会社に巣食う問題社員によって同僚は疲弊し、職場は大混乱。時には退職者まで出し、業績を悪化させる。そんな「危険社員」を7種類の野生生物にたとえて、生態に迫った!今回は「サイ型」危険社員について。
温厚だが職域を侵すと怖い!
大型草食動物のサイは普段は温厚だが、縄張りを侵されると一転して巨大なツノを振り立て攻撃する。サイ型危険社員の場合はどうか。
「『俺の技術は、長年の経験で培った。簡単に教えられるか』とにべもない。IT導入で業務を効率化する会社の方針にも『そんなものは必要ない』と一蹴。LINEなどの連絡手段も『電話するのが礼儀だ』と拒絶し、周囲を困惑させています」(製造・38歳・男性)
昭和型職人気質の社員の中には、自らの技術を「縄張り」にして、死守するためには周囲への攻撃も厭わないサイ型危険社員もいる。生息する会社の技術力は廃れ、人材も育たない。職場の被害をどう防ぐのか。弁護士の西川暢春氏はこう話した。
「技術の継承を拒む社員には『あなたの仕事は新人を育てること』と、指導を業務として明確に位置づけるのが重要」
サイ型危険社員はIT業界にも…
こうしたタイプは、IT業界にも少なくない。
「30代のSEが情報を共有せず、『私が調べた』『教える義務、ないですよね?』と取りつく島もない。顧客情報さえ共有しないのでトラブルも多いが、なまじ技術が高いので慕う若手も少なくない。実際、『部下を引き連れて転職するのもアリかな』とうそぶいている」(IT・54歳・男性)
労務士の石川弘子氏が対策を講じる。
「辞められたら会社にとって大きな損失。業務のローテーションを実施し、情報や技術の共有を促進することで、リスクの分散を図りましょう」
サイ型危険社員には、攻撃的になる前の対処が肝心だ。
「サイ型」の特徴
サイ型危険社員の技術力はサイのツノのように巨大だが、会社の業績やチームの業務進捗には関心がない。優秀だが組織では厄介な存在だ。
サイは視力が弱く、敵か味方かの識別も難しい。思考が近視眼的なサイ型危険社員は、新人も若手も見境なく攻撃するので退職者が出そう。
厚さ5㎝にも達する硬い皮膚で身を守る。サイ型社員も他者とのコミュニケーションを拒み、硬い皮膚に閉じこもっているかのよう。
対策:
指導も業務であることを明確に位置づける
【弁護士 西川暢春氏】
弁護士法人咲くやこの花法律事務所代表。問題社員対応や労務・労働事件などの企業法務に定評がある。顧問先は560社超
・企業法務に強い弁護士への法律相談サービス
・実績豊富な顧問弁護士サービス(法律顧問)【大阪をはじめ全国対応可】
【社会保険労務士 石川弘子氏】
フェリタス社会保険労務士法人代表。ハラスメント防止コンサルタント。著書に『あなたの隣のモンスター社員』(文春新書)など
取材・文/綾部まと取材/谷口伸仁山本和幸齊藤武宏イラスト/神林ゆう
【綾部まと】
ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother
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