サッカー日本代表の3バックは行き詰まり サウジアラビア戦では本番を見据えた4バックを採用すべし

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サッカー日本代表の3バックは行き詰まり サウジアラビア戦では本番を見据えた4バックを採用すべし

3月24日(月) 9:00

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2026年W杯アジア最終予選のバーレーン戦は、控え目に言っても凡戦だった。前へボールを運べず、攻守にノッキングを起こしていた。勝利を収めたことで帳尻を合わせたが、危機的な内容だった。

最終予選を通じてこだわってきた3バックは、すでに行き詰まっていた。

真ん中に板倉滉、右に瀬古歩夢、左に伊藤洋輝で組んだ3バックは、無駄なパスを繰り返した。お互いの距離が近すぎたからで、ビルドアップに難を抱えていた。相手が強豪だったら、プレスをはめ込まれていただろう。90分を通じ、両サイドが大きく開くなど、改善のアクションもなかった。

3月25日のサウジアラビア戦は、世界との対峙を想定し、4バックに戻すべきではないか?

バーレーン戦で3バックの中心を務めた板倉滉 photo by Yamazoe Toshio

バーレーン戦で3バックの中心を務めた板倉滉 photo by Yamazoe Toshio



森保ジャパンの3バックは、「攻撃の手数を増やし、得点を増やす」ことを主眼にスタートを切った、攻撃的なシフトと言える。たとえばドイツ王者のレバークーゼンは、この前輪駆動のシステムを成立させている。ウイングバックのふたりがウイングのような高い位置を取り、ボランチのいずれか、ふたりのシャドー、トップと、5~6人が常時、攻撃に関わって相手を押し込むのだ。

日本は最終予選で、相手がかなり下のレベルの場合、攻撃をし続け、システムの特性を生かすことができた。中国、(アウェーの)バーレーン、インドネシアとの試合では、大量得点に成功。ひとつのバリエーションとしては悪くはない......。

だが今回、チームプレーを仕上げてきたバーレーンに苦戦したように、3バックは諸刃の剣である。

3バックは、左右ウイングバックとのセットである。しかし、三笘薫も、堂安律もバックラインまで下がってしまい、結局は5バックになっていた。これでは攻撃的なサッカーなどできるはずがない。むしろ守備の脆さをさらけ出すだけだった。

森保一監督はその事態に、ほとんど90分、何の手もつけられていない。

3バックの中心になるべきだった板倉も、自らが戦い方を改善させるようなリーダーシップを示すことができなかった。左右のセンターバックが大きくサイドまで開いて、ウイングバックを前へ押し出すようにすることで攻撃姿勢を取れたはずだが、機能不全のなかで90分を過ごした。そこで創意工夫がなかったのは残念だ。

【3バックが困難な理由】ひょっとすると、メジャーリーグサッカー、ロサンゼルス・ギャラクシーでキャプテンを務めてリーグ王者に輝いたセンターバック、吉田麻也をリーダーとして戻すような荒療治も必要かもしれない。長友佑都の「ベテランの貢献」を期待して招集している余裕があるなら、後方からチームに檄を飛ばし、周りを感化させられる実力者のほうが必要だろう。

伊藤も、チャンピオンズリーグでベスト8のバイエルンの選手であることが嘘のように、森保ジャパンではフィットしていない。チーム戦術の不備で、やるべきことを見失っているのか。腰が引けて、判断が後手に回る。三笘との距離は遠すぎ、攻守が分断され、カタールW杯のコスタリカ戦の悪夢を思い出させた。時折、目が覚めたように鋭いロングパスを入れ、能力の片鱗も見せたが......。

サウジアラビア戦、森保ジャパンは4バックで戦うとどうなるか。

センターバックのふたりは、板倉と高井幸大を組ませる。川崎フロンターレの高井は卓越したキック&コントロールの持ち主で、攻撃的なサッカーを掲げるならサウジアラビアのような相手でこそ試したい。右のサイドバックは菅原由勢で、久保建英との連係は期待できる。左サイドバックはカタールW杯前までファーストチョイスだった(ひざのケガで離脱)中山雄太を抜擢。三笘もしくは中村敬斗の攻撃力を全力でバックアップしたい。

レバークーゼンの戦いを見ても、攻撃的3バックは、3人のみで相手を跳ね返せるような強力な守備力と、卓越したボールプレーという攻撃力が同時に求められる。率直に言って、森保ジャパンはそこまでの人材を3人も揃えることはできない。冨安健洋のような逸材もいるが、現時点では慢性的なケガで計算に入れられない状況なのだ。

3バックという看板でありながら5バックに流される戦いは、カタールW杯への回帰に近い。時計が進む現代サッカーで、それは後退を意味する。

ここはシンプルに4バックを採用し、久保、三笘、堂安、伊東純也、中村など、優れたサイドアタッカーの能力を引き出すべきだろう。なぜなら、日本サッカー最大のストロングポイントはサイドの機動力にあるからだ。

サウジアラビアはW杯出場の常連国。カタールW杯では、優勝したアルゼンチンを逆転で破った地力のあるチームだ。森保ジャパンは、その相手にどう戦うか。この試合はW杯本大会の試金石と言える。

3バックはあくまで最終予選用(めどはついたはず)。4バックで戦って今後の道筋を探るべきではないか。センターバックをひとり外した分、鎌田大地のようなクリエイティブな選手を中盤、もしくはトップ下に入れ、攻撃的布陣にするべきだ。

いずれにせよサウジアラビア戦は、バーレーン戦を刷新する内容が必要になる。

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