一方、アンドニ・イラオラ監督の率いるチームも悪くない。ボーンマスを今シーズン限りで退団し、来シーズンからトッテナム・ホットスパーの監督に就任する気配が濃厚だ。縦の意識が強く、あらゆる局面で高いプレー強度を求めるイラオラ監督のスタイルに、守田は適している。
いずれにせよ、日本が誇る万能型MFには少なからぬオファーが届くだろう。筆者が除外したメガクラブがコンタクトを図るかもしれない。内容を十分すぎるほどに吟味し、プレミアリーグの扉をこじ開けろ!
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