「コンサートはユニークな“旅”」ヴィットリオ・グリゴーロ特別インタビュー

ヴィットリオ・グリゴーロ

「コンサートはユニークな“旅”」ヴィットリオ・グリゴーロ特別インタビュー

3月3日(月) 2:00

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オペラの華といえばやはりテノール。オーケストラを突き抜ける豊かな声から紡ぎだされる高音を聴くと、背中がゾクゾクするような興奮と感動をおぼえる観客は多いのではないだろうか。23歳でオペラの殿堂、ミラノ・スカラ座のオープニング公演に最年少で出演し、48歳の現在にいたるまで今なおトップの座で輝き続けているテノール歌手がヴィットリオ・グリゴーロだ。そんな奇跡ともいえる存在のグリゴーロがこの春、2年ぶりとなるソロ・コンサートで日本に帰ってくる。

ローマ歌劇場2023年日本公演『トスカ』よりPhoto Kiyonori Hasegawa

2024/2025シーズンはすでにウィーン国立歌劇場『マノン』、ベルリン国立歌劇場『トスカ』、アレーナ・ディ・ヴェローナでの『ラ・ボエーム』など、世界一流の劇場で主役を演じているグリゴーロだが、2024年にはある変化を迎える。それはヴェリズモ・オペラへの挑戦だ。「今回のコンサートは没後100年をむかえるプッチーニに捧げるプログラムであり、最近録音したヴェリズモ・オペラも披露する」と語るグリゴーロ。新しいレパートリーについて聞いてみると「何年か前はまだ自分の声に合わないと感じていたヴェリズモ・オペラだが、今は私の芸術に徐々に取り入れている。私にはロマンティックなレパートリーと、ヴェリズモの両方があり、それらは私の音楽的な魂のふたつの側面。このふたつの側面は決して分離することはなく、常に私の声の色、音、色彩、情熱を特徴づけるもの」と、確かな手ごたえを感じているようだ。

声を維持するヒミツ

実は、グリゴーロはオペラ歌手の中では珍しいことにデビュー時と同じ役を今でも高水準で歌うことができる。これはとても珍しいことで、通常年齢を重ねていくと声は重くなり、特に高音が出にくくなるために徐々にレパートリーが変わっていく。だが、グリゴーロはデビュー時から変わらないフレッシュな声を保ち続けている。そのヒミツは彼が生涯の師とあおぐ存在によるところが大きいようだ。「どんな決断をするときも、常に私に付き添ってくれる生涯の師ダニロ・リゴーザ先生に感謝するしかない。歌手という職業は、もっと歌いたいという誘惑、肉体の未熟さが、声を失うという後戻りできないミスに繋がることが多く、正しいアドバイスをくれる師はとても重要。幸運なことに師のおかげでタイプの違う多くのレパートリーを維持することができる。軽やかで叙情的な声質の役から、より劇的な声質が求められる役まで歌いながら、ベルカントの柔らかさにいつでも戻ることができる。実はこのようなことは、決して簡単ではない」。

ウィーン国立歌劇場『マノン』よりPhoto Wiener Staatsoper / Michael Pöhn

ポップスの世界だけでなく、オペラ界も栄枯盛衰、長くトップをつとめられる歌手は少なく、その技術と声を維持するための強い矜持を感じさせる力強い言葉だ。

コンサートにかける想い

オペラの舞台と同じくソロ・コンサートも多いグリゴーロに、その想いを聞いてみると「コンサートでアリアを歌うのは唯一無二、「私」と「聴衆」の間のとても親密な瞬間、特別で深遠なもの。自分の全存在を通して登場人物の性格だけでなく、自身の役柄の解釈や見解を聴衆に伝えようとしている」と、ファンサービスでも定評があるだけに、聴衆を強く意識した回答がかえってきた。彼にとって、“コンサートとは、ユニークな旅”であり、演奏する曲に影響されることなく、聴きたいアーティストに観客がその身を委ねるべきだと思っているとのこと。
「夢は大きなアレーナを観客でいっぱいにして歌うこと」と少年のように輝く笑顔をみせるグリゴーロはきっとオペラ史にその名が刻まれることだろう。そんなグリゴーロの新たなレパートリーの第一歩が聴けるコンサート、これはオペラファンならずとも聴き逃せない舞台になりそうだ。

イタリアのウォッチブランドUNIMATIC(ウニマティック)の公式アンバサダーをつとめるなど、ファッション界からの注目も高まっている。Photo Stefano Galuzzi

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<公演情報>
旬の名歌手シリーズ─ XII
ヴィットリオ・グリゴーロ テノール・コンサート

出演:ヴィットリオ・グリゴーロ(テノール)
指揮:レオナルド・シーニ
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

プログラム:
【第一部】<プッチーニに捧ぐ>
ジャコモ・プッチーニ作曲

―歌劇「マノン・レスコー」
“なんと素晴らしい美人!”
間奏曲*

―歌劇「外套」
“お前の言うとおりだ”

―歌劇「修道女アンジェリカ」
間奏曲*

―歌劇「西部の娘」
“やがて来る自由の日”

―歌劇「トゥーランドット」
“泣くな、リュー”
“誰も寝てはならぬ”

アミリカーレ・ポンキエッリ作曲
―歌劇「ラ・ジョコンダ」
時の踊り*

【第二部】<ヴェリズモ(真実主義)>
フランチェスコ・チレア作曲

―歌劇「アドリアーナ・ルクヴルール」
“私の心は疲れ”

ウンベルト・ジョルダーノ作曲
―歌劇「アンドレア・シェニエ」
“ある日、青空を眺めて”
“五月の晴れた日のように”

―歌劇「フェドーラ」
間奏曲*

ピエトロ・マスカーニ作曲

―歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」
間奏曲*
“母さん、あの酒は強いね”

―歌劇「友人フリッツ」
間奏曲*

ジャコモ・プッチーニ作曲

―歌劇「妖精ヴィッリ」
第2の間奏曲「夜の宴(妖精たちの踊り)」*

ルッジェーロ・レオンカヴァッロ作曲

―歌劇「道化師」
“衣装をつけろ”

※演奏順不同。
*はオーケストラ演奏

日時:2025年3月15日(土) 15:00 開演
会場:東京・東京文化会館

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