日本屈指のクリエイター陣、シーズン2への継続に安堵「物語の完結」にこだわり抜いた舞台裏とは?【メイキング・オブ・ガンニバルS2 連載第2弾】

脚本を担当した大江崇允「最近はなかなか“終われない”ドラマが増えているように思えます」

日本屈指のクリエイター陣、シーズン2への継続に安堵「物語の完結」にこだわり抜いた舞台裏とは?【メイキング・オブ・ガンニバルS2 連載第2弾】

3月27日(木) 9:00

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ディズニープラスが、累計発行部数400万部を超える二宮正明氏の人気漫画を実写ドラマ化したヴィレッジスリラー「ガンニバル」。その完結編となるシーズン2が現在、第4話まで配信されており、SNS上では「始まりからエンディング並みの激しさ!」「シーズン1の最終話の熱量がそのままでワクワクした」「いきなりフルスロットルすぎて情報整理が追いつかない!」と、早くもクライマックスを思わせるアクセル全開の展開に、視聴者の興奮したコメントが多く寄せられている。

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シーズン1の最終話が配信された2023年2月から、およそ2年の歳月を経て、「人が喰われているらしい」と噂される供花村(くげむら)とそこを支配する後藤家がひた隠しにしていた、全ての謎が解き明かされる完結編は、いかにして誕生したのか?映画.comがその舞台裏に迫る独占連載の第2弾では、片山慎三監督(「岬の兄妹」「さがす」)をはじめとする制作陣の言葉から、「物語を完結させること」にこだわり抜いた舞台裏を紐解く。

●「シーズン2がなかったら相当怒られるんじゃないかと(笑)」

シーズン1からメイン監督を続投する片山監督は、「まず、シーズン2にゴーサインが出て、ホッとしました」と安堵の声。大反響を巻き起こしたシーズン1は、原作コミックのちょうど中盤で終わっていたため、「もしも、シーズン2がなかったら視聴者の皆さんに相当怒られるんじゃないかと(笑)。自分の耳にも『続きが気になる』という声がたくさん届いていたんです」と明かす。

その上で「原作を踏まえつつ、ドラマシリーズではどんな風に最後を決着させるべきかについては、自分のなかでも悩みましたが、うまく決着がついたんじゃないかと思っています」と、シーズン2始動当時を振り返った。

●片山慎三監督が全幅の信頼を寄せる、ふたりの俊英

本作は片山監督に加えて、佐野隆英監督(第3、5、6話)と大庭功睦監督(第4話)の3人で分担し、制作された。片山監督はまず、大庭監督について以下のように語っている。

「旧知の仲でして、僕から推薦しました。『岬の兄妹』がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018に出品された時、同じ国内コンペティション長編部門に大庭監督の『キュクロプス』も出品されていて、その際にいろいろ話して意気投合したんです。同じフリーランスの助監督出身でもありますし」(片山監督)

佐野監督はNetflixの「全裸監督」シーズン2の演出部に参加しており、その流れでプロデューサーの山本晃久氏から推薦されたといい、「今回、後藤家の歴史が語られる第5話・第6話の“過去編”という重要なパートを佐野監督に全ブリしてしまったのですが、すばらしい出来栄えでしたね。気合いの入った演出を見せていただき、自分が無理してやるよりも、佐野監督にお任せして本当に良かった」と太鼓判を押し、ふたりの俊英監督に全幅の信頼を寄せている様子だ。

片山監督と同じく、シーズン1から続投し、脚本を担当した大江崇允(「ドライブ・マイ・カー」)も、「佐野監督と大庭監督の参加は、今回かなり大きかったんじゃないかと感じました」と振り返る。

「3人の監督それぞれの個性が良く出ている気がします。片山監督が撮った回(第1、2、7、8話)は、やはり彼独特のユーモアや味わいがある。佐野監督(第3、5、6話)は情感をすごく感じました。そういう人間ドラマが得意な方なんだなと。大庭監督の回(第4話)はかっこよくて、非常に密度の高い引き締まった演出を堪能させていただきました」(大江)

●完結編に込めた決意――目指したのは「ちゃんと終わらせること」

大江は、今回新たに参加した廣原暁(「シコふんじゃった!」監督)とともに脚本を練っていった。自らに課した大前提は「ちゃんと終わらせること」だと語り、「最近はなかなか“終われない”ドラマが増えているように思えます。物語の結末を知る前に見るのをやめてしまった作品がたくさんあります。もちろん、シーズン1で終われなかった奴が何を言ってんだとお叱りを受けるのは重々承知で(笑)、だからこそ今回は終わらせようと」と、完結編に込めた決意を振り返った。

その思いは、山本プロデューサーもまったく同じだったそうで、「何よりもきっちり完結させることの責任を重く受け止めていました。シーズン1の評判があまりにも良かったですから」と振り返る。最も重要だったのは「主人公の阿川大悟(柳楽優弥)と彼に対峙する後藤恵介(笠松将)、ふたりの物語をどう終わらせるか」だったといい、「その意味でもブレずにモチベーションとテンションを持続できたのは、“座長”の柳楽さんをはじめ、笠松さんや吉岡里帆さんたちキャストチームの変わらぬ熱量のおかげです」と、感謝を示した。

●「後藤家の過去が描かれることで、印象もずいぶん変わってくると思います」

片山監督、脚本の大江、山本プロデューサーというシーズン1から再集結を果たした最強の布陣に、佐野監督と大庭監督、共同脚本の廣原といった新たな才能が加わり、ついに完結編を描くことになった「ガンニバル」。大江は「何より原作が最高ですし、スタッフとキャスト皆さんの力もとても偉大で、すばらしい作品になったと感動しました。あの原作を、よくこれだけ実写映像に変換できたなあと」と、感慨深げな表情を浮かべる。

「シーズン1から比べると、シーズン2はずいぶん複雑な内容になっています。僕としては、『ガンニバル』は供花村全体の因縁をめぐる長い物語だと思っているんです。それぞれの思惑を持って動く登場人物たちや、複線的に進行していく物語を、いかにひとつの作品のなかに落とし込んでいくか……。そこに時間をかけたように思います」(大江)

その言葉通り、阿川家の絆、後藤家の血筋、村の秩序など、それぞれの正義がぶつかり、いくつもの物語が交差していく人間ドラマこそ、「ガンニバル」の大きな魅力だ。

「後藤家の過去が描かれることで、登場人物たちに対する視聴者の皆さんの印象もずいぶん変わってくると思います」と語るのは、片山監督だ。「シーズン2は過去パートも含めて、複数のプロットが並行して展開していくので、この複雑な物語を明快に整理して描けたのは、まさに大江崇允さんと廣原暁さんの脚本チームのおかげですね。僕自身も何より話のバランスが大事だってことは一貫して意識していました」。その最終ゴールが、「物語を描き切り、完結させること」だったことは言うまでもない。

「ガンニバル」シーズン2は、ディズニープラスの「スター」で配信中。ディズニープラス「スター」日本発オリジナルシリーズとしては、初となる「18+」のレーティングが設定されている。

【作品情報】
ガンニバル

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