外食する際、口コミサイトの情報を参考に店選びをする人は多いが、評価の低い店の中にはいい店はたくさんある。実際、そういった事前情報を一切入れず、街に繰り出して直観で店を選ぶ人もいるだろう。
会社員の
安川常治さん(仮名・41歳)の趣味は食べ歩き。以前はネット情報を頼りに店を決めていたが、ここ数年は店の外観などで気に入った店にフラッと入ることが多いとか。
店の雰囲気は自分好み。最初は楽しい時間を過ごしていたが…
「『孤独のグルメ』が大好きで、あれを真似しただけです。でも、私も路地裏にあるようなちょっと古めかしい店のほうが好きですし、本当にいい店だった時の感動はひとしお。自分で見つけた、って思えるじゃないですか。もちろん、毎回そういう店に巡り合えるわけではなく、当たり外れはありますけどね」
そんな彼が「自分史上、ダントツにひどかった店」と酷評するのは、親族に法事の帰りに立ち寄った中国地方の某中核都市の居酒屋。街の繁華街から少し離れた場所にあり、昔から営業していると思われるくすんだ外観を見て、「今日はここにしよう」と迷わず決めたそうだ。
テーブル席が4つとカウンターの小さな店で、50代くらいの大将がひとりで切り盛りしている。店内は空いており、テーブル席に作業服姿の男性2人組、カウンター席で飲んでいる初老の男性の3人しかいなかった。
安川さんはカウンター席に座り、ビールともつ煮込み、自家製漬け物の盛り合わせを注文。店内のテレビでは野球中継が流れていたが、応援しているチームの試合ではなかったため、スマホにダウンロードしている電子書籍の漫画を読みながら晩酌をしていた。
すると、同じカウンター席に座る初老の男性から「見ない顔だけど、この店は初めてかい?」と声をかけられたという。
常連客の失礼すぎる一言に、店の大将がまさかの便乗
「その方は、私が店に入った時から大将と親しげに喋っていたから常連客だと一発でわかりました。飲み屋で話しかけられることは今まで何度もありましたし、そういうのは嫌いじゃなかったんです。だから、今日はいつも以上に美味しいお酒になるかなと思っていました」
だが、その期待は見事に裏切られる。最初は店のオススメメニュー、地元の名物グルメの話などをしてくれたが、唐突に「でも、アンタはちょっとメタボだから痩せたほうがいいんじゃないか?」と小ばかにするように言ってきたのだ。
ちなみに安川さんは、身長約170㎝の体重は約90㎏。小太りのメタボ体型なのは誰よりも自覚している。しかしながら初対面の相手から自分の容姿をこんな風に言われたのはこれが初めてだ。
「その一言だけなら私もそこまで気にしません。でも、いちばん腹が立ったのは、この人が大将に同意を求めると、『そんなんじゃ相手も見つからないぞ』って男性の発言に便乗する形で私を馬鹿にしてきたんです」
ただし、安川さんは既婚者。実年齢より若く見られることが多いため、若造だと勘違いしていたとしても店主が客に向ける言葉ではない。結婚指輪をはめた手を見せて妻子持ちであることを告げたが、「嫁さんに感謝したほうがいいな」と口にする始末だった。
失礼すぎる店主と常連客に浴びせた一言とは?
さすがにこれ以上ここで飲んでも酒がマズくなると思い、ビールはまだ2杯目に少し口をつけた程度だったが立ち上がって勘定をお願いすることに。
だが、このまま言われっ放しは癪に障ったため、お釣りを受け取る際、「この店は、店主が常連客と一緒に人の見た目を笑うんですね。正直、大変不愉快です」と言ってやったそうだ。
これに店主はヤバいと思ったらしく、慌てて謝ってきたが常連客からの謝罪はなし。そのため、会計を済ませると常連客の目の前に行き、「おいクソヤロー、お前のせいで最高にマズい酒だったよ」との言葉をぶつけた。先程までの威勢のよさは消え、最後まで下を俯いたままだったという。
距離感が近いのは悪いことではないが…
「大人げないことをしたと思っていますが、失礼なのはお互い様なので。ただ、最後に言いたいことが言えたので、思った以上にスッキリしました(笑)」
最近はルッキズムの問題もあり、褒めているつもりでも容姿に関する発言は慎重さが求められる。親しい関係ですらない初対面の相手に言うべき内容ではないし、店と客という関係ではそもそも論外。
店主と客、客同士の距離感が近いのは悪いことではないが、相手に対して失礼にならないようにしてもらいたいものだ。
<TEXT/トシタカマサ>
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
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