3月28日(金) 0:50
「健やか親子21」とはどのような政策なのでしょうか。まずはその全体像を把握し、基盤課題と重点課題を詳しくみていきましょう。
「健やか親子21」とは、すべての子どもが健やかに育つ社会の実現を目指し、関係するすべての人々、関連機関・団体が一体となって取り組む国民運動です。第1次計画(2001〜2014年)の課題を踏まえて、2015年から第2次計画がスタートしました。
第2次計画では「すべての子どもが健やかに育つ社会」を10年後の目指す姿として掲げており、すべての国民が地域や家庭環境の違いにかかわらず同じ水準の母子保健サービスを受けられる社会の実現を目指しています。
また、令和7年度の母子保健対策関係予算の概算要求が275億9700万円となり、令和6年度予算より約100億円増額となっています。このことからも、国をあげて母子保健対策に力を入れているといえるでしょう。
「健やか親子21」の第2次計画における基盤課題は以下の3つです。
1、切れ目のない妊産婦、乳幼児への保健対策
2、学童期、思春期から成人期に向けた保健対策
3、子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり
「すべての子どもが健やかに育つ社会」という全体目標に向けて、各基盤課題の目標があります。「健やか親子21」は、これらの目標を達成するために、国や企業などが連携して課題に取り組む国民運動です。
3つの基盤課題のなかでも特に重点的に取り組む必要があるものを、重点課題として2つ設定しています。
1、育てにくさを感じる親に寄り添う支援
2、妊娠期からの児童虐待防止対策
親や子どもの多様性を尊重し、それを支える社会の構築と、児童虐待のない社会の構築を目標とした重点課題となっており、課題だと分かります。
ここからは、国が実施している具体的な支援策を紹介していきます。
マタニティマークは、妊産婦が交通機関などを利用する際に身につけることで、まわりの方が妊産婦に配慮しやすくなったり、緊急時に妊産婦だと周囲に知らせやすくなったりすることが目的です。
「健やか親子21」では、企業や個人に無料でマタニティマークを提供することで、広く普及させています。さまざまな場所でマタニティマークの取り組みや呼びかけ文を加えたポスターなどを制作して掲示し「妊産婦にやさしい環境づくり」の推進を目指しています。
からだや性、妊娠などの健康に関する正しい情報や専門家に相談できる窓口が検索可能な「スマート保健相談室」も「健やか親子21」の取り組みの1つです。SNSには間違った知識も多く、調べることで余計に不安になることがあります。すぐに調べられる時代だからこそ、きちんとした情報が発信されている場所が必要になります。
あらゆる世代の健やかな暮らしのために優れた取り組みをしている企業、団体を表彰する「健康寿命をのばそう!アワード」に、2015年より「母子保健分野」が創設されました。これは「健やか親子21」の具体的な取り組みを知ってもらうために実施されています。
「第11回健康寿命をのばそう!アワード」では、障害児仕様の抱っこ紐をカスタムオーダーで制作している企業「LUCKY industries」や、母親が1人で育児に悩むことがないように24時間365日電話や公式LINEで悩みを相談できるNPO法人「子育てパレット」が優良賞を受賞しています。
概要だけを見ると大きな政策に思える「健やか親子21」ですが、具体的な取り組みは私たちの生活に密着したものだと分かりました。子育て世帯ではない方も、この運動を広げることが、子どもたちを取り巻く環境の改善につながります。1人でも多くの方に知ってもらい、「すべての子どもが健やかに育つ社会」の実現を目指しましょう。
こども家庭庁健やか親子21
こども家庭庁こども家庭庁における健やか親子21の推進について
厚生労働省第11回健康寿命をのばそう!アワード母子保健分野
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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