新年度を目前に控えた今。4月に入社予定だった学生たちが、内定辞退する例が続出している。入社前なのになぜ“逃亡”するのか。そこには、深刻な人手不足と若者の仕事観の変化があった――。
「思ってたのと全然違う」入社前なのに“辞めた”ワケ
少子高齢化の進行により、売り手市場と化した就職戦線。各企業は初任給の大幅アップを図るなど、新卒人材の確保に必死だ。
だが、そんな企業側の苦労を知ってか知らずか、4月の入社式を目前に内定辞退し、“逃亡”する若者が急増している。
静岡県の「自称・Fラン大学」に通う橋本実さん(仮名・22歳)もその一人。
「就活を始めたのは大学3年の終わりごろ。就活エージェントから聞いた企業を受け、『成長できる環境に身を置きたい』とかテキトーに言ってたら、5月には中古車販売の会社から内定が出ちゃった」
デスクワークかと思いきや…「日焼けしたくないのに」
即戦力になろうと意気込んでいた橋本さんは、入社2か月前から開始された内定者アルバイトに参加。だが、皮肉にもこれが内定辞退のきっかけとなってしまう。
「『営業販売』で採用されたので、屋内のデスクワークが中心だと思ってたんです。でも実際には、外でお客さんの案内とか在庫車の清掃など雑用ばかり。社員の指導もろくになく、日焼けするのも嫌でした。会社の口コミサイトでも点数は低いし、『入社後に自分が働いてるイメージ』がどうしても持てなかったんです」
その2週間後。内定辞退の文面を本社の総務部宛てにLINEで送ったという。
「退職代行を使おうかなと思ったけど、どうせ辞めるのに気にするのもバカバカしいかなと。採用担当者から『急にどうされました?お電話したいです』と何度も返信が来たけど速攻ブロック。それ以来、連絡は無視してます」
橋本さんは「今度は手に職をつけたい」と、IT業界への就職を目指している。
取材・文/週刊SPA!編集部
※3月18日発売の週刊SPA!特集「[入社前逃亡する若者]が急増中!」より
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