3月28日(金) 19:30
有休は、使用できる日とできない日があります。有休を使えない日とは、どのような日でしょうか。そもそも有休とはどんな制度なのでしょうか。
年次有給休暇(有休)は、労働基準法第39条に定められた休暇で、「6ヶ月間継続勤務し」「所定労働日の8割以上出勤した」といった要件を満たした労働者に付与されるものです。労働者は「この日に休みます」と有休の取得時期を指定することで、会社が時期変更権を行使しない限り、その日の労働が免除されます。
雇用契約により、会社は「労務の提供を受ける権利と賃金を支払う義務」を、従業員は「労務を提供する義務と賃金を受ける権利」を、それぞれ持っています。
年次有給休暇を取得した日については、従業員側の「労務提供の義務」が免除され、従業員は「賃金を受ける権利」だけを享受できるのです。
有休を取得できるのは、要勤務日のみです。したがって、所定労働日が少ないパート従業員の場合、有休を取得できる日がある程度限定されます。労働義務のない日、つまり、もともと休みの日には、年次有給休暇を取得する余地がないためです。
では例として、現在が3月1日である場合、パート勤務の人が3月末日までに消化できる有休は何日分でしょうか?
所定労働日が週3日(月曜日・水曜日・木曜日)のパート従業員を想定して考えてみましょう。
2025年のカレンダーで3月1日から3月31日までの所定労働日数を数えると「13日」あります。ただし、祝日を公休日とする契約の場合は、3月20日(木曜日)の春分の日はもともと休日であるため有休を使えず、使える有休日数は「12日」となります。
では有休残日数「14日」の従業員が、在職中に「12日」有休を消化した場合、残りの「2日」はどうなるのでしょうか?消化できなかった「2日」は、残念ですが使用できません。3月31日をもって労働すべき日はなくなるため、有休の権利も消滅します。
まれに、残りの有休を買い取ってくれる会社がありますが、それは会社側の恩恵的な措置に過ぎず、会社に退職時の有休買取義務はありません。
年次有給休暇は「6ヶ月間継続勤務し」「所定労働日の8割以上出勤した」従業員に当然に付与される権利です。有休を「病気やけがなど万一のときのために取っておこう」と考える人は多く、妥当な判断だとも思われます。
しかし、有休は付与から2年で時効消滅し、退職すれば消えてしまいます。ましてや、原則最後に換金できるものでもありませんから、取得できるときに取得してリフレッシュし、また元気に働く、というのがおすすめの使い方です。
e-Gov法令検索 労働基準法
執筆者:橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士
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