父との絆も深めた競馬愛!三浦大輔の娘・三浦凪沙が語る「競馬の魅力」とは?

三浦凪沙

父との絆も深めた競馬愛!三浦大輔の娘・三浦凪沙が語る「競馬の魅力」とは?

3月27日(木) 23:48

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横浜DeNAベイスターズ監督・三浦大輔氏を父に持つ、サンケイスポーツの若手競馬記者の三浦凪沙氏が初めての著書『知れば知るほど楽しくなる!ウマに恋する競馬ガイド』を発売した。競馬に魅了されてからの13年間がこの一冊に詰まっていると話す彼女。本の制作秘話や競馬のことはもちろん、父との関係性についても話してくれた。

1頭にたくさんの人が携わっているということが一番の魅力

――この本を出版することになった経緯を教えてください。

三浦:小学館の方から、競馬を最近好きになったり、興味を持った人に向けてのガイドブックを作りたいというお話をいただいて。自分が本を出せるような人間だと思っていなかったので驚きましたね。でも、競馬を好きな人を増やすことができるお仕事ができたらいいなと思っていたので、お受けしました。

――そうだったんですね。実際の制作期間はどれぐらいでしたか?

三浦:実質稼働した期間は2か月ぐらいでした。その中で一番大変だったのは、矢作芳人厩舎の密着ページの部分で、矢作調教師が栗東トレセンにいる時に取材に行くことでした(笑)。厩舎的に落ち着くのがブリダーズカップ終了後ということでしたが、帰国後も矢作調教師が栗東にいる日がなかなかなく……。かなりギリギリになってしまったのですが、私が中学生の頃から知っている方たちばかりですし、みなさん取材をされ慣れているのでウェルカムな雰囲気で受け入れてくれてすごくありがたかったです。

――本の内容や構成は三浦さんも携わっているのでしょうか?

三浦:ベースとなるものに私の意見も組み込んでもらっています。せっかく作るのであれば、いいものを作りたいですから。「ここは取材に行けるので、こういうことも入れて欲しい」などの意見をすごく言ってしまったので、相当無理を聞いていただきました。当初インタビューをする予定だったのはジョッキーと調教師だけでしたが、「競馬は1頭の馬がレースに出走するまでに、本当にたくさんの人が携わっているということが一番の魅力だと思っているので、それが伝わる本にしたいです」ということをお伝えして、付け加えてもらったものもあります。

――誰かに相談したりしたんですか。

三浦:特に相談はせずに、自分がこうしたいということを聞いていただきました。競馬初心者の方に競馬について知ってもらえることはもちろん、既に競馬ファンで競馬を分かっている人が読んでも面白い本にしたいという思いがありました。だから普段あまり知ることができない生産や育成の牧場の方にもインタビューをさせていただきました。

――完成した本を見た周りの反応はいかがでしたか?

三浦:競馬関係者の方たちが実際に買って読んでくださって、「いろんな人のインタビューが入っているし面白いね」と言ってくださったり、「この本を広めたい」と言ってくださったことがすごく嬉しかったです。もちろん、競馬ファンの方が褒めてくださるのも嬉しいです!

――競馬ファンの方にはあまり知られていない部分や馬具についても詳しく載っていますよね。

三浦:私自身も正しく理解できているのか不安なところがあったので、松岡正海騎手にチェックをしていただきました。例えば馬が顔に付けているメンコとブリンカーの違いや、馬が口にくわえるハミと手綱の効果など、全て松岡騎手に教えてもらいながら文字にしました。読んだ人がイメージできてそのまま受け取れるようなわかりやすい表現にしたいということを松岡騎手がおっしゃっていたのですが、本当にそのとおりの表現になっていると思います!「監修・松岡正海騎手」と書きたいくらいでした(笑)。

――大変だった部分は?

三浦:競馬用語のところは悩みました。掲載する用語の取捨から始まり、競馬に慣れ親しんだ私たちなら特に疑問に思わず使っているような言葉を、初心者の方にどうしたら伝わるのか。表現の仕方がすごく難しかったです。なので、他の記者の方に聞いたり、松岡騎手に聞いたりといろいろな方面から解釈の調整をしました。私自身も新たに知ることがいくつかあったので、とても勉強になりましたね。

これまでの恩返しの気持ちも込めて

――改めてなんですけど、競馬の魅力にハマったきっかけを詳しく聞かせてください。

三浦:父が初めて所有したリーゼントブルースという馬の新馬戦を観に、無理やり競馬場へ連れていかれたのが始まりです。当時はまだ中学生だったので、競馬なんてわからないし、緑の上を馬が走っているだけの何が面白いのだろうと思っていたので正直行きたくなかったです(笑)。でも、父に「ついて来てくれ」と頼み込まれたので、仕方なく行きました。ブルースは1着馬とは離された2着でしたが、すごくいいレースをしてくれたので、そのときに競馬って面白いと初めて思いました。馬が走る音や鞭の音が聞こえてきて、近くに行けばジョッキー同士の声が聞こえてくるときもありますし、お客さんも盛り上がっていて迫力があり、すごく興奮しました。リーゼントブルースに会いに栗東トレセンへ行ったときには、「馬ってこんなに可愛いんだ」と思いましたね。馬に対してあまり可愛いイメージがなかったのですが、近くで見たら目がきれいで大きくて、なんて可愛い生き物なんだろうと。そこから馬に魅了されて、競馬も面白いと思い、どんどんハマっていきました。

――リーゼントブルースの初勝利は競馬場で見ることができたんですか?

三浦:私は自分のソフトボールの試合と被ってしまい、父もシーズン中だったので競馬場には行けませんでした。母と弟も私の試合を見に来ていたのですが、そのときに弟がタオルを渡してくれたついでに「ブルース勝った」と教えてくれて。試合中なのに「えー!!」と叫んでしまった記憶がありますね。その頃は既に馬と競馬を好きになっていたので、野球のシーズンオフには父と一緒に競馬場へ応援しに行くようになっていました。中学3年生の終わり頃には1人で競馬場へ行けるように。1人と言っても、矢作調教師のお知り合いの方など、競馬場に行けば面倒を見てくれる人がたくさんいました。それは個人的に大きくて、周りの人が優しかったから競馬をどんどん好きになれたと思います。なかには1人で競馬場に行くのはハードルが高いという方もいると思いますが、私の場合は競馬場で面倒を見てくださる方が周りにいる環境だったからこそ競馬場に対する怖さがなく、楽しむことができました。この本を作るにあたって、私が競馬と出会ったこの13年間でお世話になった方々に取材の協力をしていただきましたが、これまでの恩返しの気持ちも込めてこの本を作りました。これは自分の中で決めた個人的な裏テーマでもありました。

――改めて、三浦さんが感じている競馬の魅力を教えてください。

三浦:大きなレースに出走する馬だけではなく、どんなクラスにいる馬でも携わっている人たちは気持ちを込めてレースへ送り出しています。競走馬を育成しているシュウジデイファーム代表の石川さんのインタビューで「どんな馬にもいいところがあるので、それを見つけてあげてほしい」というコメントが私にはすごく刺さりました。未勝利馬でメディアに出る機会はないけどこんな可愛いところがあるとか、競走馬になるまでに大変な苦労があったなど、レース以外の部分を近くで見られるようになったというのが、記者になって変わった視点ですね。競馬ファンのときはGⅠや重賞ばかりに目が行きがちでしたが、未勝利馬にもエピソードや勝たせるためになんとかしようとしている人たちがたくさんいて、それも含めて競馬の魅力だと思いました。

――三浦さんは馬房にいる馬の写真や動画をSNSに発信していますよね。

三浦:レース中はメンコをしていて見えないけど、実はメンコの下に特徴的な流星がある子だったり、気の強そうな馬が担当の厩務員さんに甘える姿など、レースでは見せない馬たちの素顔を馬房では見ることができます。予想とは全く関係ないですが、これもまた馬の魅力ですよね。レースに向けて担当の厩務員さんがたてがみを編んだり、お尻に型を使って癖付けしたりと手をかけていて、愛を感じますよね。全頭撮ることは難しいですが、1頭でも多く、1人でも多くの方に知ってほしいので載せています。

――お父さんとは馬の話はしますか?

三浦:基本的に馬の話しかしません。もちろん野球の話もしますが、家族の共通の会話がほとんど競馬なんですよね。弟はあまり競馬場には行きませんが、よく馬券は買っているみたいで。三浦家で一番馬券が上手なのは弟です(笑)。父も毎週、馬券は買っています。私が美浦トレセンから家に帰ると逆取材みたいな感じで、「取材の感触がよかった馬はいる?」と聞かれます。当たったらお礼の連絡がきますよ(笑)。それこそ2月は沖縄キャンプに行っていて、沖縄だと新聞が翌日に届くので私のコラムを読めなくて「推奨馬は何?」という連絡が来ます(笑)。今年の沖縄キャンプの間は、推奨馬がいたら金曜の夜にまとめて送ってあげました。父にとって競馬は息抜きだと思いますし、オフに楽しめるものなので、それがなかったら可哀想だなと。キャンプ期間中は約1か月間、沖縄にいるため、オフの時間が少しでも楽しみになればいいなと思ったので、そういうやり取りはしていました。

――親孝行していますね!

三浦:本当になっているのかはわからないですけどね。ある時、父が土曜日に大的中した日があったので、「明日は今日くらい強く推せる子がいないから、今週はこのまま勝ち逃げしな」と言ったのですが、「明日も頑張ります!」と返ってきました……(笑)。競馬ファンの鏡ですよね!

――ちなみに、お父さんの馬の名前はどのように決めているんですか?

三浦:最初は父が決めていましたが、途中から私も参加させてもらって、家族会議のような感じで決めています。ブルース、ロック、キャロルは父が付けて、フォルテ、シャルフ、アイリス、マリーナ、セレーネ、ミニーは私が付けました。フラム、ジャンボ、ジェイドは母ですね。

――1、2歳馬もいるんですか?

三浦:リーゼントアイリスの子供が2頭いるのですが、まだ名前は決まっていません。幼少期から呼んでいる名前がそのまま馬名になることもあります。ジャンボはまさにそうで、生まれたときからすごく大きかったので、母が冗談で「ジャンボ」と呼んでいたら、ジャンボで馴染んできちゃって。既に私がすごくかっこいい名前を考えていたのですが、ある時、矢作調教師から馬の報告で「ジャンボ?は~」とメールが来たときに、「もうこれはジャンボだ」と観念しました(笑)。でも今思うとそれでよかったですよね。

――家族で共通の話題があるのは楽しそうですね。

三浦:出掛けるときも馬を絡めることが多いです。父の持っていた馬が三浦市の乗馬クラブでお世話になっているのですが、その馬に会いに行って、近くにあるマグロのお店でごはんを食べたり、昨年はエスコンフィールドにブルースが来場するイベントがあったので、そのために北海道へ行き、その後に野球も観たということがありました。

――本当に馬中心の生き方をしているんですね。今後挑戦していきたいことなどありますか?

三浦:競馬の魅力を広め続けたいですね。私が活動することで、ベイスターズファンの方で競馬に興味を持ってくれた人がいることはすごく嬉しいことなので、橋渡しというとおこがましいですが、そういう存在になれればいいなと思います。父の馬だから応援してくださっている野球ファンの方もいますし、逆に三浦凪沙のお父さんが監督をしているチームだからベイスターズを応援するという方もいらっしゃって。最近はそのパターンも増えてきたので、嬉しいですね。どこへ行っても“三浦大輔の娘”が強いので、逆のパターンが増え始めたというのは、個人的に小さな喜びです。双方にとってプラスになるような仕事をしていきたいと思っています。

――今、三浦さんが力を入れている取材は?

三浦:YouTubeで『なぎさの芦毛図鑑』と『なぎさの派手顔図鑑』という企画をしているのですが、レースのための取材というよりも、それ以外のところも広めていきたいという思いがあるので、そういうスタンスで取材をしています。なのでトレセンでは、馬が歩いているところをじっくり見て、新しい芦毛や派手顔の子がいるのをチェックして取材に行ったり、逆に厩舎の人から「新しい派手顔の子が来たから取材してよ」といったオファーもあったりします。どちらかというとみんなと同じようなことをするのではなく、せっかくならちょっと違うことをしたいなと思っているので、これが今の私のお仕事の形です。

――最後に、もう少しでプロ野球が開幕します。お父さんにエールを!

三浦:もちろん頑張ることはもう当たり前というか、頑張れと言わなくても頑張るに決まっていますよね。なので息抜きの部分で家族としては何か力になれればいいなと思っています。馬を持つことに対していろいろな意見があると思いますが、父の馬のことに関しては、しっかりと私が見ているのでファンの方の心配はご無用ですよと密かに思っています!馬のことは私に任せてください(笑)!

取材・文/和田恵実撮影/後藤 巧



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