両親の年収「400万円」、貯金「200万円」で大学進学は可能か

両親の年収「400万円」、貯金「200万円」で大学進学は可能か

3月26日(水) 0:30

子どもの進学を考える親にとって、大学での教育費はどれほどなのか気になるでしょう。国公立大学の方が私立大学に比べて費用が安いものの、どちらも入学費用や在学費用がかかり、年間で100万円以上の出費につながります。 そこで、今回は国公立と私立大学の入学費用や在学費用を比較し、学費の負担を軽減する制度について解説します。家計の年収と今の貯金額で大学進学が可能なのか不安に思っている方や国の支援制度について知りたい方は本記事を参考にしてください。

国公立・私立別の入学費用と在学費用の比較

国公立・私立別の入学費用と1年間の在学費用を比較した結果は表1の通りです。
 
表1

入学費用 1年間の在学費用
国公立大学 約67万円 約104万円
私立大学理系 約89万円 約183万円
私立大学文系 約82万円 約152万円

日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果(令和3年度)」を基に筆者作成
 
表1より、国公立大学の入学費用に比べて私立大学理系は約22万円、私立大学文系は約15万円高くなっています。大学入学は、入学費用のほかにも在学費用もかかり、国公立大学に比べて、私立大学理系は約79万円、私立大学文系は約48万円と高いです。
 
最も費用がおさえられる国公立大学でも入学費用と1年間の在学費用を合わせると、入学する1年目は約171万円かかる計算となり、貯金200万円の約8割を占める出費が予想されます。また、私立大学理系に関しては、入学費用と1年間の在学費用を合わせると約272万円かかり、この金額は貯金200万円の1.3倍にあたります。
 
特に、初年度は入学費用に加えて授業料の支払いもあり、出費が大きいため、年収「400万円」、貯金「200万円」の場合は、奨学金に頼ることで費用の負担を軽減できるでしょう。一般的に、授業料の支払いは前期と後期の2回ですが、大学によっては1年分一括払いするケースもあるようです。
 

大学無償化制度と奨学金制度について

子どもの大学進学を経済的に支援する国の制度として「大学無償化制度」と「奨学金制度」があります。対象条件を満たす場合は、利用を検討するとよいでしょう。
 

2025年から始まる大学無償化制度について

2025年から始まる「大学無償化制度」は、日本政府による少子化対策の一環として、経済的な事情を抱える家庭の学生を支援し、大学進学の機会を公平にするために作られた制度です。支援対象は「扶養する子どもが3人以上で、大学などに通っていること」が条件に定められており、在学中は出席率や学習意欲があるなどの要件を満たす必要があります。
 
支援金額は学校種別によって異なり、国が定める減免上限額は表2の通りです。
 
表2


減免上限額 国公立 私立
入学金 授業料 入学金 授業料
大学 28万円 54万円 26万円 70万円
短期大学 17万円 39万円 25万円 62万円
高専 8万円 23万円 13万円 70万円
専門学校 7万円 17万円 16万円 59万円

文部科学省「令和7年度からの多子世帯に対する大学等の無償化について」を基に筆者作成
 
第一子が扶養から外れた場合は支援対象外となり、留年した場合は支援が打ち切られるケースもあるようです。進学先の学校が無償化制度の対象かどうかは、文部科学省の特設ページで確認しましょう。
 

奨学金制度について

奨学金には、返済不要の「給付型」と、卒業後に返済する「貸与型」の2種類があります。貸与型の奨学金は、無利子の第一種と有利子の第二種に分かれ、併用も可能です。
 
貸与型奨学金の返還方法は、「定額返還方式」か前年の所得に応じた「所得連動返還方式」があり、卒業後に子どもが返済することになる点に注意しましょう。
 
奨学金を受けるためには、家計や学力基準などの申し込み資格がそれぞれあり、共働きや子どもの扶養人数によって対象となるかが異なります。
 
例えば、妻が専業主婦で夫の年収が400万円の場合、生計を維持している夫が子どもを3人以上扶養しているか、進学先の学科が理工農系であれば支援を受けられるケースがあるようです。給付型奨学金の申請ができるかは、独立行政法人日本学生支援機構の「進学資金シミュレーター」を利用して確認するとよいでしょう。
 

年収「400万円」、貯金「200万円」でも奨学金制度を利用して大学進学は可能

年収「400万円」、貯金「200万円」の場合でも、奨学金を利用して学費の負担を軽減しながら大学進学の選択も可能です。2025年4月から実施されている大学無償化制度は少子化対策の一環で、対象が同時に扶養する子どもが3人以上の多子世帯となっています。
 
また、貸与型の奨学金は卒業後に子どもが返済する制度のため、利用するかどうかは家族で話し合って決めることが大切です。
 

出典

日本政策金融公庫令和3年度「教育費負担の実態調査結果」(5~6ページ)
文部科学省令和7年度からの多子世帯の学生等に対する大学等の授業料・入学金の無償化等について
独立行政法人日本学生支援機構奨学金
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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