3月29日(土) 19:40
2025年度から拡充される制度は「高等教育の修学支援新制度」です。この制度は、経済的な理由で大学などへの進学が困難な学生を支援することを目的として、2020年4月から運用が開始されました。制度の対象となる世帯には、授業料などを減免する措置がとられています。
今回の制度拡充では、少子化対策も兼ねて、特に教育費の負担が大きい多子世帯への支援が強化されます。拡充後、入学金および授業料に対して減免される上限金額は次の図表1の通りです。
図表1
文部科学省 令和7年度から、子供3人以上の世帯への大学等の授業料等の無償化を拡充します!(「高等教育の修学支援新制度」の拡充)
制度の対象になるのは、家庭が多子世帯に該当し、2025年度に大学などに進学または在学中の子どもがいる世帯です。多子世帯とは、扶養の子どもを3人以上持つ世帯のことです。
多子世帯に該当するかは、申請時点で確定している直近の年末(12月31日)時点の世帯で扶養している子どもの人数によって判断されます。
また、この多子世帯への支援の対象となる条件に、所得制限はありません。扶養している子どもの人数が条件に当てはまれば、どのような所得の世帯であっても制度の対象となる点も、今回の拡充の大きなポイントです。
ただし、子どもの通う学校によっては、対象外となるケースもあることに注意が必要です。子どもが進学または在学中の学校が対象校となっているかどうかは、文部科学省の特設ホームページで確認できます。
「扶養の子どもを3人以上持つ世帯」という条件に関して、「子どもが3人以上」ではなく「扶養の子どもが3人以上」である点に注意が必要です。つまり子どもが3人いても、扶養の子どもが2人以下になると、大学などに在学中の子どもを含めて、制度の対象から外れてしまいます。
例えば、以下の家族構成で子どもが3人とも扶養に入っており、長女と次女が制度の対象となっているケースを参考に、制度の対象外となる事例を2つ紹介します。
●長女:大学4年生
●次女:大学1年生
●三女:中学3年生
1つめの事例は、この翌年に長女が卒業し、就職して扶養から外れる場合です。扶養の子どもが2人になるため、次女は制度の対象から外れてしまいます。
2つめの事例は、長女または次女がアルバイトをしていて、給与収入が123万円(2025年から)を超えたことで扶養から外れる場合です。就職は節目として分かりやすいですが、アルバイトの収入が一定額を超えたかどうかは把握しづらいので注意しましょう。
2025年度から高等教育の修学支援新制度が拡充されます。扶養の子どもを3人以上持つ多子世帯が対象で、制度の対象校に進学または在学中の子どもがいる場合、授業料や入学金が減免されます。
そのため今回のケースのように、同じような生活レベルの世帯であっても、友人家族に扶養する子どもが3人いたとすると、入学金負担の有無といった大きな差が生じることが起こり得ます。
一方、子どもが就職したり、アルバイトの年収が増加したりして、扶養の子どもが2人以下になると、在学中の子どもであっても制度の対象から外れてしまうことに注意が必要です。子どもが3人いるからといって、必ずしも全員が制度の対象となるわけではありませんので、正しく認識しておきましょう。
文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移
文部科学省 令和7年度から、子供3人以上の世帯への大学等の授業料等の無償化を拡充します!(「高等教育の修学支援新制度」の拡充)
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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