『ミッキー17』
3月17日(月) 8:00
ポン・ジュノ監督最新作『ミッキー17』の本編映像が公開された。
本作は、エドワード・アシュトンによる小説『ミッキー7』を原作にしたサスペンス・エンターテインメントで、主人公は人生失敗だらけの男“ミッキー”。一発逆転のため申し込んだのは何度でも生まれ変われる“夢の仕事”、のはずが……。よく読まずにサインした契約書は、過酷な任務で命を落としては、何度も生き返るループへの入り口だった。
公開されたのは、ロバート・パティンソン演じるミッキーが、本作に登場する謎のモンスター=クリーパーに引きずられている場面。「ここはどこだ?何が起きた?なぜ俺を食べない?気絶してたのに……」と戸惑うミッキーは、自分を引きずる大きなクリーパーの背中を見つめる。「そうか、子どもに食べさせる気だな。優しいママだ」とクリーパーの心の中を読もうとするミッキーに小さなクリーパーが近寄ってくる。
顔中をなめられ、観念したかのように目をつむると「早いとこ終わらせてくれ、ほらガブリとかじれよ」と覚悟を決める。だが、クリーパーは一向に食らいつくそぶりを見せずにどんどん進んでいく。「どこに連れて行くんだ?」と困惑するミッキーを、大クリーパーが尻尾を巧みに使って引き上げると、中小のクリーパーが総かがりで雪原に押し出す。ミッキーは「リプリントされた肉はまずいか?おい、俺はおいしいぞ、新鮮な肉だ、味は保証する」と叫ぶ。すると、大中小と3種類の大きさの異なるクリーパーがそろってミッキーを見つめるのだった……。
併せて、ポン・ジュノ監督が日本だけの取材に応じた特別コメントが到着。『ミッキー17』の劇中で“クリーパー”と呼ばれる謎のモンスターは、その見た目から『風の谷のナウシカ』に登場する“王蟲(オーム)”を彷彿させる。宮崎駿監督からの影響をポン・ジュノ監督に直撃すると、「『Okja/オクジャ』のときも、主人公のミジャがオクジャのお腹の上で昼寝をするシーンがありましたが、あれはまさに『となりのトトロ』からインスピレーションを受けたシーンでした」と前置きし、「クリーパーはもう少し複雑で、様々なインスピレーションが混在しています。デザインそのものは、クロワッサンから着想を得たもので、パンが出発点です。動きに関しては、様々なアイディアが組み合わさっています」と続ける。
「クリーパーは3種類ですが、ジュニアクリーパー、ベイビークリーパー、そして女王蜂のように1匹だけのママクリーパーがいます」と、大中小3種類存在すると説明。「ジュニアクリーパーがボールのように丸まっていく動きが登場します。それはアルマジロを参考にしています。出来上がったものを見て、ダンゴムシのようだと言う方もいましたが……」と微笑むと、宮崎監督作の「『風の谷のナウシカ』で王蟲が群れになって突進するシーンも、インスピレーションの源だったと言えます」と告白した。
さらに、「クリーパーが群れになって絡み合う姿は、アラスカのトナカイの動きのパターンがモチーフとなっています。動物ドキュメンタリーを見ると出てきます。サークルの中心部分に子供のトナカイを置いて、群れが時計の反対周りにらせん状を描いていく荘厳でスペクタクルな映像があります」と、クリーパーが宮崎監督作品のみならず、食べ物から、動物まで、ありとあらゆるものからインスピレーションを受けて完成したキャラクターだと語った。
そして「宮崎監督はいつも生態系や自然、環境に対するテーマを描かれていますが、私も大きな関心を持っているテーマですので、動物やクリーチャーを表現する際には、宮崎監督の作品は尽きないインスピレーションの源になっていると思います」と、宮崎監督の表現には常に影響を受け続けていると語っている。
さらに、ロンドンで行われたワールドプレミアで主演のロバート・パティンソンがアニメを参考にしてミッキーの役作りを進めたと語ったことについて、「ロバート・パティンソンはアニメをたくさん見ているようで、マニアックな性格ですね」と笑いながら、クリーパーのアクションについて教えてくれた。
「先ほど3つのクリーパーについてお話しましたが、その中でアクションを担当しているのは、ダイナミックに飛び跳ねながらアルマジロのように群れになって動くジュニアクリーパーです。すべてのクリーパーが、ウルレーションと呼ばれる直立して鳴き声を発する姿を見ると、多くの脚があることが分かります。複数の脚を持つ生物は、走るときにとても不思議な動きをします。リズムが妙なんです。専門用語ではウォークサイクルといいますが、これを作るのが、クリーチャーを表現する上で最も重要な基本です。ジュニアクリーパーが勢いよく走るとき、ウォークサイクルをどうするべきか。短い脚がいくつもあって、それらを走らせなければなりません。レファレンス先を探している中、CGチームのほうから『となりのトトロ』に出てくるネコバスのアイディアが出ました。あのネコは足が4本ではなく、何本もあるんです。『となりのトトロ』ではその足が絶妙なリズムで動く様子が見事に描写されています」と、『ミッキー17』のCGチームも『となりのトトロ』を参考にクリーパーの造形、そしてその独特の動きを作り上げたと語る。
これまで、予告映像にもその姿は映し出されていたものの、謎に包まれ続けていた謎のモンスター“クリーパー”、ミッキーの前に突如として現れる彼らの目的とは?ミッキーの逆襲にどのように関わってくるのか、今後も目を離せない存在だ。
『ミッキー17』本編映像
<作品情報>
『ミッキー17』
3月28日(金) 公開
公式サイト:
https://wwws.warnerbros.co.jp/mickey17/index.html
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