3月10日(月) 21:30
夫婦間の財産には、主に2種類の考え方があります。
共有財産とは、婚姻中に夫婦の協力によって形成し、維持された財産のことです。共有財産の対象となるのは現金などの預貯金だけでなく、不動産や保険金、自動車、家財道具なども対象になります。
また、夫婦の生活を営むために借りた借金やローンなども共有財産の一つです。夫婦間で共有される財産は、プラスのものだけではありません。ただし、夫婦の一方が個人的に作った借金などは共有財産の対象外です。
共有財産に対し、婚姻前から夫婦の一方が所有していた財産や、婚姻中でも夫婦の協力とは無関係に取得した財産のことを特有財産といいます。いわゆる、個人の財産です。本記事のタイトルにある、「小さい頃から結婚前までに貯めていた500円玉貯金」は特有財産に該当するでしょう。
特有財産は夫婦間による独自の取り決めなどがない限りは、好きに使っても問題ないといえます。なお、「夫婦の協力とは無関係に取得した財産」に該当するものとしては、例えば婚姻中に相続することで得た財産などがあります。
夫婦間における財産がどのように帰属するかは、民法でも明記されているのです。そのなかで、婚姻前に有する財産においては、特有財産とすることが定められています。
共有財産や特有財産について、日常生活ではそこまで気にすることは少ないかもしれません。財産が共有財産と特有財産のどちらに該当するかは、離婚時に重要になります。
離婚をする際には、夫婦が婚姻中に協力して築き上げた財産を両者で分け合います。これを財産分与といい、離婚後でも請求が可能ですが、基本的には離婚前に取り決めます。この財産分与の対象になるのが共有財産であり、特有財産は財産分与の対象にはなりません。
ただし、婚姻前に築いた特有財産であっても、それの維持や増加に婚姻相手の協力があったと判断されれば、貢献度によって財産分与の対象になることがあります。
財産分与の割合は基本的に半分ずつとされていますが、夫婦間で合意があれば自由に決められるとされています。その際には離婚協議書を作成して、公正証書として記録しておくといいでしょう。財産分与の割合が話し合いで決まらない場合には、家庭裁判所の調停などを利用することになります。
車も共有財産になり得るため、夫婦間の取り決めなどの状況次第では、離婚時の財産分与で手元に残らない可能性があります。しかし、車を購入した時期や購入費用の出どころ次第では特有財産となります。その場合には、財産分与はされないと考えられます。
車の購入時期が婚姻前であれば、購入に際して夫婦間の協力がなかったとされるため、特有財産と判断されるでしょう。裏を返せば、婚姻後に購入した車は共有財産と認められ、財産分与の対象になります。
車の購入代金やローンの支払いに夫婦共有の財産を使用した場合には、その車は共有財産と認められます。反対に、婚姻前に形成した財産や相続・贈与などで得た財産など、いわゆる特有財産で車を購入した場合、財産分与の対象外になることも少なくありません。
なお、車が共有財産と特有財産のどちらに該当するかを判断するのに、名義の有無や使用者は関係がないとされています。
子どもの頃からしていた貯金など、婚姻前に所有していた財産は特有財産と判断されます。夫婦の協力によって形成される共有財産とは異なり、特有財産は個人の財産といえます。
また、特有財産を利用して得た財産、例えば車などは基本的に特有財産として判断されます。特有財産においては、離婚時の財産分与の対象外になります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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