ドビュッシーの生家「クロード・ドビュッシー博物館」を訪ねて

octane.jp | 美しい車と暮らす

ドビュッシーの生家「クロード・ドビュッシー博物館」を訪ねて

3月29日(土) 3:11

提供:
パリの西、RER A線の終着駅であるサン=ジェルマン=アン=レー。ここは、パリと郊外を結ぶ最初の鉄道路線が開通した地でもある。地下ホームから地上に出ると、すぐ目の前にサン=ジェルマン=アン=レー城が姿を現す。

【画像】フランスへ行ったら是非訪れてみたい!作曲家クロード・ドビュッシーの生家を改装した「クロード・ドビュッシー博物館」(写真20点)

この城は現在、国立考古学博物館として公開されているが、かつてはヴェルサイユ宮殿が完成するまでのあいだ、王室の居城として機能していた。太陽王ルイ14世もここで誕生している。

駅から徒歩5分ほどの場所にあるのが、作曲家クロード・ドビュッシーの生家を改装した「クロード・ドビュッシー博物館」である。フランス印象派音楽を代表する作曲家、クロード・ドビュッシー(1862-1918)の音楽は、西洋音楽の伝統的な枠組みを越えて、独自の響きを追求した革新的な作品として広く知られている。

ドビュッシーは1862年8月22日、サン=ジェルマン=アン=レーのル・パン通りにある小さな家で、クロード・アシル・ドビュッシーとして生まれた。この家は1680年に建てられ、ルネサンス時代の基礎の上に築かれた歴史的建築物である。彼の両親は1862年から1865年のあいだ、この家の1階で陶器や磁器の店を営みながら暮らしていた。ドビュッシーはここで生を受け、幼少期の一部をこの家で過ごしている。

彼の音楽的才能は早くから認められ、1872年、10歳でパリ音楽院に入学。以降、本格的に作曲家としての道を歩み始めた。

ドビュッシーは「印象派の作曲家」と呼ばれることを好まなかったとされているが、《ベルガマスク組曲》に収められた「月の光」や、交響詩《海》などの作品は、まるで絵画のように繊細で情景的な音楽であり、その表現は印象派という呼称にふさわしいともいえる。

生家を改装したこの博物館では、ドビュッシーの直筆の楽譜や書簡など、貴重な資料を展示している。彼が生きた19世紀末から20世紀初頭のパリは、印象派の絵画やアール・ヌーヴォーが花開いた「ベル・エポック」の時代であり、展示資料にも当時の装飾的な美意識が色濃く反映されている。また、ドビュッシーのポートレート写真も多数展示されており、彼の人物像により近づくことができる。

生家の2階は、かつて彼の家族が暮らしていた住居スペースだった。現在はオーディオルームとして整備されており、映像や音響を通してドビュッシーの音楽を体感することができる。小規模なコンサートが開催されることもあり、訪問者はドビュッシーの音楽世界に深く没入することができる。

彼が影響を受けた音楽や、当時のフランス文化を紹介するインタラクティブな展示も追加されており、訪問者が感覚的に彼の創作世界を体験できる工夫がなされている。

ドビュッシーの音楽は、彼の生きた時代を超えて、現代においても新鮮な響きを持ち続けている。クラシック音楽のみならず、映画音楽や現代音楽にまで影響を及ぼし続けており、日本の作曲家・武満徹もまた、ドビュッシーから強い影響を受けた一人として知られている。

この新しい博物館は、彼の音楽をより深く理解し、楽しむための貴重な場所である。彼の生まれ育った空間に身を置くことで、ドビュッシーが見ていた風景、聞いていた音に思いを馳せることができるだろう。

彼の音楽がもたらした「響きの革命」は、今も多くの人々の心を魅了し続けている。そしてこの博物館は、その豊かな遺産を未来へと受け継いでいく大切な場となっている。


Maison natale Claude-Debussy
38 Rue au Pain, 78100 Saint-Germain-en-Laye
https://culture.saintgermainenlaye.fr/1679/maison-natale-claude-debussy.htm
写真・文:櫻井朋成Photography and Words: Tomonari SAKURAI
【関連記事】
・ルレ・エ・シャトーに大分県・湯布院の「ENOWA YUFUIN」が新たに加盟
・「日本ボート・オブ・ザ・イヤー 2024」が最優秀艇を選出!
・壮大さと繊細さが共存する、ラリックの新作コレクション「テラミネラル」
・世界で10台のみ!グローブ・トロッター とアストンマーティンF1チームがコラボした「SUZUKA LIMITED EDITION」
・F1モナコ グランプリのタイトルパートナーがタグ・ホイヤーに決定
0ctane

生活 新着ニュース

エンタメ アクセスランキング

急上昇ランキング

注目トピックス

Ameba News

注目の芸能人ブログ