業界人が語る「最終回まで見る/もう見ない」冬ドラマ6選。「役に入り込めていない」印象の主演俳優も

公式HPより

業界人が語る「最終回まで見る/もう見ない」冬ドラマ6選。「役に入り込めていない」印象の主演俳優も

3月6日(木) 6:53

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終盤に差し掛かっている冬ドラマの中で最も高視聴率をマークしているのは、進学校を舞台にした重厚な学園ドラマ『御上先生』(TBS、日曜午後9時~)で、初回の世帯視聴率は12.2%、2話が11.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で3話以降も10%前後を維持。

また、唐沢寿明主演のマネーサスペンス『プライベートバンカー』(テレビ朝日系、木曜午後9時~)や消防局の通信指令センターを舞台にした『119エマージェンシーコール』(フジテレビ系、月曜午後9時~)も安定した数字を残している。

そんななか、関係者が本当に面白いと思っている作品は何なのか?テレビドラマの業界で働く人々に「最終回まで見たい!」と思っているドラマ、「ガッカリしてもう見ていない」ドラマを本音で語ってもらった。

働き方改革を描く医療ドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』

一人目は、制作会社でドラマ制作に関わる30代のプロデューサー・A氏に話を聞いた。

「期待以上の面白さで欠かさず見ているのは『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系、火曜午後10時~)ですね。

初々しい研修医が慣れない医療現場に奮闘しながら、恋愛も楽しむ“ありがち”な仕事ドラマだろうと思っていましたが、良い意味で“今”を取り入れた見ごたえのある作品になっており、驚かされましたね。

令和の働き方改革で定時退社をしなければならない研修医たちとそんな環境の変化に戸惑う医師たちを深掘りし、それぞれの葛藤や矜持を丁寧に描いており、どちらにも共感できるストーリーになっているのはお見事。

派手な手術シーンを描かなくても、シリアスな医療現場の盛り上がりを作ることができることを再認識しました。

特に、主人公・まどかを演じる芳根京子さんの演技が素晴らしい。

元気で活発なイメージだけが先行していましたが、その明るさとコミカルな表現力は生かしつつ、自身の無力さに悩みながら成長していく芯の強いキャラクターを非常にうまいバランスで演じている。この作品で一気に業界の評価も上がったと聞いています」

既視感のある設定・キャラで離脱した『相続探偵』

また、A氏に「つまらなくて見なくなった」冬ドラマについても聞いた。

「2話で見なくなったのは『相続探偵』(日本テレビ系、土曜午後9時~)ですね。

赤楚衛二さん演じる遺産相続を専門とする探偵・灰江七生が個性豊かな仲間たちと相続事件をコミカルに解決していくドラマですが、各話の事件内容やトリックに既視感を覚えてしまい、早々に脱落してしまいました……。

『ケイゾク』『SPEC』(ともにTBS)などのヒットドラマを作った西荻弓絵さんの脚本ですが、彼女が作る作品の魅力は個性的なキャラクターたち。

しかし、キザでクセのある探偵を演じる赤楚衛二さんが役に入り込めておらず、わざとらしいセリフや演出もハマっていない印象。

桜田ひよりさん、矢本悠馬さんといった脇を固める俳優がイイ味を出しているだけに、もっとぶっ飛んだドラマにしてほしかったですね」

視聴者にも問題提起する斬新な学園ドラマ『御上先生』

続いては、キー局に勤務する20代女性プロデューサー・B氏にも「最終回まで見たい」と「もう見ていない」ドラマを聞いた。

「視聴率も好調な『御上先生』(TBS)はやはり面白いですね。これまで学園ドラマで定番とされてきた熱血教師や謎多き教師が問題児を改心させてクラスを一致団結させていく構図をぶち壊しているのが斬新で刺激的。

生徒自らに考えさせたり、議論させたりすることでクラスの問題を解決に導くという教えは現代的だし、視聴者にも考えさせる“能動的”な作品になっているので、見ていて全く飽きない。

主演の松坂桃李さんをはじめとした俳優陣はもちろん、生徒役が豪華な点も面白いドラマになっている大きな要因。

奥平大兼さんや蒔田彩珠さん、髙石あかりさん、上坂樹里さんといった若手トップクラスの俳優たちの役作りや表現力も群を抜いている。

予算が潤沢にある「日曜劇場」だからこそできる起用だとは思いますが、生徒だけのシーンでも薄っぺらくなることがないところも魅力ですね。最終話に向けて散りばめられた伏線も回収されていくと思うので、欠かさず見たいと思っています」

日常コントの前フリが長すぎた『ホットスポット』

そんなB氏は「もう見なくなったドラマ」として意外な作品を挙げた。

「業界の評価は高いですが個人的に見なくなったのは、バカリズムさんが脚本を手掛ける『ホットスポット』(日本テレビ系、日曜午後10時30分~)ですね。

富士山麓のビジネスホテルに勤める市川実日子さん演じるシングルマザーが、角田晃広さん演じる同僚・高橋が宇宙人だと知ってしまうところから始まる日常系SFドラマですが、5話ぐらいまでは大きな展開がなくコントのような会話劇を中心にひたすら描いており、退屈になってしまって……。

昨年放送された『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ)では、回を追うごとに主人公の葛藤や挫折がエスカレートしていく様子にどんどん感情移入していけたのですが、今回は前フリが長すぎると言わざるを得ない。

バカリズムさんのことですから最終話にかけてどんでん返しを作り上げているのでしょうが、連ドラとして見るのは厳しかったです」

アラサー男たちのほっこり飯に癒される『晩餐ブルース』

最後に、ラブストーリーを得意とする20代の女性脚本家・C氏にも話を聞いた。

「さほど注目はしていなかったのですが、毎回楽しく見ているのは『晩餐ブルース』(テレビ東京系、水曜深夜25時~)ですね。

井之脇海さん演じるドラマディレクター・優太、金子大地さん演じる元料理人・耕助、草川拓弥さん演じる友人・葵が“晩餐”と銘打って手料理を一緒に食べるグルメドラマですが、生きづらい男性社会のしがらみやアラサーが抱える悩みを繊細なセリフで紡いでいく良質な作品です。

イケメンが集うグルメドラマと思わずに、仕事や日常生活に悩む男性こそ夢中になれるドラマなのでおススメです。

真田広之さんがプロデュースした話題作『SHOGUN 将軍』に出演していた穂志もえかさんの秀逸な演技も見どころですよ」

謎と伏線だらけでストーリーに入り込めない『フォレスト』

また、C氏は冬クールの中で最も面白くなかったドラマも教えてくれた。

「4話までは見ていましたが視聴を止めたのは『フォレスト』(テレビ朝日系、日曜午後10時15分~) ですね。

ストーリーは比嘉愛未さんと岩田剛典さん演じる平凡なカップルが、各々の嘘が明らかになるうちに人間不信になっていくラブサスペンス。

次第に判明する真実や意外な過去は衝撃的で、考察しがいのあるドラマだと思いましたが、テンポの悪さとキャラクターの掘り下げが甘く、内容に入り込めませんでした。挑戦的な作品でしたが、人物にフォーカスしてほしかった……」

終盤を迎える冬ドラマの中でテレビマンたちが「最終回まで見たい」「もう見ない」と断言するドラマを紹介してきた。しかし、あくまで業界人の個人的意見なので紹介した作品の中にも、もちろん良作はそろっている。ぜひリアルタイム視聴や見逃し配信などでチェックしてみてほしい。

ライター/木田トウセイ

【木田トウセイ】
テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。

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