3月29日(土) 17:20
退職年齢は、個人のライフスタイル、健康状態、貯蓄額、家族構成などによって大きく変わります。
一概に「何歳まで働けば良い」とは言えません。一般的には、老後に必要な生活費と受け取れる年金額を比較し、「不足分を補えるだけの期間」を考える必要があるでしょう。
老後の生活費はいくら必要なのでしょうか。総務省の「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯の支出は月平均で約15万8000円です。
ただし、これはあくまで平均値であり、実際の支出は生活水準や住居形態、健康状態など、個々の状況によって変動します。例えば住居費については、この指標の前提は月1万3000円程度です。賃貸住宅の場合、特に都心ではこの金額を大幅に上回るケースも多いでしょう。
公的年金の受給額は、収入や加入期間によって異なります。今回は厚生労働省の「公的年金シミュレーター」を利用し、年金受給額を試算してみましょう。シミュレーションの前提は次のとおりとします。
●生年月日:1984年6月1日(現在満40歳)
●会社員期間:22歳~65歳
●年収:500万円
この前提でシミュレーションした年金の年間見込み受給額は、65歳から受け取る場合は年間1900万円(66歳以降は203万円)です。そのため、1ヶ月あたりでは約16万円~17万円となり、先ほどの平均的な毎月の支出額とほぼ同じ金額です。
一見すると年金だけで生活費をまかなえるように感じるかもしれません。しかし、医療費や介護費、住居の修繕費などの突発的な支出や、物価上昇による生活費の増加、その他個々の事情を考慮すると、必ずしも年金だけで十分でない場合もあるでしょう。
年金だけで生活費をまかなえない場合、貯蓄での対応や働くという選択肢があります。何歳まで働くかは、個々の状況によって異なりますが、実態はどうなっているのでしょうか。
内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、2023年時点で男性の就業率は60~64歳で84.4%、65~69歳で61.6%、70~74歳では42.6%となっています。多くの高齢者が定年後も働き続けているのです。
老後に働くのは気が進まないという人もいるでしょうが、老後に働くことには数々のメリットがあります。
まずは、収入の確保です。年金だけでは生活費が不足したり、余裕がなかったりするかもしれませんが、働くことで生活費を補うことが可能です。
また、仕事を続けて社会とのつながりを保つことで、精神的な充実感を得られることもあるでしょう。さらに、適度な労働は身体的な健康維持に役立つことも期待できます。
年収500万円の40歳の場合、65歳以降に受け取れる年金額は月額約16万円~17万円と試算され、単身者の平均的な生活費とほぼ同等です。
しかし、突発的な支出や物価上昇などを考慮すると、年金だけで安心とは言えません。生活の安定のためには老後の就業も検討したいところであり、実際に現在は多くの高齢者が働いています。
具体的な退職年齢は個々の状況によって異なりますが、本記事を参考に、老後の就労について考えてみるのも良いでしょう。
総務省 家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要
内閣府 令和6年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)1 就業・所得
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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