幹部自衛官として順調にキャリアを重ねていながら、激務とパワハラが重なりメンタルダウン。
「人に認められるためではなく、もっと楽しく生きたい」と転職し、自分の体験をもとにXで働き方やメンタルコントロール術を発信するわび氏。
フォロワー数が18万人を突破し、ネットメディアでもたびたび投稿が話題になる氏が手掛けた『人生から逃げない戦い方メンタルダウンから生き延びた元幹部自衛官が語るユル賢い生存戦略』が発売になった。
わび氏が失敗から学んだという“心を折らずに生き延びる”教訓は、環境の整え方や仕事術、人付き合い、回復法まで多岐に渡るもの。そんな難易度の高い世界を生き抜くワザの一部を紹介しよう。
人生は回復と消耗のシーソーゲーム
人生のほとんどは回復と消耗のシーソーゲームだよ。消耗が回復を上回るようになったら心身が壊れやすくなるんだ。なので、大事な仕事以外はなるべく省エネで、休みのときは思いっきりご自愛する。「回復>消耗」を維持することこそ、最良のメンテナンスだと思いますよ。
私たちは毎日RPGのレベル上げやお金稼ぎとほぼ同じようなことをして過ごしている
ほとんどの人にとっての人生とは、毎日を仕事や家事に明け暮れ、ある程度の経験値やお金が貯まったら、大きな仕事や昇進、転職などの機会が巡ってきたり、あるいは旅行や結婚、マイホーム購入などのイベントを起こしたりするものだと思います。
人生はRPGのレベル上げのようなもの
人生の大半は、RPGのレベル上げやお金稼ぎみたいなものなんです。
ドラクエなどのRPGをしたことがある人はわかると思いますが、レベル上げやお金稼ぎは、拠点の近くでグルグル歩き回り、出会ったモンスターを倒すという作業を繰り返します。
そして、体力が尽きる前に拠点に戻り、眠るなどして全回復して、再びモンスターを狩りに行きます。このように、私たちはRPGのレベル上げやお金稼ぎとほぼ同じようなことをして過ごしているわけです。
RPGのように「寝たら全回復」するわけではない
ただ、人生とRPGでは異なるところもあります。そのひとつが、RPGのように「寝たら全回復」というわけにはいかないところです。
あまり疲れていないときって、お風呂に入って、ごはんを食べて、よく寝たら、次の日まで疲れは残りません。
でも、仕事や家事などが忙しくてものすごく疲れたときは、同じように入浴、食事、睡眠をとっても、次の日にも疲れが残ってしまいます。これはそれぞれの回復量には限度があるからです。
なので、なるべく体力とメンタルの消耗量が回復量を超えないように過ごすことが大事なんです。
なるべく週単位で「回復>消耗」を守ろう
ただ、こんなことを言うと「毎日を回復>消耗で過ごすなんて無理だよ……」と思うでしょう。私も無理だと思います。
仕事や家事はずっと同じではなく、忙しかったり、ときには怒られたりして、大ダメージを受けることもあります。1日単位で消耗量と回復量の収支を調整するのは難しいので、1週間単位で決算するように考えたほうが現実的です。
1週間単位で「回復>消耗」を過ごすためには、自分の状態と「何をしたらどれくらい回復するか」を把握することが大切です。
回復>消耗の期間をできるだけ長くすることこそ、自分の最良
入浴、食事、睡眠でどのくらいの体力やメンタルが回復するか、特に一番疲れが取れる睡眠時間はどのくらいなのかを知ったほうがいいです。
私の場合は7時間がベストなので、22時30分には布団に入り、5時45分に起きる生活をしています(眠りに落ちるまで15分ほどかかるため)。
そして、休日にできる回復方法も押さえておくといいです。
体力の回復ならスーパー銭湯やマッサージ、昼寝、メンタルの回復なら趣味や推し活、散策といった具合に、自分に合う回復方法を決めておいて、自分の状態に合う方法をセレクトします。
それでも回復が追いつきそうにもないときは、後述する「おうち入院」という奥義を使います。
人生のほとんどは、回復と消耗のシーソーゲームです。そして、回復<消耗の期間が長くなればなるほど、心身が壊れやすくなってしまいます。
回復>消耗の期間をできるだけ長くすることこそ、自分の最良のメンテナンスだと思いますよ。
1週間単位で回復と消耗のバランスを調整。自分にとっての回復方法の把握が大事
<文/わび構成/日刊SPA!編集部>
【わび】
とある企業の危機管理屋。以前は幹部自衛官として、おもに師団司令部、方面総監部などに勤務。現在は会社員として働きながら、趣味の畑仕事や狩猟などを楽しむ日々を過ごす。一方で、転職をきっかけに自衛隊などの社会人経験で身につけたメンタルコントロール術、仕事や人間関係に対する向き合い方などを中心にXで発信を開始。フォロワー数は18万人を突破し、投稿はネットニュースなどにも取り上げられるなど、人気を博している。著書に『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語るこの世を生き抜く最強の技術』、新刊『人生から逃げない戦い方メンタルダウンから生き延びた元幹部自衛官が語るユル賢い生存戦略』
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