花粉症の時期が来ると、ティッシュが手放せなくなったり、目がかゆくなったり、本当に辛いですよね。実は、最近の研究から、花粉症と「腸」の関係が注目されているのをご存じでしょうか?
今回は科学的な研究を参考に、花粉症と腸内環境の意外なつながりをわかりやすく解説します。さらに後半では、花粉症対策に有効な「腸に良い食材」を3つご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
そもそも花粉症になるメカニズムって?
そもそも、花粉症になる人とならない人の違いは何なのでしょうか? まずは、花粉症になるメカニズムを簡単に見てみましょう!
簡単にいうと、花粉症は、花粉を体が「異物だ!」と誤解してしまい、過剰な免疫反応を起こすことで発症します。
具体的な流れは以下の通りです。
① 花粉が鼻や目の粘膜から体内に入る
② 免疫細胞が花粉を「異物」と判断し、過剰反応を起こす
③ 免疫細胞が「異物を撃退する物質(IgE抗体)」を作り出す
④ 結果、鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどの症状を引き起こすつまり、花粉が悪いわけではなくて、体がちょっと過敏に反応しているということ。花粉もいじわるをしたいわけではないのです……! 続いては、腸内細菌と花粉症の関係を見ていきましょう。
腸内細菌と花粉症の関係
最近の研究で明らかになってきたのが、花粉症に対する「腸内細菌」の重要性です。実は、腸内細菌のバランスが崩れると免疫バランスが乱れ、花粉症などのアレルギー症状が強まることが分かっています。(※1)
特に、いわゆる乳酸菌やビフィズス菌のような良い働きをする細菌が少なく、良くない働きをする細菌が増えると、体は花粉に敏感になってしまうのです。
特に大切なのが、短鎖脂肪酸と呼ばれる成分。
<短鎖脂肪酸>
・酢酸
・プロピオン酸
・酪酸上記の成分は、さまざまな腸内細菌が作ってくれています。そして、短鎖脂肪酸には抗アレルギー作用があるため、腸内で適切に作られることで花粉症の予防・改善に繋がるのです。
腸内環境が乱れると花粉症が悪化する仕組み
では、なぜ腸内細菌が花粉症と密接に関わるのか? その理由は、腸には体の中で最大の「腸管免疫」というシステムがあるからです。体内の免疫細胞の分布を調査した結果、免疫細胞の中の1種は、腸に7割程度も存在していたのです!(※2)
ですので、腸管免疫が正常だと、花粉などの物質に対して過剰な反応はしません。しかし、腸内細菌のバランスが崩れると腸管免疫に問題が生じ、花粉に過剰に反応してしまうのです。
具体的には、免疫細胞には、「Th1」と「Th2」という2つが存在します。
Th1:主にウイルスや細菌などの異物を排除する役割を持つ
Th2:主にアレルギー反応に関わる「腸内環境が健康な状態」なら、Th1とTh2はバランスよく働いています。しかし腸内環境が乱れると、このバランスも崩れてしまうのです。
そして、Th2が過剰になると、体は花粉など本来無害なものに対しても過敏に反応し、異物を撃退する物質(IgE抗体)の産生を促進させます。その結果、鼻水、くしゃみ、目のかゆみといった花粉症の症状が悪化してしまうのです。
科学的に花粉症改善が期待できる食材3つ
ここまでお伝えした通り、もし今花粉症になっているとしたら、その原因の1つは「腸内環境の乱れ」かもしれません。ですので、ぜひ腸内環境を整えるために腸活を実践していきましょう!
その上でここからは、科学的にも花粉症の症状緩和が期待できる具体的な食材を3つご紹介しますね。
① 豆乳ヨーグルト(※3)
大豆製品の摂取量が多いと、日本人のアレルギー性鼻炎(花粉症も含む)のリスクが低下することを示した研究があります。ですのでヨーグルト以外も良いのですが、乳酸菌を摂取できる意味でもヨーグルトはおすすめです!
② りんごジュース(※4)
りんごには、特有のポリフェノールが豊富に含まれています。そして、りんごポリフェノールを摂取することで、スギ花粉症の症状を緩和する可能性が示唆されました。
③ 玉ねぎ(※5)
玉ねぎにはケストースと呼ばれる成分が含まれます。こちらの成分、腸内細菌を活性化する力がすごく強いのです! そのおかげもあり、花粉症の症状を緩和する可能性が示唆されています。
続けることで体と腸は変化していく
今回は、花粉症と腸(腸内細菌)の関係についてお伝えしました。腸を整えることが花粉症の症状緩和につながることを、ぜひ覚えておいてくださいね。3つの食材も意識してみてください!
もちろん、すぐに大きな変化は出ないかもしれませんが、続けることで体と腸は変化していきます。無理なく、自分のペースで腸活を楽しみながら、花粉シーズンを乗り越えましょう!
出典(※1)Yucheng Hu 「Association Between Gut and Nasal Microbiota and Allergic Rhinitis: A Systematic Review」(2024)
(※2)Ron Sender 「The total mass, number, and distribution of immune cells in the human body」(2023)
(※3)Mariko Nakamoto 「Soy product and isoflavone intake associations with allergic diseases in Japanese workers: rhinitis, dermatitis and asthma」(2018)
(※4)Kazumasa Kishi 「Clinical Efficacy of Apple Polyphenol for Treating Cedar Pollinosis」(2005)
(※5)Sima Beigoli 「Effects of Allium cepa and Its Constituents on Respiratory and Allergic Disorders: A Comprehensive Review of Experimental and Clinical Evidence」(2021)
<文・料理写真/腸活の研究家ざっきー>
【腸活の研究家ざっきー】
腸活の研究家。「健康と体作りを後回しにしない」をモットーに、フォロワー11万人のInstagramでは、論文を元にした腸活情報や腸が整うレシピを発信中。Instagram:@zakii312、Twitter:@chokatu_zakii
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