世の中には「まさか」という出来事が数多く存在しますが、「一寸先は闇」という言葉もあるように、ある程度覚悟を持って日々を過ごすことで衝撃を和らげることができるかもしれません。
今回取材に応じてくれた男性が経験した「まさか」は、かなり衝撃的な内容だったそうです。
普通すぎる人生を歩む男性
「普通」という概念は人それぞれ異なりますが、一般的には「可もなく不可もなく」といった状態を指すのではないでしょうか。神奈川県の郊外で生まれ育った
浅田さん(仮名・30歳)
もその一人です。
「小中高の成績は常に中間でしたし、大学も難関ではないものの、一応名前は知られていて、在学中はファストフード店で4年間アルバイトをし、その間に恋愛は1度経験し、卒業間近に自動車免許を取得しました。
親戚の叔父が不動産会社を経営していたこともあり、そのつてで都内の中堅リフォーム会社に就職しました」
そんな浅田さんは就職を機に実家を離れ、都内のアパートで一人暮らしを始めたそうです。
父親は普通ではなかった
浅田さんの父親はどちらかというと「普通」ではなく、良くいうと「行動派」、悪くいうと「破天荒」タイプだったといいます。
「父親のことは尊敬しています。私が生まれた頃は生まれ故郷の群馬県の電気部品メーカーでセールスマンとして働いていたのですが、私が小学生に上がる頃には横浜の新興住宅街に家を構えました。
その少し前に転職していた父親は、なんと電気部品のセールスマンからえびの養殖業者に転身しました。といっても、親会社は名の知れた商社で、父親は子会社で働く一社員です」
とにかくお酒が好きな浅田さんの父親は、コミュニケーション能力にも優れていたそうで、転職から3年目にはタイの現地法人で勤務が決まり、ポジションも上から3番目だったそうです。
母親の引きつった表情が脳裏に焼きついていた
その後、長期にわたり東南アジアでの赴任生活を送る浅田さんの父ですが、最近ではお盆と年末の2回しか帰国しなくなりました。そんな中、浅田さんは現在付き合っている彼女と結婚を視野に動き出したといいます。
「彼女は取引先の受付をしている女性で、なんとなく母親と雰囲気が似ているところもあって気に留めていたら、何度目かの訪問の際に飲み会に誘われ、その時にLINEの交換をしたことがきっかけで付き合うようになりました。見た目や考え方も、なんとなく”普通”なところが気に入りました」
これまでも何度か実家に彼女を連れて行ったことがありましたが、結婚を決めたことを報告をするために久しぶりに母親のもとを訪れた浅田さん。
「母親は結婚の報告をとても喜んでくれました。ただ、私が『父さん今度いつ帰ってくるの?』と尋ねた時、急に顔が引きつったような表情が今でも脳裏に焼きついています」
会社を“懲戒免職”になっていた父親
浅田さんは、結婚報告をした際の母親の表情が気になり、後日改めて実家を訪れたといいます。
「母親があんなに焦った顔をしているのを見たのは初めてでした。それがずっと気になっていたので、1週間後に再び実家へ行き、単刀直入に『母さん、このまえなぜあんな焦った顔したの?父さんの帰国と何か関係あるの?来月さ、先方の両親へも挨拶に行きたいんだけど、父さん都合つくかな?』と尋ねたところ、また急に元気がなくなってしまいました」
しばらく沈黙が続いた後、母親がゆっくり話し始めたといいます。
「あのね、タイの会社で経理も任されていた父さんなんだけど、会社のお金に手を出したそうなの。盗むとかそんなんじゃなくて、シンガポールの市場で投資をしようとしたらしいの。それで、株が暴落して返済の目処が立たず、さらに横領を重ねていくうちに……。
ちょうど3年前に起きたことよ。金額が大きかったので、親会社は刑事告訴を検討していたそうなんだけど、それまでの勤務実績や直属の上司の計らいもあって懲戒解雇にとどまったの。
ただ、父さんはね『息子に顔向けできない』と言って、今はベトナムの地方都市で日本語通訳のアルバイトをしているの。ごめんね、ずっと黙っていて」
あまりにも衝撃的な事実を知り結婚どころではなくなった浅田さん。翌日、彼女に赤裸々な事情を話したところ「大丈夫」だとは言ってくれたものの、彼女にはこの先迷惑はかけたくない一心で、自ら婚約破棄を決意したそうです。
その後、勤めていた会社も退職し、現在は父親に会いにいくべきかどうか悩みながら、派遣社員として働いているとのことです。
TEXT/八木正規
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
【関連記事】
・
バスで「2席分を1人で占領する」男性…混雑する車内で平然とする男を動かした“女子高生の行動”
・
“ノロノロ運転”で後続車を詰まらせる軽自動車が急停止。困った男性が運転席で見た“意外な光景”
・
「毎日パンを買いに来る」70代男性には“真の目的”が…女性店員に“あり得ない要求”をして警察に通報されるまで
・
「あなたの弟と一緒に来たことがあるの…」彼女と宿泊したホテルで発覚した“とんでもない事実”
・
「このベッド濡れてない?」ホテルの部屋が“清掃前”だったが…“フロントの神対応”で最低な気分が一転