数々の名作を残した映画プロデューサー、スタンリー・R・ジャッフェさんが10日(現地時間)、84歳で永眠したと、米Deadlineが報じた。ダスティン・ホフマンとメリル・ストリープの名演で知られるアカデミー賞作品賞受賞作「クレイマー、クレイマー」や、マイケル・ダグラス主演の世界的ヒット作「危険な情事」を手掛けた映画界の重鎮の死去に、業界から追悼の声が寄せられている。
1940年7月31日、ニューヨーク州ニューロシェルで生まれたジャッフェさんは映画業界の名門に育った。父親のレオ・ジャッフェさんはコロンビア・ピクチャーズで50年以上勤務し、会計士から社長兼CEOを経て取締役会長まで務めた人物で、78年には米アカデミー賞人道賞(ジャン・ハーショルト記念人道賞)を受賞している。
1960年代初頭にセブン・アーツ・アソシエイツ(後にワーナー・ブラザースと合併)でキャリアをスタート。驚異的な才能を発揮し、わずか29歳だった1970年にパラマウント・ピクチャーズの社長に就任、メジャースタジオの最年少トップという記録を打ち立てた。
翌71年に独立して制作会社ジャフィルムスを設立後、「夕陽の群盗」(1972)や「がんばれ!ベアーズ」(1976)をプロデュース。しかし彼の輝かしいキャリアの頂点となったのは1979年の「クレイマー、クレイマー」だった。子どもの親権をめぐる感動作は作品賞を含む5部門でアカデミー賞を受賞し、ストリープのオスカー獲得キャリアの第一歩となった記念碑的作品でもある。
81年には「タップス」を製作。この作品はティモシー・ハットン主演の軍事学校を舞台にした作品だが、トム・クルーズ、ショーン・ペン、ジャンカルロ・エスポジートといった後のハリウッドを代表する俳優たちの登竜門となった点でも映画史に残る一作となった。
82年、当時20世紀フォックスのプロダクション部門社長だったシェリー・ランシングと共同でジャフィ=ランシング・プロダクションズを設立。87年にはマイケル・ダグラスとグレン・クローズが主演した「危険な情事」を世に送り出し、この心理サスペンスは世界的な社会現象にまでなるほどの大ヒットを記録した。
その後、ジャッフェさんは92年にパラマウント・コミュニケーションズの社長兼COO、翌年にはパラマウント・ピクチャーズ社長に返り咲いたが、94年のバイアコムによるパラマウント買収を機に退任。しかし引退することなく、「青春の輝き」(92)、「マドレーヌ」(98、製作総指揮)、「永遠のアフリカ」(00)、「サハラに舞う羽根」(02)など、数々の作品に携わり続けた。23年には「危険な情事」のテレビドラマ版の製作総指揮を務めるなど、生涯を通じて映画製作への情熱を燃やし続けた。
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クレイマー、クレイマー
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Photo by Emma McIntyre/Getty Images for TCM