3月16日(日) 21:40
熟年離婚に明確な定義はありませんが、一般的に婚姻期間が20年以上の夫婦が離婚した場合を指すことが多いようです。厚生労働省「令和4年度 離婚に関する統計の概況」の「離婚の年次推移」によると同居期間が20年以上で離婚する割合は昭和25年以降上昇傾向で、令和2年には21.5%になっています。
離婚する場合、金銭面で重要になるのが財産分与です。財産分与とは婚姻節中に共同で得た財産を、夫婦の貢献度に応じて分けあうものです。主な対象は、以下のようになります。
●現金
●預貯金
●有価証券
●家財道具
●不動産
●自動車など
その他にも退職金なども対象で、正の財産だけではなく、負の財産である借金も対象になります。また、年金にも年金分割制度があります。
次に、安心できる貯金額について考えていきましょう。今回のケースの前提としては、子どもが独立後の離婚です。子どもが独立する際のママ友が50歳で離婚後も働くとします。
最低限、生活防衛資金として6ヶ月の生活費を確保する必要があるといわれています。総務省「家計調査報告 家計収支編 令和5年 平均結果の概要」によると単身世帯の消費支出は16万7620円です。そのため、16万円×6ヶ月で、離婚時では最低限100万円程度は確保しておくとよいでしょう。
さらに重要になるのが、老後の生活費です。
厚生労働省「令和5年度 厚生年金・国民年金事業の概況」より離婚による年金受給額は分割による年金の平均年金月額は2号被保険者では9万1081円です。さらに、前述の家計調査報告によると、65歳以上の単身世帯の消費支出は14万5430円になっています。
2号被保険者で計算した場合、ひと月あたりおよそ5万5000円不足し、1年あたりではおよそ66万円不足になります。女性は男性より長生きで、88歳前後が平均寿命といわれています。そのため、熟年離婚後65歳から年金だけで老後生活を送るのであれば、1年あたり66万円不足×残りの人生23年でおよそ1500万円足りない計算になります。
これらのことから、熟年離婚後の生活防衛資金と老後の不足分に物価高や病気などによる急な出費なども追加して考えると、1700~1800万円程度用意しておくと安心といえるかもしれません。
ただし、年金の支給額も生活支出費も一人ひとり異なりますし、定年後も働くこと財産分与によって、いくらかの財産を得ることができると思われますので、この金額はあくまで目安です。
前述のとおり、必ずしも1800万円ものお金が必要ではないでしょうが、安心して生活するには多額の貯金が必要となりそうです。熟年離婚を検討しているのであれば、計画的に資金を準備しておきましょう。
厚生労働省 令和4年度 離婚に関する統計の概況 離婚の年次推移
総務省 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要
厚生労働省 令和5年度 厚生年金・国民年金事業の概況
日本年金機構 離婚時の年金分割
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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