『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。購入してから6年、ようやくリチャードの手元に1966年モレッティ850スポルティーバがやってきた!
【画像】6年以上もショップに”監禁”されていたモレッティ850スポルティーバ(写真3点)
ここまでくるのに相当な時間がかかった。探すだけでも長い年月を費やし、やっとのことでこのモレッティを購入したのが2018年12月。それから6年。幽閉されていたモレッティが、ついに解放された。仲間であるDTRヨーロピアン・スポーツ・カーズのポール・ド・トゥリスに、「数カ月後に引き取りに行くよ」と約束をして空輸した。それから6年という歳月が流れる間に、愛する人たちが病気になったり(そして悪化し)、家を3回建て替えたり、いろいろなことがあった。
自宅を建て替えている間はガレージに家具があふれかえっていたが、ようやく家具を一掃することができた。私のガレージはまだゴミ捨て場のようではあったが、小さなスポルティーバサイズを置くスペースが確保できたのだ。
私はポールに電話し、準備をするように頼んだ。彼には前から伝えてはいたが、私が本気だとわかると、彼らのチームが動き出した。モレッティはDTR社の中2階から降ろされ、息を吹き返した。
まずはバッテリーを交換することから始まった。そしてメインオルタネーターのラインを再配線し(45アンペアのオルタネーターに10アンペアの配線がされていた…)、イグニッションスイッチを交換した。新品のプラグとフィルターを取り付け、燃料タンクは外して何度も洗浄し、新たに燃料を入れた。ヒーターのホースを交換し、新しいブレーキマスターシリンダーも取り付けた。ドアの機構が固着してきちんと閉まらないのは最悪だった。ドアがまともに閉まるまでにはかなりの細工を必要とした。
これらは、ようやくモレッティを迎えるという大事な日の前に起こったことの、ほんの一部に過ぎない。ズーム・カー・トランスポート社が、サリーからシュロップシャーまで車を運んでくれたが、そこからはどうなったか。そう、スポルティーバは完璧ではない。アイドリングに非常に時間がかかり、暖まるまでは、3気筒と4気筒の間を行き来する。この車はとにかく、動かしてやらなければならない。運転するときに少しシートをリクライニングして座ると、浅いフロントガラス越しの視界はフロントフェンダーの膨らみにかなり遮られる。
太陽が低く見え、後方から轟音が鳴り響いている。まったくと言っていいほど、静かではないが、前を見るとシチリア島とそこでのタルガ・フローリオのレースに瞬間移動したような、ジグザグの道路が続いていた。私は、そのロマンに溺れ、陶酔の境地にトリップした。ただし、猛スピードで突進してきたバンに追い抜かれ、現実に戻ってしまったが…
さあ、そのバブルのような車体をはじけさせてみてくれ。
文:Richard Heseltine
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