現役メジャーリーガーから支持される大人気の投球分析家が来日「山本由伸のヨーヨーカーブが大好き」

ボールの握りを交えて解説するピッチングニンジャ(左)

現役メジャーリーガーから支持される大人気の投球分析家が来日「山本由伸のヨーヨーカーブが大好き」

3月18日(火) 6:46

提供:
弁護士で実業家ながら、野球界への献身的な活動で知られ、メジャーリーガーからの支持も厚く、SNSの総フォロワー数は150万人超え……。

そんな異色の投球分析家・ピッチングニンジャことロブ・フリードマン氏が、ドジャース対カブスのMLB東京シリーズを取材するために来日。それにさきがけ、16日に来日特別トークイベント(主催 ファナティクス・ジャパン合同会社)が渋谷で開催された。

野球好き、MLB好き、ピッチングニンジャ好きの多くのファンが集まった会場には、ピッチングニンジャグッズの他、3月2日に発売されたばかりのフリードマン氏初の著書『ピッチングニンジャの投手論 PitchingNinja's analysis of Japanese MLB Ace』が飾られ、イベント後にはじゃんけん大会の勝者10人にプレゼントされた。

フリードマン氏は、スペシャルゲストのマック鈴木氏(元メジャーリーガー)、村田洋輔氏(MLB.jp編集長)、MCのDJケチャップ氏と、日本人投手の活躍ぶりや現代のピッチング技術やデータ活用について語り合った。

イベントは、トークショー後の質問コーナーまで大いに盛り上がり、60分の予定が90分近くに大延長。参加者全員が記念撮影に収まり、誰もが笑顔のイベントとなった。充実の内容を抜粋してお伝えする。

「大谷翔平のスウィーパーは最高の球種」

フリードマン氏は、映像を重ね合わせたオーバーレイという手法で投球の軌道を可視化したことでも知られる。

同書『ピッチングニンジャの投手論』にも、今MLBで活躍する日本人投手らがどのような握りでどのようにボールを動かして、メジャーの打者を翻弄しているかの分析に加えて、さまざまなオーバーレイ動画がQRコードで厳選されているが、イベントでは実際にボールを握って解説。

デビン・ウィリアムズ(ヤンキース)の新球種エアベンダーを命名した話のほか、ポール・スキーンズ(パイレーツ)の新球種スプリンカーなど、近年ますます進化している投手の球種について、ゲストらと語り合った。

さらには、MCケチャップ氏から「MLBで注目される日本人投手で最高の球種はどれか?」と尋ねられると、フリードマン氏は考えを巡らせながら次々と語りだした。

「一つを選ぶなんてとても難しくて……たくさん挙げてもいいですか? 最高の球種と言わず、まずダルビッシュ有のように誰よりも多くの球種を操る投手は最強と言えますし、大谷翔平のスウィーパー※1は最高の球種です。

山本由伸の「ヨーヨーカーブ」の名付け親

フォーシーム(ストレート)なら、今永昇太がゾーン高めの素晴らしい球を投げていますし、私は山本由伸のカーブが大好きなんです。ヨーヨーのように投げる特殊な球で、私が『ヨーヨーカーブ』と命名したぐらいですから。それにやはり、佐々木朗希のフォークボールは本当に素晴らしい球です。だから、どれか一つに絞ることはできません。どれも最高の球種です」

※1スウィーパー=スウィープ(掃く)するよう横方向に大きく曲がる軌道を描く変化球。以前まではスライダーの一種として分類されていた。

他にも、鈴木氏が「岩隈(久志)の真っ直ぐはすごい。100球以内に試合を終わらせられるんですから理想ですよね」と挙げると、フリードマン氏は「彼がいた時は今ほどデータが豊富ではなかったから、その裏付けになるデータがあったらと残念に思いますね」と頷いた。

データ解析ツールの普及は子どもたちには悪影響!

MLBでは、2010年代中頃からスタットキャストなどのデータ解析ツールを導入したことで、データが精密化され、選手のパフォーマンス分析が飛躍的に向上した。選手たちはその結果、ボールの速度、回転数、距離など、多岐に渡る詳細なデータを見ながら、それぞれの弱みや強みを正確に把握し、感覚と数値とをすり合わせることが可能になっている。

今やアメリカでは、同様のデータ解析ツールであるトラックマンやラプソードといった機器が、中学生ぐらいから見慣れた機器になっているとフリードマン氏は言う。「それは良いことか、悪いことか?」と尋ねられると、元少年野球の投手コーチでもあった同氏は「悪いことですね」と明言する。

「なぜなら、そのぐらいの年齢ならまずは投球メカニクス※2 に注力するべきだからです。子どもの身体の安全を守るためでもあります。こういったデータ解析ツールを使うと、投手なら球速を追い求めようとするため、怪我をするリスクが高くなります。できるだけ速く投げようとしても、体の成長はまだ追いついていない。出力過多は怪我の大きな原因になり、実際にアメリカでは子どもたちの怪我は昔より増えているのです」

※2投球メカニクス=野球における投球動作の仕組みや技術の総称で、投手がボールを投げる際の一連の身体の動きやフォームを表す。省略してメカニクスと呼ぶこともある。

野球の魅力は「アナログなところ」

データ全盛期の投球分析家として、数字にあかるいフリードマン氏だが、野球の魅力はアナログなところにあるとも力説する。

「データは興味深いものですが、忘れてはいけないのは、生身の人間がプレーしているということです。選手たちは、互いに駆け引きをしながら、競い合うのです。私はそれこそが、野球の魅力だと思うのです。巨大なチェスの戦いとも似た美しさがあります。だから、単なる数字のゲームでもなければ、ただ速い球を投げて強く振れば良いだけの世界ではないのです。投手は打者を欺き、打者も投手を誘い込んで自分の打ちたい球を引き出そうとします。そういった部分が何より面白いと思うのです」

ピッチングニンジャは18、19日のMLB開幕戦を取材、日本人投手を分析するという。

取材・文松山ようこ写真提供/Fanatics Japan



【関連記事】
大谷翔平「二刀流復帰」が白紙に…。打者専念なら「三冠王の可能性が高い」と言えるワケ
「違法オンラインカジノ」では“プロ野球ペナントレース”も賭けの対象に…。“自己申告頼み”のNPBでは沈静化できない
モロニー戦でも物議…那須川天心が「なぜか批判される」理由は?“二面性”が“悪い意味でのギャップ”と捉えられることも
レッドソックス吉田正尚が「干される可能性」も…“正念場の3年目”で逆襲なるか
カブス今永昇太が開幕戦で大谷翔平と対決。今永が越えるべき「2年目の壁」と日本人投手の“不吉なデータ”
日刊SPA!

生活 新着ニュース

エンタメ アクセスランキング

急上昇ランキング

注目トピックス

Ameba News

注目の芸能人ブログ