【MLB】「大谷翔平は球界のテイラー・スウィフト」現地ベテラン記者が振り返る日本開幕シリーズ狂騒曲

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【MLB】「大谷翔平は球界のテイラー・スウィフト」現地ベテラン記者が振り返る日本開幕シリーズ狂騒曲

3月27日(木) 22:00

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米ベテラン記者は日本での大谷フィーバーぶりは、比肩するものが難しいと表現するphoto by Getty Images

米ベテラン記者は日本での大谷フィーバーぶりは、比肩するものが難しいと表現するphoto by Getty Images





MLB.com記者が語るドジャースvsカブス日本開幕シリーズ

大盛況のまま幕を閉じたロサンゼルス・ドジャース対シカゴ・カブスの日本開幕戦(3月18日・19日/MLB TOKYO SERIES 2025)。巨人、阪神とのプレシーズン戦まで含めた全6試合の観客動員は25万人を超え、過去に行なわれたジャパンシリーズ(MLB公式戦)以上の盛り上がりを見せた。

MLB.comの記者として来日し、今回の開幕シリーズを取材したマイケル・クレア氏に総括をお願いした。クレア氏はWBC(ワールドベースボールクラシック)、プレミア12の取材などで豊富な来日経験を誇り、今回は王貞治氏への独占インタビューも実現。そんな親日のベテラン記者にとっても、合計5人の日本人選手が出場した東京での開幕シリーズへのファンの熱狂ぶりは印象的だったようだ。

【アメリカでも見られない盛り上がりだった】2025年のジャパンシリーズ(MLB開幕シリーズ)は、これまでとは空気が違った。2023年のWBCももちろんスタジアムは超満員だったが、東京ドームには異なるエネルギーが漂っていたように思う。初戦が行なわれた3月18日は、開場する約4時間前にはもうスタジアムの周辺に長蛇の列ができていた。

また、関連グッズの販売場所に入るための列もドームの外まで続き、建物の周りを取り囲んで階段の上に達していた。そんな光景もまた、このシリーズへのファンの期待感を象徴していたといえる。

もちろんメジャーの公式戦だった今回と、まだ予選ラウンドだったWBCのゲームをそのまま比較するのは適切ではないかもしれない。それでも今年の熱気が常軌を逸したほどであり、アメリカでも見られないレベルだったという結論は、その場にいた誰もが同意してくれるはずだ。

全チケットの1%しか転売マーケットには出なかった"というSNSの投稿も目にした。それが本当なのであれば、前代未聞のことだ。アメリカスポーツ界最大の人気イベントであるNFL(プロフットボールリーグ)のスーパーボウルのチケットでも、東京ドームのゲームのように転売率が1%なんてことはあり得ない。しかも、これはプレーオフなどではなく、レギュラーシーズン初日のゲームだったことを考えればとてつもないことだ。

昨季世界一に輝いたチャンピオンチームのドジャース、伝統球団であるカブスという人気チームが出場したというだけではなく、やはり大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希、今永昇太、鈴木誠也という5人の日本人選手の存在が大きかったことは明白だ。なかでも大谷の人気は群を抜いていた。

現在の日本での大谷の人気、存在感に比肩する選手はアメリカの野球界にはいないと思う。探すとすればケン・グリフィー・ジュニアまで遡らなければならず、1990年代のグリフィーですらここまで有名だったかはわからない。

大谷の親しい友人であるという理由でテオスカー・ヘルナンデスについての記事が量産され、飼い犬のデコイ(デコピン)までもが大注目になってしまうという異常事態だ。私が日本で買ったお茶のペットボトルにはすべてに大谷の姿がプリントされていた。

日本の野球ファンと話していると、「もう大谷のニュースばかりで飽きてしまった。ほかの選手のことも知りたい」なんて声も聞こえてくる。NBAのファンが「レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)の話題ばかりだ」と不平を言う姿を彷彿とさせる。アメリカで大谷の知名度に匹敵し得るのはテイラー・スウィフトくらい。大谷はまさに"野球界のテイラー・スウィフト"であり、みんなが彼のツアーを楽しみにしているのだろう。

【日本のファンの情熱がMLBにも選手にもポジティブな反応に】このようにMLBの開幕戦が日本で開催され、プラチナチケットになったのはもちろん、このゲームにとってもよいことだ。ご存知のとおり、日本にもNPBというすばらしいリーグがある。それでもこの国のファンが海外のゲームにまで興味を持っていることは、ベースボールのグローバル化の証と考えていい。

近年はイギリスのロンドンや韓国のソウルでもメジャーリーグの公式戦シリーズが行なわれてきた。今回の東京での開幕シリーズの前には、オランダの代表チームが来日し、日本で試合を開催した。チェコ共和国の代表チームは昨年、プレミア12の開始前に台湾と日本でプレーした。これらの例が示すとおり、ベースボールはもう以前のように局地的なスポーツではなくなってきている。もちろんまだサッカーのようではないにせよ、よりグローバルなスポーツになったことで将来的にさらに発展するはずだ。

選手にとっては、長時間のフライトと時差があるゆえに調整が多少難しくなるのは事実だ。ただ、それらもあくまで一時的なことだ。ドジャースのキケ・ヘルナンデス、ミゲール・ロハスといった選手たちは、「確かにフライトは長いけど、それによる疲労感なんて7月頃にはもう誰も覚えてないよ」と話していた。選手たちは総じて楽しんでいたし、外国で新しいファンを得ることもできる。それは特別な経験であり、ほとんどの選手が日本での開幕戦にポジティブな印象を持ったはずだ。

ここでの評判のよさを振り返るまでもなく、MLBが近未来に再び日本で試合を開催しないわけはないと見る。もちろん次の労使協定が締結されてからだと思うが、ベースボールの国際的な成功の大切さと日本のファンの情熱はすでに理解されている。

だとすれば、ジャパンゲームはまた挙行されるのだろう。日本のファンは次の機会でもMLBを大歓迎し、ゲームをまた盛り上げてくれるに違いない。

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