3月28日(金) 19:20
一般的に「単身赴任手当」は次のように支給されることが多いです。1つは「単身赴任者に対し単身赴任手当として毎月一定額を支給する」ケースで、単身赴任手当といえばこれをイメージする人は多いでしょう。毎月支給されることもあって、日々の生活費の補填(ほてん)に使いやすいです。
もう1つは「単身赴任者が、帰宅するための旅費として月または年を単位として支給する」ケースで、飛行機や新幹線での移動が必要な遠方へ赴任する場合に、自宅への帰宅の補助として支給されます。
ただし、単身赴任手当の支給条件は公務員と民間企業とで異なり、また会社によっては単身赴任手当が支給されない場合もあります。詳しくは自身の会社の就業規則を確認しましょう。
国税庁によると、会社員や公務員に対して支払われる、残業手当や休日出勤手当、扶養手当といった「手当」は、給与所得として扱われ、課税の対象となっています。一方、通勤手当や出張の旅費などは非課税となっています。
同じ「手当」であっても、通勤手当や旅費は「業務に必要な経費」ですが、単身赴任手当は「個人の生活費の一部」とみなされ、違いがあります。そのため、単身赴任手当は単身赴任における生活費の補助であり、控除の対象とはならないのです。
また、帰宅するための旅費が単身赴任手当として出される場合についても、この旅費は業務に必要な費用ではなく、個人の生活に関わる支出であるため、同様に所得税の対象となります。
単身赴任手当は、一般的にどのくらい支給されるのでしょうか。厚生労働省が行った「令和2年就労条件総合調査の概況」によると、「単身赴任手当、別居手当など」の平均支給額は4万7600円となっています。ただし、これは平均額であり、勤務先によっては支給がない場合もあるので注意が必要です。
家族が単身赴任をするとなると、2世帯分の住宅費や生活費が必要となり、家計にとって負担増になることが多いでしょう。その補助となるのが単身赴任手当ですが、これはあくまでも生活費用の補助であり、業務上必要な経費ではないため、給与の一部として課税対象となります。
しかし、課税対象で満額を負担増の補填に充てることができないとはいえ、単身赴任中の生活を支えてくれる貴重な手当なので、上手に利用しながら家計管理を行うようにしましょう。
国税庁 単身赴任手当等
国税庁 No.2508 給与所得となるもの
厚生労働省 令和2年就労条件総合調査の概況
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級
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