3月17日(月) 0:40
日本学生支援機構の調査によると、令和元年度に奨学金制度があると回答した団体(以下「実施団体」という)は3809団体でした。これらの団体が実施している奨学金制度は8834制度でした。
実施団体の区分別に見ると、学校が最多となり1521団体で全体の39.9%を占めており、続いて地方公共団体の1100団体(28.9%)、公益団体の695団体(18.2%)となっています。実施団体の3809団体中、奨学金の支給実績がある団体(以下、「実績有団体」といいます)は3627団体でした。
奨学金制度8834制度のうち、実施団体の区分別に見ると、学校が最も多く5615制度で、全体の63.6%を占めており、次いで地方公共団体が1514制度(17.1%)、公益団体が1044制度(11.8%)となっています。
奨学金には、返済義務のある貸与型奨学金と返済不要の給付型奨学金があります。奨学金制度8834制度のうち、給付「5887制度(66.6%)」、貸与「2872制度(32.5%)」、併用「75制度(0.8%)」で給付が7割を占めています。
実施団体の区分別に確認すると、地方公共団体や医療関係機関での貸与割合が高く、学校、公益団体、個人・その他で給付の割合が高いです。
奨学生の採用時に重視する基準は、学力・人物を重視する制度および学力・人物と家計を同程度に重視する制度が多く、いずれも3割程度となっています。
大学独自の奨学金は給付型が充実しています。たとえば、入試等の成績優秀者を対象とする奨学金、入学前に取得した一定の資格に対する給付・免除制度、スポーツ特待生制度、ひとり暮らしサポート制度などがあります。また、主に地方の学生を対象に、入学前に奨学金の予約ができる「入学前予約給付型奨学金」を設けている奨学金もあります。
制度の内容は大学等により異なりますので、大学のホームページやオープンキャンパスなどで情報収集をしましょう。
地方公共団体(都道府県や市町村など自治体)は住民を対象にした無利子の月額貸与が多く、他の奨学金との併用を認めていないことも多いです。
信用金庫から低利で借りられるように、入学資金融資あっせん制度や通学定期の補助を実施している地方公共団体もあります。また、ひとり親を対象に教育費の無利子貸付金(母子父子寡婦福祉資金貸付金)もあります。
主に首都圏の大学に進学する学生のひとり暮らしを支援するため、その自治体出身者限定の学生寮(県民寮)を安価に提供している自治体や育英会があります。
ご自身のお住まいの地方公共団体のホームページでどのような奨学金があるか調べてみましょう。特に、他の奨学金と併用することができない場合が多いので注意してください。
医療系・福祉系の資格取得を目指し、養成施設に在学する人を対象に、修学資金を貸与(無利子)しています。入学準備金、就職準備金、国家試験受験対策費用などの貸与も受けられます。卒業後国家資格を取得し、5年など一定期間、勤務すれば返済が免除になるのが特徴です。
問い合わせ、申し込みは各地方公共団体の指定する団体(福祉系奨学金は社会福祉協議会など)で行っています。ご自身がお住まいの地方公共団体の指定する団体へお問い合わせください。なお、民間の病院や保育施設でも同様の奨学金制度を設けている場合もあります。
あしなが育英会や交通遺児育英会が有名ですが、これ以外にも公益財団法人などが運営する1000以上の奨学金制度があります。対象も小学生~大学生までさまざまで、ひとり親家庭向けなど家庭の状況に応じた奨学金もあります。
塾代、英検受験料、留学費用なども支援するものもあります。給付型が多いですが採用人数は一般的に多くないので競争率が高いといえますが、採用実績のない奨学金制度もあり穴場かもしれません。
大型の奨学金もあります。たとえば、キーエンス財団の給付型奨学金のひとつは、大学新1年生になる生徒が対象で、高3の2月頃直接応募できます。採用されると月額10万円が原則4年間支給されます。採用人数は600名程度です。これらの奨学金は、ガクシーなどの奨学金検索サイトで調べられます。
日本学生支援機構の以外の、さまざまな奨学金を見てきました。学校や民間の団体などの奨学金は返還不要の給付型が多いのがメリットです。しかし、一般にこれらの奨学金は認知度が低く、有効に活用されていない現実があります。JASSOやガクシーなどの検索サイトで情報収集して有効活用しましょう。
日本学生支援機構令和元年度奨学事業に関する実態調査報告(令和3年9月)
日本学生支援機構大学・地方公共団体等が行う奨学金制度
一般財団法人全国母子父子寡婦福祉団体協議会
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。
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