「なんでこんな父親と結婚したの?」躁うつ病を患った私にとって、両親が死神に思えてしまった話【作者に聞いた】

「躁うつでもなんとか生きてます。〜俳句と私が転がりながら歩むまで~」/原案=高松霞、漫画=桜田洋

「なんでこんな父親と結婚したの?」躁うつ病を患った私にとって、両親が死神に思えてしまった話【作者に聞いた】

3月17日(月) 2:30

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中学校2年生から高校1年生までのはっきりした記憶がないと語ったのは、書評ライターや連句人として俳句や文芸情報をX(旧Twitter)で発信している高松霞さん(@kasumi_tkmt)。
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家族の不幸に無意識に追い詰められていた日々と、それにより発覚した躁うつ病との日々を綴り、その心情にぴったりな俳句とともにコミカライズ。

作画は、自らのことを「霊感のようなものがある人間」と紹介する漫画家・桜田洋さん@sakurada_youが担当。その柔らかで心に染み入る絵のタッチと、鮮やかな色づかいが魅力だ。

今回は躁うつ病の遺伝について、落語「死神」を交えながら表現してもらった。高松さん自身の俳句とともにお送りする。



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高松霞さんは今回の話について、「私のトラウマの話です」と語ってくれた。

「躁うつ関係ないじゃないかと言う人がいるかもしれないけれど、話の終盤でも触れたように、双極症って遺伝の可能性があるんですね。父か母のどちらかが、もしくはどちらも、双極症なのかもしれない。それと、親に愛されていてもいなくても、大人になることはできるということも書きたかったです」と話してくれた。

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1つ目の俳句は「小鳥きて姉と名乗りぬ飼ひにけり」だった。「姉という『役割』を飼う」という表現におもしろさを見出した高松さん自身も、「霞」ではなく「姉」「長女第一子」としての役割を与えられてきたなかで、この作品にシンパシーを感じたことが選んだ理由だったそうだ。

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落語「死神」を混ぜ込んだ話にした狙いについても聞いてみると、「今回のエピソードは、自分に起こった出来事として感じにくいものです。なので、落語の噺にしてしまえば、まだ『読める』のではないかと考えました」と答えてくれた。

「それはきっと読者も同じで。少しでもいいから救いが欲しかった。でもつらかったですね。書いたら楽になるかなと思ったけれど、全然つらいし、漫画をチェックするのもつらかったです。薄目で読んでました(笑)」と話した。

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2つ目の俳句「しりとりは生者のあそび霧氷林」については、しりとりが「生者のあそび」であることにフォーカスした話をしてくれた。

「しりとりは『生者のあそび』ということは、死んでいる者にはできない。生きていることを確かめるように遊んでいる姿が、霧氷林の中に薄っすらと見える」と解説してくれた高松さん。

「そう考えると、しりとりはそのループの周りにいる、死者を追い払う呪文のような気もしてきます」とこの作品に対する思いについても語ってくれました。

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印象的な「アジャラカモクレンテケレッツのパー」という2回の拍手とともに唱えられる呪文は作中、父親との電話と、母親との電話の際に出てくる。このどちらにも登場する意味について教えてもらった。

「落語の『死神』の呪文って、病人が寝ている足元にいる死神を追い払う言葉なんですよね。けれど呪文を唱えて寿命を増やした分、自分の寿命が減ってしまう」と話す。

高松さんは、「私はふたりともに死んでしまってほしいと思っているし、ふたりともに生きながらえてほしいとも思っている」と心情を話してくれた。

第3話では、両親との電話に、落語「死神」を重ねて描いてもらった。咲いていた朝顔が萎れていき、ぼとぼと落ちていく様子が心情と重なる圧巻の描き方。人とは異なる視点で眺めた世界と、じわっと心に染み入る俳句が織りなす情景を、じっくり味わってみてほしい。




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