3月29日(土) 20:10
特定扶養控除は、19歳以上23歳未満の扶養親族がいる場合に適用される所得控除制度です。大学生や専門学校生が主な対象で、教育費の負担が大きい家庭を支援する目的で設けられています。
この控除の特徴は、一般の扶養控除より控除額が大きい点です。一般の控除対象扶養親族の控除額は38万円ですが、特定扶養親族の場合は控除額が63万円と、25万円多くなります。
また、「納税者と生計を一にしていること」が条件となるため、親元を離れて暮らしていても、仕送りを受けるなど生計を共にしていると判断されれば、特定扶養控除の対象になります。
ただし、控除を受けるには所得制限があり、給与所得のみの場合、学生が年収103万円を超えると対象外です。
特定扶養控除を受けるには、学生の年収を103万円以下に抑える必要があります。目安として、月収は8万6000円以下に収めることがポイントです。
2024年に実施された「第60回学生生活実態調査」によると、大学生の1週間の平均労働時間は約12時間でした。
この働き方で、仮に時給2900円の塾講師アルバイトをしたとすると、月収は約13万9200円、年間では約167万円となり、扶養控除の適用条件を超えてしまいます。
扶養控除を受けるためには、時給2900円の場合、労働時間を週7.5時間以内に調整する必要があるでしょう。
例えば、親の年収が800万円の場合、子どもが特定扶養控除の対象外になると、年間の税負担は大体18.7万円ほど増えることになります。月単位では、おおよそ1.6万円の負担増となります。
この額の算出方法は以下の通りです。
課税所得は「年収 - 給与所得控除 - 各種控除」で求めます。例えば、親の年収が800万円の場合、給与所得控除(約143万円)や基礎控除(48万円)を差し引きます。
課税所得が確定した後、税率を適用して所得税を計算します。税率は累進課税で、課税所得が増えるほど税率も上がります。
住民税は約10%が課せられ、増加分に応じて計算されます。
扶養控除が外れることで、所得税および住民税が増加し、年間で約18.7万円、月々で約1.6万円の負担が増えることになります。なお、あくまで目安としての数字であり、実際の税額は家庭の状況によって異なる可能性がありますので、参考程度にご確認ください。
税負担を抑えたい場合、子どものアルバイト収入を年間103万円以下に抑えたほうがよさそうです。しかし、子どもにやる気があり、高時給のアルバイトでしっかり稼ぎたい場合は、扶養控除を外れる選択肢も考えられるでしょう。
親としては税負担の増加が気になるかもしれませんが、「月1.6万円程度の負担増であれば、大きな影響はない」という場合もあるかと思います。どのラインまで収入を増やすかを家族で話し合い、最適な選択をすることが大切です。
国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 No.1199 基礎控除
総務省 個人住民税
全国大学生活協同組合連合会 第60回学生生活実態調査 概要報告
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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