「赤いきつね」CM炎上騒動で、「気持ち悪いからやめろ」という批判が危険なワケ

東洋水産株式会社(マルちゃん)の公式Xより

「赤いきつね」CM炎上騒動で、「気持ち悪いからやめろ」という批判が危険なワケ

2月27日(木) 6:53

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『赤いきつね』CMの炎上騒動、長引くワケは?

だしって…なんかホッとしないですか?
CV:市ノ瀬加那 @ichinose_1220#ひとりのよると赤緑 pic.twitter.com/G8IZ3I2dtM— 【公式】東洋水産株式会社(マルちゃん) (@toyosuisan_jp) February 6, 2025

『マルちゃん赤いきつね』アニメCMの炎上騒動が収まりません。夜な夜な自宅の部屋で恋愛ドラマを観て涙する若い女性がうどんをすする口元や赤く染まった頬にクローズアップする絵が、「性的だ」とか「キモい」と議論を呼んでいるのです。

そうした声の一方で、「そんな見方をする方がおかしい」とか「何の問題もない」と、批判的な意見に疑問を呈する人もいます。なので、ある専門家は、ごく少数の人が騒動化したことで炎上しているように見えるだけの“非実在型のネット炎上”なのではないか、と分析していました。

すると、今度は“実際に不快に感じた人が一定数いるのだから非実在などとあたかも捏造したかのように言うのはおかしい”と、今回のCMに批判的な人から再度の反論も飛び出す事態に発展しており、まだまだ収束の目処は立っていないようです。

まるで「赤いきつねを食べる美少女のイメージビデオ」?

というわけで、筆者もCMの動画を観てみました。これが公序良俗に反するほど「性的」なものかと言われると、そうではないと思います。ただし、うどんよりも女性の方を強調しているように見える点は気になりました。画面に登場する割合からして圧倒的に女の子の割合が大きい。これは赤いきつねの美味しさにスポットを当てたCMではなく、赤いきつねを食べる美少女のイメージビデオなのではないか、と。

そして話題になっている絵以上に気になったのは、音声です。うどんをすする合間のため息が、食事のシーンにしてはかなりなまめかしく聞こえるのですね。そんなに“はぅんはぅん”言わねえだろ。これは過剰演出や「性的」な意図をほのめかしていると捉えられても仕方ないところかなと思いました。

このいかにも男子に都合のいいような振り付けをほどこされた“女の子”の存在が、なんとなく気持ち悪い。はっきり言ってしまうと、オタクっぽいという拒否反応を呼び起こしているのではないでしょうか。このCM動画を観て浮かんだのが、新海誠監督の作品に出てくる女性キャラです。露骨に性的ではないけれども、それゆえに密度と湿度の高い欲望が端々に表現されているような存在。

それと同じベクトルのものが、この『赤いきつね』のアニメCMなのだと思います。

「表現の自由」は互いに尊重されるべき

けれども、一部(ごくごく少数だとは思いますが)から、これをもって不買運動や削除を求める声があがっているのはいただけません。なぜなら、このCMが誰かを傷つけたり誹謗中傷したりする意図をもって制作されているのではない以上、表現の自由の範囲で議論されるべき問題だからです。

そのうえで、“かわいい女の子が深夜にうどんを食べて孤独感を癒やす”映像なのか、それとも“偏った美少女趣味のキモいオタク的な表現”なのかを、あくまでも主観同士で議論をたたかわせるべき話なのです。

過激な批判意見に潜むキャンセルカルチャーには、モノそのものを吟味する主観を逸脱して、政治的正しさという客観を盾に、放映中止や不買、排除を正当化する、いわば強制執行的なニュアンスが含まれる。そこに危うさがあるのですね。つまり、“臭いものに蓋をする”ことの越権行為、介入的な言い方について、政治的に正しいという確信ゆえにためらいを感じずに突っ走ってしまう傾向がある。

もしも自分の気に食わないものを締め出すことを正しいと考えるのなら、逆に自分が締め出される立場になったときに、その理屈を甘んじて受け入れなければなりません。

けれども、そんな“目には目を、歯には歯を”な社会が望まれるでしょうか?

だから、今回の『赤いきつね』のCMが存在する権利は尊重されなければならないし、またそれに対して「キモい」と表明する自由も保障されなければならない。

ただそれだけの話だけれども、それはかけがえのない自由だと思うのです。

文/石黒隆之

だしって…なんかホッとしないですか?
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【石黒隆之】
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

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