3月23日(日) 19:20
親が一人暮らしの子どもに仕送りをしても、贈与税はかかりません。その理由として、扶養義務者同士で生活費や教育費として渡された財産のうち「通常必要とされる範囲」のものは課税対象外とされているためです。
仕送りの金額によっては、贈与税の対象になることがあります。通常の生活費として十分とされる額を大幅に超えた金額を定期的に送金すると、生活費ではなく贈与と判断される可能性が高くなります。子ども自身が、仕送りの余剰分を貯蓄や資産運用に回すなど、「生活に必要なもの」ではないものに使う可能性があるからです。
一般的な生活費を大きく超える金額は、たとえ生活のためとされていても、贈与とみなされる場合があることに注意してください。
日本学生支援機構の「令和4年度 学生生活調査結果」によると、大学生(昼間部)が年間に必要とする学費と生活費の合計は平均182万4700円で、そのうち生活費は67万7400円です。
また、下宿・アパート等暮らしの学生については、学生生活費全体の平均が212万4000円、そのうち生活費が105万2000円という結果でした。このことから、一人暮らしの学生は家計への負担が増すことが分かります。
日本学生支援機構の同調査によると、大学生(昼間部)の年間収入状況は図表1の通りです。
図表1
収入源 | 割合 | 平均金額 |
---|---|---|
家庭からの支援 | 55.8% | 109万6900円 |
奨学金 | 20.7% | 40万7600円 |
アルバイト収入 | 19.1% | 37万5900円 |
定職・その他 | 4.4% | 8万7000円 |
出典:日本学生支援機構「令和4年度 学生生活調査結果」大学生の収入状況を基に筆者作成
家庭からの支援の平均金額が1番多く 109万6900円 で、月あたりにすると約9万1400円になります。このことから、多くの大学生が家庭からの仕送りを収入の中心として、生活していることが分かります。
株式会社モデル百貨(長崎県佐世保市)は、2024年2月に自宅外から大学に通う(または通っていた)20代の子どもを持つ保護者500人を対象にした、仕送りについての調査を行っています。
仕送りの内訳を見ると、家賃を除いた生活費の月平均は5万6310円、家賃の月平均は5万2040円で、合計10万8350円でした。子どもが4年間大学に通う場合、仕送りの総額は約520万円にのぼります。4年間で500万円以上の仕送りにかかる経済的負担を見越し、早い段階から教育資金を準備することが重要といえるでしょう。
仕送りの金額は家庭の経済状況によって異なるため、「大学生には〇円必要」と一概には決められせん。学費は大学や学部ごとに異なり、住む地域によって生活費も大きく変わるため、子どもにとって適切な額を見極めることが大切です。
仕送りが不足すると生活が厳しくなりますが、反対に余裕を持たせすぎると金銭管理の意識が育ちにくくなる可能性もあります。子どもが自立しながら適切に生活できる範囲で仕送り額を設定することが重要です。
給与所得者が、生計を一にしている親族などに仕送りを行った場合、年末調整の際に扶養控除を活用することで税負担を軽減できる可能性があります。扶養控除は、納税者に扶養している親族がいる場合に適用される所得控除のひとつで、対象となる人数や年齢によって控除額が変わります。
一般の控除対象扶養親族がいる場合、1人あたり38万円の控除を受けることが可能です。ただし、一人暮らしの大学生は特定扶養親族(その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の扶養親族)に該当する場合が多く、その場合は63万円の控除を受けることができます。
基本的に、子どもへの生活費や教育費の仕送りであれば贈与税の申告は不要です。通常必要とされる費用の範囲内であれば、贈与税の課税対象にはなりません。その理由は、扶養義務者同士の生活費や教育費の負担は、贈与には該当しないとされているためです。
一人暮らしの大学生にかかる生活費の平均は年間約105万円であり、学費を含めると約212万円です。そのため、月12万円(年間144万円)の仕送りは 一般的な範囲内と考えられ、生活費のための送金であれば贈与税の申告は不要となるでしょう。
国税庁 No.4405贈与税がかからない場合
国税庁 No.1180扶養控除
日本学生支援機構 令和4年度 学生生活調査結果
株式会社モデル百貨 自宅外から通う大学生への仕送りについて保護者500人に調査(PR TIMES)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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