3月27日(木) 1:20
老後資金の目安は、生活スタイルや価値観によって大きく異なります。総務省の「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)」によると、65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月あたりの支出は14万5430円です。
収入から税金や社会保険料などを差し引いた手取り収入(可処分所得)は11万4663円で、毎月約3万円の赤字となります。
この結果から、公的年金だけで生活費を賄うことは難しく、貯蓄が必要であると分かります。また、60歳でリタイアして65歳まで年金がもらえない場合、その間の生活費も準備しなくてはなりません。
例えば、年金受給までの生活費(5年間)は約873万円(14万5430✕12ヶ月✕5年)、90歳まで生きると仮定した場合、65歳以降の生活費(25年間)で赤字分の合計の約900万円(3万円✕12ヶ月✕25年)が必要です。
このように計算すると、老後に必要な資金として2000万円あればというのが一つの目安となることが見えてきます。
実際にどれくらいの人が老後資金をためているのでしょうか。株式会社ライボの調査機関「Job総研」が行った「2024年 ⽼後資⾦の意識調査」によると、老後資金を「ため始めている」割合は52.0%と過半数を占めています。
年代別の回答では50代が62.8%で最も高く、40代が53.6%、30代が51.7%、20代が42.2%と、年代が上がるほど貯蓄者割合が高い結果が報告されました。
また、老後資金へ「不安を感じている」と回答した人は82.3%と8割以上です。その理由としては「年金の受給有無」が68.3%と最も高く、次いで「物価高騰による生活費の増加」が54.3%、「健康保険や医療費の増額」が50.3%という結果でした。
不安がなくなる老後資金の金額の平均額は4040万3000円ですが、中央値が2500万円、最頻値が2000万円です。この結果から、既出の家計調査年報同様、老後資金として「2000万円」というのが多くの方にとって目安となっていることが分かります。
老後に備えるためには、早いうちから計画的に準備を始めることが大切です。ここからは具体的な方法を紹介します。
まずは、自身の公的年金の見込額を確認してみましょう。日本年金機構の「ねんきんネット」を利用すると、将来の年金受給額を簡単に試算できます。まずは、どのくらいの資金が不足するのかを把握しておいてください。
毎月の貯蓄習慣をつけることも大切です。「自動積立定期預金」を活用すると天引きされるため、効率的に貯蓄できます。NISAやiDeCoなどの非課税制度を活用し、長期的な視点で資産運用すれば、より効率的に資産を増やすことが可能です。
また、老後の医療費や介護費用がかさむと、貯蓄が一気に減る可能性があります。万が一に備え、医療保険や介護保険への加入も検討しましょう。
老後資金準備は、年代によって意識すべきポイントが異なります。
20~30代の場合、若いうちから少額からでも貯蓄と資産運用を始めてください。長期運用ができるので、リスクを抑えた積立投資が効果的です。
40~50代の場合、老後資金の目標額を明確にし、計画的に貯蓄を進めましょう。住宅ローンや教育費など支出が増える時期でもあるため、家計の見直しも重要です。
60代以降は、退職金を有効活用し、資産の取り崩し方を計画します。健康状態に合わせた生活費の見直しや、医療費の準備も重要です。コンパクトな家に住み替えることでも、生活費の削減につなげられます。
また、定年後も働ける場合、65歳までは生活費が補えて安心です。同時に公的年金の繰り下げ受給を選べば、もらえる金額が増額されます。
今回紹介したのはあくまでも一例です。それぞれの年代に応じた資金準備を計画的に進めてください。
1人暮らしの老後資金は、公的年金だけでは不足する可能性が高いため、早いうちから計画的に準備を始めることが大切です。
まずは自身の現状を把握し、将来に向けた具体的な目標を立てましょう。計画的な準備を進めることで、安心して老後を迎えられるはずです。
総務省 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)
株式会社ライボ(Job総研) 2024年 老後資金の意識調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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