3月10日(月) 14:10
出産育児一時金とは、健康保険加入者(会社の健康保険や国民健康保険)、またはその被扶養者が出産した場合に支給される給付金です。
支給額は、子ども1人当たり最高50万円で、双子であれば2人分、三つ子であれば3人分支給されます。現在の支給額をまとめると、妊娠週数や医療機関が産科医療補償制度に加入しているか否かによって図表1のとおりとなります。
図表1
その他にも、出産に関して経済的負担を軽減できる制度などがあります。
1. 出産手当金
健康保険加入者が出産を理由に仕事を休んだ場合に、その期間の生活を補償(給与分の補てん)するための手当です。出産日の42日前から産後56日の期間が対象となりますが、配偶者などの被保険者は対象外となります。基本的には、毎月の給料の3分の2が支給されます(被保険者期間が1年以上の場合)。
2. 帝王切開分娩の場合
自然分娩と違い、帝王切開分娩となった場合には、医療行為として保険が適用されます。つまり、通常の方の自己負担は3割となります。併せて、高額療養費医療制度も適用されます。
3. 医療費控除
妊娠・出産は病気ではないため、原則それにかかる費用は保険適用外となります。ただし、出産関連でも医療費控除の対象となるものがあります。
具体的には、医療行為としての手術や入院費用、食事代などが挙げられます。出産育児一時金を受け取る場合は、その金額を差し引いて10万円を超えたときに、医療費控除の税金の還付等を受けることができます。
出産育児一時金の支給方法には、以下の3種類があります。
1. 直接支払制度
保険組合から医療機関に一時金を直接支払う制度です。被保険者が出産時にまとまったお金を準備する必要がない点がメリットです。実際にかかった金額が一時金を上回った場合には、被保険者が差額分のみ病院の窓口で支払います。
2. 受取代理制度
被保険者が保険組合に申請し、医療機関が一時金を受け取る制度です。申請は出産予定日の2ヶ月前から可能です。比較的小規模な医療機関が制度の対象となっています。
3. 直接申請
被保険者が出産にかかる費用を全額支払い、後日保険組合に一時金を申請する制度です。出産の翌日から2年以内に申請する必要があります。
出産育児一時金があれば、出産費用は全て賄えるのでしょうか? 平均的な出産費用であればカバーできる計算となっているようですが、地域差の存在や医療行為の有無、医療サービスの高級化などの理由で出産費用が50万円を超えるケースもあるようです。
前述のとおり、妊娠・出産にかかる費用は、正常分娩の場合、原則として保険適用外となります。
しかし、帝王切開分娩で入院費用などがかさむ、といった可能性も考慮すると、民間保険会社の医療保険による備えも一つの選択肢となるかもしれません。ただし、保険商品によっては保障の対象とならないこともあるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
全国健康保険協会 協会けんぽ 安心してご出産していただけます
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
国税庁 No.1124医療費控除の対象となる出産費用の具体例
全国健康保険協会 協会けんぽ 子どもが生まれたとき
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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